横浜市強靱化地域計画 強靱化に関する取組の方向性 概要版 計画の概要  国土強靭化とは、自然災害が発生する度に、長期間をかけて復旧復興を図るといった事後対策の繰り返しを避け、事前防災・減災と迅速な復旧復興に資する施策をあらかじめ総合的かつ計画的に実施することで、様々な自然災害が発生しようとも最悪な事態に陥ることが避けられるよう「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な社会を平時から作り上げていこうというものです。  このような考え方のもと、国では平成25年に「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法(以下「基本法」。)」を制定するとともに、平成26年に「国土強靱化基本計画」を策定しています。  このような動きを踏まえ、本市においても、市域における国土強靱化を推進するため、基本法第13条に基づき、国土強靱化に関する取組の方向性を示すものとして、「横浜市強靱化地域計画」をとりまとめました。 横浜市強靱化地域計画の特徴 ○様々な自然災害を想定して設定した37の「起きてはならない最悪の事態(リスクシナリオ)」を回避するために、本市の現在の取組の脆弱性を分析し、課題等を明らかにした上で、今後必要となる取組の方向性を総合的に検討し、とりまとめました。 ○公共施設の保全・更新や、地域における見守り活動の支援など、強靱化につながる平時からのハードとソフトの取組を幅広く位置づけました。 横浜市強靱化地域計画の位置付け  横浜市強靭化地域計画の位置付けの図です。この図では、横浜市強靱化地域計画は、国土強靭化基本計画と調和がとれ、横浜市基本構想(長期ビジョン)や横浜市中期4か年計画と整合するとともに、分野別計画等とも整合が取れているといった内容を示しております。 計画期間と見直し ○本計画は災害に強い人づくり・地域づくり・都市づくりの取組の方向性を示すものであり、計画期間は定めません。 ○計画の見直しについては、本市の総合計画である横浜市中期4か年計画の改定、関係法令の改正、国の国土強靱化基本計画の見直し、大規模自然災害後の検証結果等を踏まえ、「起きてはならない最悪の事態(リスクシナリオ)」の再確認を行い、必要に応じて計画の根幹となる脆弱性評価を再実施し、計画を改定します。 計画の基本事項 想定する災害  地震、地震火災、地震による津波、浸水(洪水、雨水出水、高潮)による被害、崖崩れ、噴火などの自然災害全般 基本目標  1 人命の保護が最大限図られる  2 市域の重要な機能が致命的な障害を受けず維持される  3 市民の財産及び公共施設に係る被害の最小化  4 迅速な復旧復興 事前に備えるべき目標 @大規模自然災害が発生したときでも人命の保護が最大限図られる A大規模自然災害発生直後から救助・救急、医療活動等が迅速に行われる(それがなされない場合の必要な対応を含む) B大規模自然災害発生直後から必要不可欠な行政機能を確保する C大規模自然災害発生直後から必要不可欠な情報通信機能を確保する D大規模自然災害発生後であっても、経済活動(サプライチェーンを含む)を機能不全に陥らせない E大規模自然災害発生後であっても、生活・経済活動に必要最低限の電気、ガス、上下水道、交通ネットワーク等を確保するとともに、これらの早期復旧を図る F災害に強い人づくり・地域づくりを進めるとともに、大規模自然災害発生後であっても、市民・地域が力を発揮できるよう、環境を整備する G制御不能な二次災害を発生させない H大規模自然災害発生後であっても、地域社会・経済が迅速に再建・回復できる条件を整備する 起きてはならない最悪の事態(リスクシナリオ) 1-1 住宅や多数の者が利用する建築物等の倒壊等による多数の死傷者の発生◇ 1-2 密集市街地や不特定多数が集まる施設における大規模火災による多数の死傷者の発生◇ 1-3 広域にわたる大規模津波等による多数の死者の発生◇ 1-4 風水害(河川の氾濫、市街地の大規模浸水等)による多数の死傷者の発生◇ 1-5 