横浜市福祉のまちづくり条例施行規則の改正について(意見公募概要資料(案)) 1 趣 旨 高齢者、障害者等の外出機会の増大等に伴い、バリアフリー化を着実に進めるための環境整備が求められていることから、今般バリアフリー法政令(※1)が改正され、バリアフリー基準の一部が強化及び新設されました。 横浜市では、福祉のまちづくり条例(以下「条例」という。)及び同条例施行規則(以下、「施行規則」という。)において、整備に関する基準を定めていますが、改正後の政令基準が施行規則の基準を一部上回ることから整合を図るため施行規則の一部を改正します。そのため、施行規則の改正概要について意見募集を 行います。 2 バリアフリー法政令の改正概要 (令和6年6月21 日公布、令和7年6月1日施行) (1) 便所に係る基準の見直し 不特定かつ多数の者又は高齢者、障害者等が利用する便所(以下「不特定多数利用便所(※2)」という。)を設ける場合、車いす使用者用便房を建築物に1箇所以上設けることとされていましたが、原則、各階に1箇所以上設けることとする基準に改正されました。 現行 ・便所を設ける場合は、車いす使用者用便房を建築物に1 箇所以上設ける 改正後 ・原則、不特定多数利用便所は、不特定多数の者が利用する階ごとに1 箇所以上設ける。 ・原則、不特定多数利用便所を設ける階ごとに車いす使用者用便房を1以上設ける。 (2) 車いす使用者用駐車施設に係る基準の見直し 不特定かつ多数の者又は高齢者、障害者等が利用する駐車場を設ける場合には、車いす使用者用駐車施設を1台以上設けることとされていましたが、原則、駐車施設の数に対する割合で定める数以上(乗降場の構造基準を満たす場合は機械式駐車場に設置も可とする)を設けなければならない基準に改正されました。 現行 ・1台以上設ける 改正後 ・駐車施設の総数が200 以下の場合 2%以上 ・駐車施設の総数が201 以上の場合 1%+2 以上 (3) 劇場等における車いす使用者用客席(※3)の基準の創設     劇場等の客席においては、座席の総数に対する割合で定める数以上の車いす使用者用客席を設けなければならない基準が創設されました。 現 行 基準なし 改正後 【設置数】・座席の数が400 席以下の場合、2以上 ・座席の数が401 席以上の場合、0.5%以上 【構造基準】 ○車いす使用者用客席は、次に掲げるものとすること ・幅は90 p以上、奥行きは135 p以上 ・床は平らとすること ○車いす使用者用客席から客席出入口までの経路の1以上を移動等円滑化経路(※4)とする。 3 施行規則の改正概要 【以下の内容について意見募集します】 バリアフリー法では2,000 u以上の施設を対象としていますが、横浜市では、条例及び施行規則において、適合義務対象?途の追加及び適合対象規模要件の引下げを行うとともに、義務基準を付加しています。さらにバリアフリー法より高い水準の基準を自主基準として定め、事前協議により地域の特性や施設用途、規模、利用者の特性に応じた質の高い整備を進めています。今般の政令改正に合わせて、設置数等の基準の引き上げ及び基準の創設を行います。 (1) 便所の基準の見直し <表1>参照 @ 義務基準 ・不特定多数利用便所は、500 u以上の対象施設(※5)について、政令改正基準に合わせて、原則不特定多数の者が利用する階ごとに1箇所以上設けることとします。 ・車いす使用者用便房は、1,000 u以上の対象施設については政令改正基準に合わせて、原則、不特定多数利用便所を設ける階ごとに1 箇所以上設けることとし、500 u以上1,000 u未満の対象施設につ いては施設に1 箇所以上設けることを付加します。なお、500 u未満の対象施設については、従来どおり不特定多数利用便所を設ける場合は建築物に1 箇所以上設けることとします。 A 自主基準 不特定多数利用便所及び車いす使用者用便房の設置数は、義務基準と同様に規定します。さらに、2,000u以上の対象施設における車いす使用者用便房のうち、1 箇所以上は車いすが円滑に利用できる十分な空間として、直径180 p以上の円が内接できるよう求めます。 (2) 車いす使用者用駐車場の基準の見直し <表2>参照 @ 義務基準 車いす使用者用駐車施設の設置数を、政令改正基準に合わせて引き上げます。 A 自主基準 車いす使用者用駐車施設の設置数を、義務基準と同様に引き上げます。