令和7年度 横浜市予算 あなたと創る横浜の財政 このまちの主人公はあなたです。 はじめに 普段の生活にはあまりなじみがなく、「自分ごと」として捉えにくい、難しいイメージのある財政について、令和7年度予算を題材に、イラストやグラフを用いて、わかりやすくお伝えします。 私たちの税金が、どこに、どのくらい使われているかを知り、横浜市の今と未来を一緒に考えてみませんか? 財政って、なに? 財政とは、税金を使ってわたしたち一人ひとりの生活をより豊かにしていく営みのことです。 たとえば、小中学校の建設や運営、道路・公園の整備、福祉サービスといった、行政だからこそ提供できる公共サービスを、価値をつけてお返しする営み、それが財政です。 横浜市の令和7年度予算 令和7年度予算の特徴 令和7年度は、「横浜市中期計画2022-2025」の総仕上げをするとともに、新たな防災・減災対策や循環型社会・カーボンニュートラルの取組など、変化の激しい社会環境への対応を進めます。 また、全ての施策・事業を対象に、データに基づいた、「質の向上」及び「創造と転換」を進め、「人にやさしいまち」「出かけたくなるまち」「世界を魅了するまち」を目指します。 なお、予算とは、1年間の収入と支出の見積りのことです。 令和7年度予算の金額と内容 一般会計は、1兆9,844億円です。一般会計とは、福祉、医療、教育や、道路・公園の整備など基礎的な行政サービスを行う会計のことです。市税は主に、この一般会計に使われています。 次に特別会計は、1兆3,649億円です。特別会計とは、特定の事業を特定の収入によって行い、その収支を明確にするために一般会計から独立させた会計のことです。横浜市には16の特別会計があります。 最後に、企業会計は、6,387億円です。企業会計とは、地下鉄、バス、水道、病院など、民間企業と同じように、事業で収益を上げて運営している会計のことです。横浜市には7つの公営企業会計があります。 一般会計、特別会計、企業会計を合わせた総計は、3兆9,881億円で、過去最大の規模となりました。 一般会計の収入 収入合計 1兆9,844億円 内訳 市税 9,429億円 47.5% 市内にお住まいの個人や市内に事業所がある法人が納める市民税や、土地や家屋などを持っている方に納めていただく固定資産税など、市民のみなさまにご負担いただくお金 地方交付税 250億円 1.3% 地域ごとの状況の違いによって生じる地方税収の差などを調整するため、国から財源が足りない地方公共団体に交付されるお金 県税交付金 1,410億円 7.1% いったん県税として徴収してから県内市町村に配分されるお金 国・県支出金 5,441億円 27.4% 特定の事業に対して、国・県から使いみちを指定して交付されるお金 繰入金 368億円 1.9% 基金の取り崩しなどにより繰り入れるお金 ※減債基金からの繰入金120億円を含む その他 1,919億円 9.6% 市債 1,027億円 5.2% 道路や公園、市民利用施設など長い間利用される市の施設を作るためなどに借り入れるお金 市税収入 市税合計 9,429億円 個人市民税 4,711億円 50.0% 法人市民税 551億円 5.8% 固定資産税 3,044億円 32.3% 都市計画税 664億円 7.0% その他 459億円 4.9% 納税者数の増加や給与の引上げ、企業収益の増加などによって、令和7年度は、過去最高の市税収入を見込んでいます。 ただし、一般のご家庭や企業と同様に、物価高騰や人件費増加に伴う対応などで支出額も増えるため、財政状況に余裕が生まれるわけではありません。 また、横浜市は個人市民税が市税収入の半分を占めており、個人市民税の割合が大きいと人口の増減の影響を受けやすく、将来想定される人口減少に伴って、市税収入も減少していくことが見込まれています。 一般会計の支出(性質別) 支出合計 1兆9,844億円 内訳 人件費 3,965億円 19.9% 職員の給料や、退職金などの費用 扶助費 6,525億円 32.9% 児童手当、生活保護、保育所・幼稚園などの運営、医療費の援助などの費用 公債費 1,664億円 8.4% 過去の借入金の返済のための費用 行政運営費 3,486億円 17.6% 市民利用施設の運営や市民サービス、中小企業への融資などのほか、庁舎の管理や事務に必要な費用 施設等整備費 2,002億円 10.1% 市民利用施設・道路・公園などの整備や維持修繕、耐震化などに必要な費用 繰出金 2,203億円 11.1% 一般会計から、一定のルールにより特別会計と公営企業会計に支出する費用 人件費、扶助費、公債費の3つを合わせた義務的経費と呼ばれる経費は、1兆2,153 億円 61.2%です。 義務的経費の大部分は、法律などで支出が義務付けられているため、毎年必ず支出が必要となる固定的な経費です。 この義務的経費の割合が高いと、横浜市ならではの独自の事業を行うのが難しくなってしまいます。 また、「義務的経費」以外にも公園や道路、小中学校の維持・管理の費用など、簡単に削減することができない固定的な経費も多いのが実態です。 日々の暮らしのなかの予算 皆さまに納めていただいた税金等が、日々の暮らしでどのように使われているかについて、日常生活に馴染みのある主な事業を例にご紹介します。 保育所や認定こども園等の運営 保育士の配置や施設の整備、保育・教育の提供等を行うために、1,758億円の予算が使われる予定です。保育所等を利用する児童は、9万2,638人を見込んでおり、児童1人あたりでは、189万7,677円となります。 