がけ崩れ等の土砂災害による多数の死傷者の発生や造成宅地の崩壊等による人身被害の発生◇ 1-6 避難指示等の発令の遅れ、情報伝達の不十分等による避難行動の遅れなどでの多数の死傷者の発生◇ 2-1 物資輸送・集積拠点の被災、配送能力の不足や配送ルートの途絶により、物資の滞留等が発生し、食料・飲料水等、生命に関わる物資が市民に適切に供給できない事態◇ 2-2 消防の被災等による消火・救助・救急活動等の絶対的不足、行方不明者捜索の難航、広域災害における広域連携・支援の拠点としての役割が達成できない事態◇ 2-3 救助・救急、医療活動のためのエネルギー供給の長期途絶 2-4 帰宅困難者等への支援不足による被害の拡大 2-5 車中泊避難等の多数発生による健康被害の発生◇ 2-6 医療施設及び関係者の絶対的不足・被災、支援ルートの途絶による医療機能の麻痺◇ 2-7 被災地における疾病・感染症等の大規模発生 3-1 市役所及び区役所の機能不全 3-2 電話、通信回線の被害・輻輳等により災害・被害情報の収集が困難となり、初期の情報発信を適切に実施できない事態 3-3 市職員等の被災や長期かつ大量の災害業務の増加、惨事ストレスなどに伴う心身の不調による行政機能の大幅な低下 4-1 電力供給停止等による情報通信の麻痺・長期停止 4-2 テレビ・ラジオ放送の中断等により、災害情報が必要な者に伝達できない事態 5-1 企業の被災に伴う事業継続不能、社会活動に必要なエネルギー供給の停止等による企業の生産力低下及び企業の市外流出 5-2 港湾施設、船舶の被災等による港湾機能、海上交通・輸送機能の停止◇ 5-3 緊急輸送道路網の分断等、基幹的陸上交通ネットワークの機能停止◇ 6-1 電力・ガス・上水道・下水道などのライフラインや、廃棄物処理等の機能停止の長期化◇ 6-2 道路被害による道路交通網の分断◇ 6-3 鉄道被害等による鉄道交通網の分断、広域的な基幹交通の機能停止◇ 7-1 市民・地域・事業者の共助体制が機能せず、避難所設置、避難支援や発災直後の救助活動が不足する事態 7-2 災害時要援護者(配慮を要する高齢者、障害者、乳幼児など)への地域の支援が不足する事態◇ 7-3 避難所開設・運営における住民自主運営体制の不備、女性の視点からの対策が不十分である等により、避難所の生活環境が悪化する事態◇ 8-1 市街地での大規模火災の発生◇ 8-2 沿線・沿道の建築物倒壊による直接的な被害及び交通麻痺、余震等による被災建築物の倒壊・部材の落下、擁壁の転倒等による二次被害の発生 8-3 石油コンビナートの火災等二次災害の発生 8-4 有害物質の大規模拡散・流出 9-1 復興体制及び復興計画策定の遅れにより、復旧復興が大幅に遅れる事態 9-2 復興まちづくりなどの復旧復興を担う人材及び資機材の不足等により、復旧復興が大幅に遅れる事態 9-3 被害認定調査、罹災証明発行、仮設住宅の供給等の業務の遅れによる生活再建の遅れ、地域コミュニティの喪失 9-4 地域コミュニティの崩壊、治安の悪化等により、復旧復興が大幅に遅れる事態 9-5 大量に発生する災害廃棄物(災害がれき、片付けごみ)の処理の停滞により、復旧復興が大幅に遅れる事態◇ 9-6 文化財・観光資源の被災等による観光・MICE都市としての横浜のブランド力の低下、風評被害等による来街者の大幅な減少 ◇:脆弱性評価において見直し・拡充・促進等の必要があるとされたもの、国の重要インフラ緊急点検を踏まえた、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の対象事業など、重点的に推進する取組を含むリスクシナリオ 「起きてはならない最悪の事態(リスクシナリオ)」を回避するための取組の方向性 表の見方 9つの「事前に備えるべき目標」 37の「起きてはならない最悪の事態(リスクシナリオ)」 ◇ ○取組の方向性の代表例 ◇:重点的な取組を含むリスクシナリオ 目標1 大規模自然災害が発生したときでも.