なお、機械式駐車場で車いす使用者用駐車施設を確保する場合には、必要台数分以上のバリアフリー対応(バリアフリー対応パレットを設ける等)を求めます。 (3) 車いす使用者用客席の基準の見直し <表3>参照 @ 義務基準 300 u以上の劇場等について、政令改正基準に合わせて設置数及び構造基準を規定します。ただし、500 u未満の対象施設(※5)については、1 席以上設けることとします。 A 自主基準 義務基準と同様の設置数に引き上げるとともに、300 u以上500 u未満の対象施設(※5)についても、これまでと同様に2席以上設けることとします。 また、奥行きについては、これまでと同様に2 席以上は奥行き150 p以上とすることを求めます。 (4) 増築等における基準適用の考え方 @ 不特定多数利用便所の整備範囲(義務基準) これまで、増築等をする際は施設内の全ての不特定多数利用便所を整備基準に適合させる必要がありましたが、増築等をする階において、原則1箇所以上の不特定多数利用便所を施行規則で定める整備基準に適合させることとします。 A 車いす使用者用便房の設置数算定(自主基準) 増築等をする面積に応じて算定した数の車いす使用者用便房の設置を求めます。 (5) その他 政令改正に伴い、表示板交付基準等その他の所要の改正を行います。 ■改正後の政令基準と条例施行規則の基準の比較について <表1>便所 対象施設の規模 バリアフリー法政令 義務基準 2000 u以上 横浜市福祉のまちづくり条例 義務基準と自主基準 用途ごとの対象規模以上(右<参考>の表参照) 不特定多数利用便所の数 バリアフリー法政令 義務基準 原則、不特定多数が利用する階の数以上* *別途、小規模階を有する場合若しくは大規模階を有する場合の規定あり 横浜市福祉のまちづくり条例 義務基準と自主基準 500 u以上:同左 500 u未満:― 車いす使用者用便房の数 バリアフリー法政令 義務基準 原則、不特定多数利用便所を設ける階ごとに1 以上* *別途、小規模階を有する場合若しくは大規模階を有する場合の規定あり 横浜市福祉のまちづくり条例 義務基準と自主基準 1,000 u以上:同左 500 u以上1,000 u未満:施設全体で1 以上 500 u未満:不特定多数利用便所を設ける場合は1 以上 車いす使用者用便房内の十分な空間 バリアフリー法政令 義務基準 なし 横浜市福祉のまちづくり条例 義務基準 直径150cm以上の円が内接できること 自主基準 2000 u以上:1以上の車いす使 用者用便房は直径180cm以上 の円が内接できること 2000 u未満:同左 <表2>車いす使用者用駐車施設 対象施設の規模 バリアフリー法政令 義務基準 2000 u以上 横浜市福祉のまちづくり条例 義務基準と自主基準 用途ごとの対象規模以上(右<参考>の表参照) 車いす使用者用駐車施設の数 バリアフリー法政令 義務基準 200 台以下:2%以上 201 台以上:1%+2以上 横浜市福祉のまちづくり条例 義務基準と自主基準 同左 車いす使用者用駐車施設を機械式駐車場に設ける場合の規定 バリアフリー法政令 義務基準 車いす使用者が円滑に乗降できる場所が1 以上 横浜市福祉のまちづくり条例 義務基準 同左 自主基準 同左及び、必要台数分以上のバリアフリー対応(バリアフリー対応パレットを設ける等) <表3>車いす使用者用客席 対象施設の規模 バリアフリー法政令 義務基準 2000 u以上 横浜市福祉のまちづくり条例 義務基準と自主基準 300 u以上 車いす使用者用客席の数 バリアフリー法政令 義務基準 400 席以下:2以上 401 席以上:0.5%以上 横浜市福祉のまちづくり条例 義務基準 500 u以上:同左 300 u以上500 u未 満:1以上 自主基準 500 u以上:同左 300 u以上500 u未満:2 席以上 車いす使用者用客席の構造規定 奥行き135 p以上 バリアフリー法政令 義務基準 奥行き135 p以上 横浜市福祉のまちづくり条例 義務基準 同左 自主基準 2席以上は奥行き150 p以上 その他は奥行き135 p以上 ※1 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令 ※2 不特定多数利用便所とは、高齢者や障害者等だけでなく全ての人が利用する便所を言います。(職員専用など専ら内部関係者のみが使用する便所は除きます。) ※3 車いすのまま観覧ができるスペース。