小・中・特別支援学校の運営 教職員人件費や給食費をはじめとした学校を運営するために、2,002億円の予算が使われる予定です。児童・生徒数は、24万5,770人を見込んでおり、児童生徒1人あたりでは、81万4,780円となります。 小児医療費助成 小児医療に要する費用の助成を行うため、158億円の予算が使われる予定です。対象人数は41万9,103人を見込んでおり、対象者1人あたりでは、3万7,611円となります。 介護保険(保険給付等) 要介護認定や介護保険サービスに係る給付などを行うため、3,143億円の予算が使われる予定です。要介護認定者数は、19万8,200人を見込んでおり、要介護認定者1人あたり、158万5,750円となります。 ごみの処理や減量・リサイクルに 家庭ごみの収集やごみ焼却工場の整備、分別・リサイクルなどを実施するため、528億円の予算が使われる予定です。市民1人あたりでは、1万4,009円となります。 道路の維持・管理 道路の修繕や街路樹の管理などをはじめとした道路の維持・管理を行うため、195億円の予算が使われる予定です。市民1人あたりでは、5,169円となります。 公園の維持・管理 公園施設等の点検・補修、清掃など、公園の維持・管理を行うため、77億円の予算が使われる予定です。市民1人あたりでは、2,042円となります。 公共施設の保全更新 小中学校や市営住宅、市民利用施設等の公共建築物、道路や河川施設等のインフラ施設の保全更新を行うため、1,145億円の予算が使われる予定です。市民1人あたりでは、3万382円となります。 なお、「市民1人あたり」は、令和7年1月1日現在の人口3,769,584人で算出した予算額となります。 一般会計の予算を家計に例えてみると より身近に感じていただくため、横浜市の1年間の収入と支出を、年収500万円 月収41万6,700円 の家庭の家計簿に例えてみました。 収入月額 ・給料など(月収) 41万6,700円(年収500万円) 市税などに相当します ・奨学金、保険給付金、助成金など 17万1,176円 国や県からの補助金に相当します ・銀行からの借入など 3万2,304円 市債に相当します ・預貯金の取崩し 4,090円 減債基金に相当します 合計(月額) 62万4,270円 支出月額 ・食費、光熱・水道費 12万4,720円 人件費に相当します ・医療費、介護費、保育料など 24万5,450円 社会保障経費に相当します ・家のローン返済 5万2,334円 市債の返済に相当します ・交通・通信費、教育費など 10万9,665円 行政運営費に相当します ・自宅の改築・修繕、家具の買替、車の点検など 6万2,989円 施設等整備費に相当します ・別に住む家族などへの仕送り 2万9,112円 他会計への支出金に相当します 合計(月額) 62万4,270円 家計に例えても、簡単には削減できない経費で約2/3を占めています。 なお、7年度予算の予算全体の特徴や考え方を知りたい方は https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/zaisei/jokyo/yosan/r7/r7.files/R7yosan.pdf 予算の各種数値を詳しく知りたい方は https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/zaisei/jokyo/yosan/r7/r7.files/R7yosan-siryou.pdf 主要な事業について詳しく知りたい方は https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/zaisei/jokyo/yosan/r7/r7.files/R7yosan-shuyou.pdf をご覧ください。 横浜市の持続的な発展に向けた財政ビジョン 今後、横浜市では、人口減少によって、個人市民税を中心に市税収入が減少していくことが見込まれています。 また、高齢化の進展によって、社会保障経費の支出が拡大していくことが予測されています。 公共施設の老朽化も進み、保全更新の需要も高まることも見込まれています。 そこで横浜市では、将来にわたる安定した市政運営の土台となる持続的な財政を実現するため、令和4年度に、中長期の財政方針である財政ビジョンを策定しました。 持続的な財政とは、行政サービスを提供し続けることができる安定性、災害等が起きても市民生活を守ることができる強靭性、インフラ整備など長期的な発展に向けた事業を進めることができる将来投資能力、の3つの性質を備えた状態で、財政を土台に市政運営を行っていくことを目指しています。 そして、豊かな横浜を将来に引き継ぐため、横浜市では6つの基本方針と、4つの将来に向けたアクションを定めて、取り組みを進めています。 財政ビジョンの詳しい内容を知りたい方は https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/zaisei/jokyo/zaiseivision/zaiseivision.html をご覧ください。 なお、財政ビジョンでは、みなさんに横浜市の財政状況をわかりやすくお伝えしていくことも大切な取組の1つとしています。 コラム1 ふるさと納税の取組 背景 ふるさと納税とは、生まれ故郷や応援したい自治体に寄附を行い、その寄附金額のうち自己負担額の2,000円を除いた全額が税金(個人住民税や所得税)から控除されるとともに、居住自治体以外の自治体への寄附の場合、返礼品を受け取ることができる制度です。 