命の保護が最大限図られる(1/ 2) 1-1 住宅や多数の者が利用する建築物等の倒壊等による多数の死傷者の発生◇ ○建物所有者等への継続的な支援や啓発の実施、現状の耐震化補助事業の見直し等、住宅や多数の者が利用する民間建築物等の耐震化の促進 ○家具転倒防止対策の必要性の広報・啓発、対策の実施が困難な高齢者世帯等に対する設置代行の推進 ○まち歩きなどを通じた日頃からの避難経路確認の推奨、町の防災組織を通じた支援の充実による地域の災害対応力向上、通学路や生活道路などの安全対策の推進 ○学校での実践的な避難訓練の実施、社会福祉施設等の施設管理者へのマニュアル整備や避難訓練の実施、廊下や階段等の適切な維持管理など、屋内被害の軽減に向けた取組の推進 ○公共建築物の天井脱落対策、外壁・サッシ等の非構造部材の耐震化の推進 磯子スポーツセンター天井脱落対策の写真(左:改修前 右:改修後) 1-2 密集市街地や不特定多数が集まる施設における大規模火災による多数の死傷者の発生◇ ○耐火性の高い建築物への建替えの促進によるまちの不燃化の推進、延焼遮断帯の形成に資する都市計画道路の整備推進 ○感震ブレーカーの設置による出火防止の推進、初期消火器具の設置とそれに伴う訓練実施による地域の防災力向上 ○消防団員の確保や活動の充実強化に向けた活動環境改善の推進 ○避難空間の確保に向けた防災協力農地の登録促進、不足している地域への公園の新設・整備の推進 地域住民による初期消火訓練の様子の写真 1-3 広域にわたる大規模津波等による多数の死者の発生◇ ○防護レベルの津波について、神奈川県の海岸保全基本計画で想定している潮・波浪の計画天端を基準とした港湾・漁港区域の整備等の推進 ○減災レベルの津波について、津波警報等の緊急情報の迅速かつ正確な提供、津波避難情報板の設置、防災訓練を活用した啓発等、避難を軸とした取組の推進 1-4 風水害(河川の氾濫、市街地の大規模浸水等)による多数の死傷者の発生◇ ○時間降水量50mm対応の河川改修及び河道の確実な保全、時間降水量50mm又は60mmに対応した雨水幹線の整備等の計画的かつ着実な推進、流域全体での河川、下水道、公園緑地、道路などのまちづくりとの連動や、グリーンインフラを活用した減災対策などの総合的な浸水対策の推進 ○着実な避難に向け、市民や来街者等への様々な方法での災害情報の正確かつ迅速な伝達 ○防災教育など、防災意識の醸成による「逃げ遅れゼロ」、「社会経済被害の最小化」の実現 1-5 がけ崩れ等の土砂災害による多数の死傷者の発生や造成宅地の崩壊等による人身被害の発生◇ ○がけ地所有者等に対する継続的な働きかけ、工事費用の助成などを活用したがけ地対策の推進、公有地におけるがけ地の安全対策の迅速な実施 目標1 大規模自然災害が発生したときでも人命の保護が最大限図られる(2/ 2) 1-6 避難指示等の発令の遅れ、情報伝達の不十分等による避難行動の遅れなどでの多数の死傷者の発生◇ ○避難勧告等の発令・伝達・避難支援などのそれぞれの段階における適切な避難行動を促すことによる人的被害の軽減、適切な避難判断・行動を促すための幅広い世代への防災教育の充実や、自治会町内会等に対する研修の機会の提供 ○緊急情報を伝達する設備(防災スピーカー等)の増設、民間が運営する多様な情報サービスの活用など、災害情報の伝達手段の強化・多様化の検討 横浜市民防災センター、防災教育の様子の写真 目標2 大規模自然災害発生直後から救助・救急、医療活動等が迅速に行われる(それがなされない場合の必要な対応を含む)(1/2) 2-1 物資輸送・集積拠点の被災、配送能力の不足や配送ルートの途絶により、物資の滞留等が発生し、食料・飲料水等、生命に関わる物資が市民に適切に供給できない事態◇ ○地域防災拠点や方面別備蓄庫等の備蓄物資の適切な維持・管理・更新等、民間企業との協定に基づく発災初期の生活必需物資の確保など、途切れることなく市民に届け続けることができる体制の構築 ○各家庭1人最低3日分の備蓄促進に向けた、各種広報媒体やイベント等の機会を活用した普及・啓発 ○各拠点における分散備蓄の推進、応急給水体制整備、備蓄物資の確保推進 ○沿道建築物の耐震化促進、緊急輸送路をはじめとする幹線道路ネットワークの地域防災拠点の構築の推進(5-3再掲) 