政令第15 条の「車椅子使用者用部分」を言いかえています。 ※4 高齢者、障害者等が、利用居室からトイレや駐車場、出入口等まで円滑に移動できるよう政令等で定められた基準に適合した経路 ※5 政令第10 条では500 u未満の施設への適用除外を規定しており、本市ではこれを準用し、便所及び車いす使用者用客席の基準の適用対象を規定しています。 <参考> バリアフリー法と福祉のまちづくり条例の関係 (1) 横浜市では、バリアフリー法に基づき適合義務対象用途の追加と適合義務対象となる規模要件を引下げています。 バリアフリー法(高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律) ※以下に掲げる建築物を新築、増築、改築又は用途変更する場合、  建築物移動等円滑化基準への適合義務がある。 対象規模要件 2,000u以上 特別特定建築物 ・公立小学校等 ・病院、診療所 ・劇場、観覧場、映画館、演芸場 ・集会場、公会堂 ・展示場 ・百貨店、マーケットその他の物品店舗 ・ホテル、旅館 ・保健所、税務署その他官公署 ・老人ホーム、福祉ホーム等(主として高齢者、障害者等が利用するもの。) ・老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉センター等 ・体育館、水泳場、ボーリング場、遊技場 ・博物館、美術館、図書館 ・公衆浴場 ・飲食店 ・理髪店、クリーニング取次店、質屋、貸衣装屋、銀行その他サービス店舗 ・車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場で旅客の乗降又は待合いの用に供するもの ・自動車駐車場 ・公衆便所 ・公共用歩廊 福祉のまちづくり条例 条例により、対象用途の追加及び対象規模要件の引き下げが可能 対象規模要件 0u以上 特別特定建築物 ・病院、診療所(患者の収容施設があるもの) ・集会場(一の集会室の床面積が200uを超えるもの)、公会堂 ・保健所、税務署その他官公署 ・老人ホーム、保育所、福祉ホーム等(令5条9号に規定するもの以外も含む) ・老人福祉センター、児童厚生施設、身体障害者福祉センター等 ・博物館、美術館、図書館 ・車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場で旅客の乗降又は待合いの用に供するもの ・公衆便所 対象規模要件 300u以上 特別特定建築物 ・診療所(患者の収容施設がないもの) ・劇場、観覧場、映画館、演芸場 ・百貨店、マーケットその他の物品店舗 ・遊技場 ・飲食店 ・理髪店、クリーニング取次店、質屋、貸衣装屋、銀行その他サービス店舗 対象規模要件 1,000u以上 特別特定建築物 ・学校(令5条1号に規定する学校以外も含む) ・集会場(全ての集会室の床面積が200u以下のもの) ・展示場 ・ホテル、旅館 ・体育館、水泳場、ボーリング場その他これらに類する運動施設  (令5条11号に規定するもの以外も含む) ・公衆浴場 ・自動車駐車場 対象規模要件 2,000u以上 特別特定建築物 ・共同住宅 ・公共用歩廊 (2) 横浜市では、バリアフリー法に基づき建築物特定施設の構造及び配置に関する義務基準を付加するとともに、さらにバリアフリー法より高い水準の基準を自主基準として定め、事前協議により地域の特性や施設用途、規模、利用者の特性に応じた質の高い整備を進めています。 【例:車いす使用者用便房に関する現行の法基準及び条例基準】 バリアフリー法 ・車いす使用者用便房を1以上設けること。 ・出入口は幅80cm以上とし、戸は容易に開閉できる構造で、出入口前後に高低差がないこと。 ・腰掛便座、手すり等が適切に配置されていること。 ・車いす使用者が円滑に利用することできるよう十分な空間が確保されていること。 福祉のまちづくり条例で付加している義務基準 ・分かりやすく利用しやすい位置に設けること。 ・高齢者、障害者等が円滑に利用できる構造の洗面器を設けること。 ・便房の出入口の戸又はその付近に車いす使用者が円滑に利用できる旨の表示を行うこと。 福祉のまちづくり条例で付加している自主基準 ・非常用呼出しボタンは便座から手の届く一位置及び転倒した場合でも  手の届く位置に設置すること。 ・出入口横に袖壁30cm以上設置すること。 ・手すり位置・寸法に関する基準 ・腰掛便座の位置・高さに関する基準 ・洗面台高さ、紙巻器設置に関する基準等