これによる自治体の税収影響額(減収額)については、納税者の多い都市部で大きくなる傾向があり、最大の人口を抱える本市では税収影響額が年々拡大しており、強い危機感を持っています。 こうした状況を踏まえ、中期計画において、寄附受入額の目標を設定し、寄附受入拡大に向けて取組を強化しています。併せて、本来の趣旨に沿った制度となるよう、指定都市市長会等を通じ、国への税制改正要望を粘り強く行っています。 寄附受入拡大に向けた取組 6年度は、寄附用ポータルサイトや返礼品の拡充、インターネット上でのプロモーション強化の取組等により、中期計画の目標(令和7年度20億円)を1年前倒して達成し、7年度予算では目標額を上回る35億円を計上しました。7年度も、引き続き、戦略的・効果的なプロモーションの強化や魅力的な返礼品の拡充等の取組を進め、「横浜らしいふるさと納税」をより一層推進していきます。 コラム2 市民目線の施策実現に向けて デジタルプラットフォームの活用 横浜市では、予算編成を行うに当たり、「市民の皆様のために何ができるか」「市民の皆様に納得・共感していただけるか」という点に着目し、多様な地域ニーズや課題等の把握に取り組んできました。 令和4年度からは新たな取組として「デジタルプラットフォーム」を活用した意見募集をスタートさせています。この取組は、市民の皆様のご意見を伺う「場」として、インターネット上に公開されたプラットフォームを設けるもので、令和6年度はお住まいの区について「こんなまちになったらいいな」というテーマで意見募集を実施しました。 令和7年度予算(自主企画事業)への活用状況 参考にしたご意見の数 63件 予算額、事業数 5,588万8千円、54事業 参考にした内容例 地域のプロモーションに係る提案(瀬谷区)  区庁舎への親子休憩スペースに係る提案(港南区) マンション防災の推進に係る提案(戸塚区) 活用事例の内訳 GREEN EXPO 2027 まちづくり 14件 1,335万4千円 子育て 12件 918万2千円 まちのにぎわい 11件 1,205万9千円 脱炭素・環境 10件 698万円 市民活動 9件 454万円 防災 4件 868万7千円 その他 3件 108万6千円 詳細はこちらもご覧ください。 https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/kocho/dp/dp.html ポイントをおさらい 財政の意味  財政とは、税金を使って、わたしたち一人ひとりの生活をより豊かにしていく営みのことです。 予算の特徴  7年度予算では、中期計画の総仕上げをするとともに、新たな防災・減災対策や循環型社会・カーボンニュートラルの取組など、変化の激しい社会環境への対応を進めます。  全ての施策・事業を対象に、データに基づいた、「質の向上」及び「創造と転換」を進めます。そして、「人にやさしいまち」「出かけたくなるまち」「世界を魅了するまち」を目指します。 一般会計の収入  市税は、納税者数の増加や企業収益の増加などにより、過去最高を見込んでいます。 一般会計の支出  扶助費など義務的な経費が増加しています。人件費・扶助費・公債費を合わせた義務的経費が支出に占める割合は約6割。しかし、容易には削減できない経費は、この他にもたくさんあるのが実態です。 横浜市の持続的な発展に向けた財政ビジョン 人口減少により市税収入の減少が見込まれる一方で、高齢化の進展による社会保障経費などの増大が見込まれています。このため、財政ビジョンを策定し、4つの分野で将来に向けたアクションに取り組んでいます。 もっと横浜市の財政を知りたい方は… ワンストップ財政情報(アニュアルレポート) 横浜市の予算、決算、財政方針等を中心に、財政の基礎的な情報を知りたい方から詳細なデータを知りたい方まで、幅広いニーズに合わせた情報をわかりやすく効果的に発信しています。 https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/zaisei/jokyo/onestopzaisei.html 財政出前説明会 そもそも財政って何?、なぜいま財政ビジョンが必要なの?など、皆様の疑問に対して、市の職員が直接お伺いして分かりやすくご説明いたします。少人数のグループでも構いません。是非、お気軽にお問い合わせください。 https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/zaisei/jokyo/zaisejokyo/demae.html 財政見える化ダッシュボード 予算の使われ方や、予算事業の内容を、「保健・医療」「子育て」といった分野や調べたいキーワードで検索することができ、グラフで分かりやすく見ることができます。 将来の横浜やお住まいの地域のことを考えたり、協働・共創に向けた情報収集、分析などにぜひお役立てください。 https://zaiseidashboard.city.yokohama.lg.jp/ 最後に、横浜市の未来のために、私たちができることとして、例えば、ごみの分別、食品ロスの削減、ボランティア、運動、横浜市主催のイベントに参加などがあります。 私たちの次の世代、さらにその次の世代に豊かな横浜を引き継いでいくために、ひとりひとりが関心を持って考えていくことが大切です。 このまちの主人公はあなたです。