防災備蓄庫の写真 2-2 消防の被災等による消火・救助・救急活動等の絶対的不足、行方不明者捜索の難航、広域災害における広域連携・支援の拠点としての役割が達成できない事態◇ ○消防本部庁舎の整備、消防団員の確保と災害対応能力向上、航空消防体制の確保、車両・資機材の整備等を通じた救急・救助活動能力の強化、Net119緊急通報システムの導入推進による火災や救急などの災害受信体制の強化、ドローンの更なる活用検討 ○他都市との共同訓練の実施による協定の実効性確保、オープンスペースの活用による広域応援活動拠点となる空間の形成、現場指揮本部機能の強化等の推進 ○沿道建築物の耐震化促進、緊急輸送路をはじめとする幹線道路ネットワークの構築の推進(5-3再掲) 2-3 救助・救急、医療活動のためのエネルギー供給の長期途絶 ○発災初期の供給途絶に対応するための非常用発電機等の整備、燃料の備蓄の継続的な実施、適切な維持・管理、 自立・分散型エネルギーの導入等によるエネルギー供給源の多様化・分散化等の取組の推進 ○社会情勢の変化を踏まえた協定の見直しなどによる実効性の担保、救急・救助活動、医療活動等の体制整備の更なる推進 2-4 帰宅困難者等への支援不足による被害の拡大 ○外国人、来街者に対する情報提供等の支援の充実、市民や事業者との協力体制の強化等、公民連携による帰宅困難者対策の推進 ○「帰宅困難者一時滞在施設」の拡充、水・食料・情報等の支援の取組の推進、「一斉帰宅抑制の基本方針賛同事業者」の確保及び一斉帰宅の抑制についての周知などの帰宅困難者が発生しないための事前対策の推進 ◯来街者を含めた帰宅困難者の搬送(帰宅支援)について、国の検討状況と合わせ、近隣自治体との連携も含めた対策の推進 2-5 車中泊避難等の多数発生による健康被害の発生◇ ○車中泊避難者が発生することを前提とした避難者の把握等の対策、地域防災拠点の環境整備の推進、車中泊による健康被害発生リスクの周知、やむを得ず車中泊が発生した場合の早期解消の取組推進 目標2 大規模自然災害発生直後から救助・救急、医療活動等が迅速に行われる(それがなされない場合の必要な対応を含む)(2/2) 2-6 医療施設及び関係者の絶対的不足・被災、支援ルートの途絶による医療機能の麻痺◇ ○災害発生時の医療提供体制の整備による市民の生命や身体の安全確保、保健活動の早期開始による健康被害の最小化 ○災害時にも適切な医療を提供ができるよう、市域全体における医療施設の確保、医療機能の早期回復・機能継続に向けたBCP策定、備蓄や関係団体との協定による医薬品・資機材の確保に向けた取組の促進 再整備後の横浜市立市民病院のイメージの写真 2-7 被災地における疾病・感染症等の大規模発生 ○健康管理指導などの保健衛生体制整備等による疾病・感染症の発生予防対策の充実、下水直結式仮設トイレ(災害用ハマッコトイレ)の整備及び適切な使用法の普及・啓発、医療救護体制の充実化等による、疾病・感染症等の重症化・拡大防止の取組推進 ○浸水時の適切な衛生対策・消毒方法、衛生環境確保の取組の促進 下水直結式仮設トイレ(災害用ハマッコトイレ)の写真 目標3 大規模自然災害発生直後から必要不可欠な行政機能を確保する 3-1 市役所及び区役所の機能不全 ○災害対応拠点となる市役所・区役所の機能を確保、一部区庁舎での河川流域の特性に応じた浸水対策の実施 ○発災後72時間の市区災害対策本部の運営に必要な予備電源等の確保、地域防災拠点の開設支援に必要な備蓄の推進、重要施設への優先度に応じた中長期的な燃料供給ができる体制整備 ○市災害対策本部運営訓練、九都県市合同横浜市総合防災訓練などを通じた災害対応力の強化、他都市との災害時相互応援協定の締結等による受援体制の充実等による体制強化 3-2 電話、通信回線の被害・輻輳等により災害・被害情報の収集が困難となり、初期の情報発信を適切に実施できない事態 ○防災行政用無線の適切な維持・管理、災害時優先電話の増強、災害情報の伝達手段の強化・多様化の検討、迅速で的確な発災対応のための危機管理システム機能の拡充検討、災害時における情報収集等の手段の一つとしての自転車の活用 3-3 市職員等の被災や長期かつ大量の災害業務の増加、惨事ストレスなどに伴う心身の不調による行政機能の大幅な低下 ○発災直後から中長期にわたる行政機能の確保に不可欠である職員の心身の健康の確保、「災害時の職員の健康管理の手引」の各職員への普及・意識啓発、より確実なケア体制の構築に向けた検討の推進 目標4 大規模自然災害発生直後から必要不可欠な情報通信機能を確保する 4-1 電力供給停止等による情報通信の麻痺・長期停止 ○通信事業者と相互に連携しつつ行政として必要な対策の推進、情報通信機器・環境の進展にあわせた災害に強い通信機能の更なる確保・多重化の推進 安否情報検索 J-anpi の写真 4-2 テレビ・ラジオ放送の中断等により、災害情報が必要な者に伝達できない事態 ○災害時における報道関係者への適切な情報提供の仕組みの充実 ○緊急情報を伝達する設備(防災スピーカー等)の増設、民間が運営する多様な情報サービスの活用など、災害情報の伝達手段の強化・多様化の検討、情報入手が困難な市民等に配慮したきめ細やかな情報伝達手段や体制の充実 目標5 大規模自然災害発生後であっても、経済活動(サプライチェーンを含む)を機能不全に陥らせない 5-1 企業の被災に伴う事業継続不能、社会活動に必要なエネルギー供給の停止等による企業の生産力低下及び企業の市外流出 ○民間企業のBCP(事業継続計画)策定支援による事業継続の取組の推進、災害時における中小企業等への緊急相談窓口の設置 5-2 港湾施設、船舶の被災等による港湾機能、海上交通・輸送機能の停止◇ ○港湾施設の耐震化、事業者と連携した災害時の海上輸送手段の確保、関係機関や事業者を含めた防災訓練の実施など、港湾機能の維持・早期復旧を目指した取組の推進 ○将来的に見込まれている客船の寄港の増加や都心臨海部の開発促進等、臨海部における災害対応に備えた港湾消防力の向上 消防艇による放水訓練の写真 5-3 緊急輸送道路網の分断等、基幹的陸上交通ネットワークの機能停止◇ ○沿道建築物の耐震化促進、緊急輸送路をはじめとする幹線道路ネットワークの構築の推進 橋梁の耐震化(谷津坂第一高架橋)と横浜環状北西線(川向地区)の写真 目標6 大規模自然災害発生後であっても、生活・経済活動に必要最低限の電気、ガス、上下水道、交通ネットワーク等を確保するとともに、これらの早期復旧を図る 6-1 電力・ガス・上水道・下水道などのライフラインや、廃棄物処理等の機能停止の長期期化◇ ○上下水道、汚水処理・廃棄物処理施設等の機能停止・長期化の防止に向けた、自立・分散型エネルギーの導入等によるエネルギー供給源の多様化・分散化等の取組の推進、施設や管路の更新・耐震化による災害に強いライフラインの構築 ○ライフライン事業者との協定に基づく綿密な連携による電力・ガスなどの迅速な復旧 西部水再生センターのメガソーラーの写真 6-2 道路被害による道路交通網の分断◇ ○沿道建築物の耐震化促進、緊急輸送路をはじめとする幹線道路ネットワークの構築の推進(5-3再掲) 6-3 鉄道被害等による鉄道交通網の分断、広域的な基幹交通の機能停止◇ ○鉄道事業者との協力による早期運行再開に向けた対策の推進、鉄道施設の耐震化や鉄道ネットワークの強化 市営地下鉄防災訓練の写真 目標7 災害に強い人づくり・地域づくりを進めるとともに、大規模自然災害発生後であっても、市民・地域が力を発揮できるよう、環境を整備する(1/ 2) 7-1 市民・地域・事業者の共助体制が機能せず、避難所設置、避難支援や発災直後の救助活動が不足する事態 ○様々な機会を通じた幅広い世代への啓発による自助・共助の推進、太陽光発電や家庭用燃料電池等の導入による停電対策や平時にも活用できるエネルギー源を有する住宅の普及推進 ○地域活性化につながる取組の推進、活動の担い手育成、様々な団体間の連携促進による地域コミュニティのさらなる強化 町の防災組織の取組事例の写真 目標7 災害に強い人づくり・地域づくりを進めるとともに、大規模自然災害発生後であっても、市民・地域が力を発揮できるよう、環境を整備する(2/ 2) 7-2 災害時要援護者(配慮を要する高齢者、障害者、乳幼児など)への地域の支援が不足する事態◇ ○災害時要援護者支援の取組が進んでいない地域への働きかけ、身近な地域における支えあいの仕組みづくりの一層の推進 ○要援護者と一体となった防災訓練などを通じた意識啓発 ○福祉避難所のさらなる確保、相互に支援し合う仕組みづくりの推進、福祉避難所の住環境整備 福祉避難所防災訓練の写真 7-3 避難所開設・運営における住民自主運営体制の不備、女性の視点からの対策が不十分である等により、避難所の生活環境が悪化する事態◇ ○すべての避難者が安全に安心して過ごせる避難所の運営に向けた女性参画の推進 ○妊産婦や子育て世代、外国人や性的少数者等への配慮やペット同行避難者の受入れ及び支援などへの理解の深化、支援団体との連携による相談体制の充実等、避難所生活環境の向上 防災訓練(避難所運営ゲーム)の写真 目標8 制御不能な二次災害を発生させない 8-1 市街地での大規模火災の発生◇ ○耐火性の高い建築物への建替えの促進によるまちの不燃化の推進、延焼遮断帯の形成に資する都市計画道路の整備推進(1-2再掲) ○感震ブレーカーの設置による出火防止の推進、初期消火器具の設置とそれに伴う訓練実施による地域の防災力向上(1-2再掲) ○消防団員の確保や活動の充実強化に向けた活動環境改善の推進(1-2再掲) 河川からの取水の写真 8-2 沿線・沿道の建築物倒壊による直接的な被害及び交通麻痺、余震等による被災建築物の倒壊・部材の落下、擁壁の転倒等による二次被害の発生 ○迅速な応急危険度判定の実施に向け、危険度判定士の養成講習会及び判定士登録の広報・啓発による制度の周知、模擬訓練による技術力の向上、判定備品・資機材の整備等の実施 ○緊急情報を伝達する設備(防災スピーカー等)の増設、民間が運営する多様な情報サービスの活用など、災害情報の伝達手段の強化・多様化の検討(1-6再掲) 応急危険度判定訓練の写真 8-3 石油コンビナートの火災等二次災害の発生 ○「横浜市石油コンビナート等防災対策編」の取組に加え、危険物施設等の適切な維持管理及び事故防止対策の指導など、二次災害発生防止の対策推進 8-4 有害物質の大規模拡散・流出 ○事業者への継続的な指導・啓発、発災後に流出した有害物質の感知や災害対応に必要な資機材の整備及び教育等による迅速に対応できる体制の確保・整備の推進 特殊災害活動(訓練)の様子の写真 目標9 大規模自然災害発生後であっても、地域社会・経済が迅速に再建・回復できる条件を整備する 9-1 復興体制及び復興計画策定の遅れにより、復旧復興が大幅に遅れる事態 ○大規模自然災害が発生した際の迅速な震災復興本部の設置、将来の横浜を見据えた都市づくりに向けた「震災復興基本計画」の策定、仙台防災枠組 2015-2030で示された「より良い復興(Build Back Better)」の考え方を踏まえた復興事業を円滑に実行できる平時からの取組の推進 9-2 復興まちづくりなどの復旧復興を担う人材及び資機材の不足等により、復旧復興が大幅に遅れる事態 ○地域まちづくり活動、災害ボランティアコーディネーターの育成や災害ボランティアの確保、市内中小企業の活性化に向けた各種取組などを通じた平時からの復旧復興における人材の育成・確保等の推進 ○復旧復興に関連する各団体や事業者との連携強化、応急復旧期から本復旧期の時期に応じた入札方式の適用と具体的な状況に応じた不調対策の実施 災害ボランティアによる図上シミュレーション訓練の様子の写真 9-3 被害認定調査、罹災証明発行、仮設住宅の供給等の業務の遅れによる生活再建の遅れ、地域コミュニティの喪失 ○建物被害認定調査及び罹災証明の迅速な発行に向けた、操作研修・システム改修等の実施による被災者支援システムの適切かつ確実な運用 ○仮設住宅のより主体的かつ迅速な供与に向けた建設場所の整理等の推進、「みなし仮設」の活用体制の整備推進 ○災害から得られた教訓や関連法規の改正を踏まえた生活再建支援体制の整備の推進 9-4 地域コミュニティの崩壊、治安の悪化等により、復旧復興が大幅に遅れる事態 ○復旧復興期の応急仮設住宅における地域コミュニティの維持・醸成、仮設入居者へのケア等の実施に向けた事前対策の推進、災害関連死等を防ぐ対策の推進 ○災害時にも地域における治安悪化を防ぐための防犯パトロールが実施される働きかけの推進 防犯パトロールの様子の写真 9-5 大量に発生する災害廃棄物(災害がれき、片付けごみ)の処理の停滞により、復旧復興が大幅に遅れる事態◇ ○災害廃棄物処理計画に基づく処理体制の構築、仮置場候補地の調整の推進 ○被災建築物の解体及びがれきの撤去等について、民間事業者団体との各種協定が有効に機能するよう訓練等への事業者の参加の促進及び他自治体等との平時からの情報共有 9-6 文化財・観光資源の被災等による観光・MICE都市としての横浜のブランド力の低下、風評被害等による来街者の大幅な減少 ○文化財・観光資源の耐震化等の減災対策及び早期復旧体制整備の推進、平時からのマスメディア等との協力・連携等の推進によるシティセールス体制の整備 ○被災後のマスメディア等を通じた復旧復興状況の積極的な発信による被災後の都市イメージの回復、観光・MICEの推進による来街者の誘致 ◯平時からのシティプロモーションによる横浜市のブランド力向上及びシビックプライドの醸成等の推進、大規模イベントの機会を捉えたシティプロモーションの更なる強化 横浜プロモーション動画の写真 複数のリスクシナリオにまたがる横断的な取組の方向性 横断的事項1老朽化対策の推進 ○公共施設の長寿命化を基本とした確実な点検と優先度を踏まえた計画的かつ効果的な保全・更新 ○市立小中学校や市営住宅などの建替えにおける事業費の平準化やコスト縮減、多目的化や複合化等の再編整備の検討など、あらゆる工夫を重ねた計画的かつ効率的な建替えによる時代のニーズに対応できる公共建築物への再生 ○新技術の活用や適正工期の確保等を通じた市内中小企業における担い手の確保・育成と生産性向上 横断的事項2公民連携(共創)の推進 ○公民連携による新たな価値を創造する「オープンイノベーション」の全庁的な推進 ○共創の取組の円滑な推進や質の向上に向けた民間提案窓口(共創フロント)の強化、公民対話(共創ラボ等)の拡充、民間とのネットワークの充実・強化 ○急速に進む技術革新や「横浜市官民データ活用推進基本条例(平成29年3月制定)」の施行などの社会状況を踏まえた先端技術やデータ活用による連携や対話の推進 ○共創を担う人材育成に向けた、より効果的な研修実施や情報共有の推進 【参考】脆弱性評価について 脆弱性評価とは、「起きてはならない最悪の事態(リスクシナリオ)」を回避するため、現在、実施している取組の脆弱性を分析・評価し、対応すべき課題などを明確化する事です。 《評価結果の一例》 ◇事前に備えるべき目標6 「大規模自然災害発生後であっても、生活・経済活動に必要最低限の電気、ガス、上下水道、交通ネットワーク等を確保するとともに、これらの早期復旧を図る」 リスクシナリオ6-2道路被害による道路交通網の分断 【課題例】○発災時における重要拠点となる区役所や消防署などの施設への通行機能を確保するため、優先度の高い場所から無電柱化を推進していくことが必要 無電柱化前と無電柱化後の写真 ◇事前に備えるべき目標7 「災害に強い人づくり・地域づくりを進めるとともに、大規模自然災害発生後であっても、市民・地域が力を発揮できるよう、環境を整備する」 リスクシナリオ7-3避難所開設・運営における住民自主運営体制の不備、女性の視点からの対策が不十分である等により、避難所の生活環境が悪化する事態 【課題例】○地域防災拠点の運営に女性の視点が一層取り入れられるように、女性の参画の重要性について啓発を進めていくなど、男女共同参画の意識醸成が必要 この概要版は、「横浜市強靱化地域計画〜強靱化に関する取組の方向性〜」の一部を紹介したものです。本計画の詳細な内容は横浜市ホームページでご覧いただけます。 横浜市 強靱化 検索 平成31年3月 編集・発行 横浜市政策局政策課 総務局危機管理課 〒231-0017横浜市中区港町1-1 電話:045-671-3126 FAX:045-663-4613