資料4 横浜市福祉のまちづくり条例の一部改正について(報告) 1 趣旨 このたび、「横浜市福祉のまちづくり条例(平成24年12月市条例第90号。以下「条例」という。)」の一部を改正する案を令和6年第4回市会定例会に提出し、可決されましたので 報告します。 2 検討の経過 ・令和3年6月 障害者差別解消法の改正(令和6年4月1日施行。民間事業者による合理的配慮の提供(※1)義務化など) ・令和4年12月〜 福祉のまちづくり専門委員会(推進会議の下部組織。以下「専門委員会」という。)を設置し、条例改正の方向性などを検討 ・令和6年6月 専門委員会から「横浜市福祉のまちづくり条例改正に関する意見書」提出され、パブリックコメントの実施について7月の福祉のまちづくり推進会議で 承認される。 <意見書の主な内容> ・ハードとソフト両面のバリアフリーを推進し、共生社会の実現を目指すべき ・社会的障壁(※2)を除去するために必要な合理的配慮の提供を的確に行うため、 環境の整備について規定すべき ・公共施設の整備計画等で当事者参画を推し進めるべき。 ・令和6年8月〜9月 意見書を踏まえ、条例改正の方向性についてパブリックコメント実施(※1)合理的配慮の提供…障害者等から要請があった際に、過重な負担にならない範囲で、 社会的障壁を解消すること (※2)社会的障壁…日常生活や社会生活を営む上で障害者等にとって障壁となるような、 物理的なバリア(段差や狭い通路など)、制度的な制約(特定のサービ スや支援の不足)、社会的な偏見や誤解など 【参考】パブリックコメントの実施結果 意見募集期間 令和6年8月7日から令和6年9月5日まで 意見提出者数 19名 意見総数 43件 意見内容 福祉のまちづくり推進事業に関する御意見 18件 福祉のまちづくりの広報啓発に関する御意見 12件 条例改正の方向性に対する賛成意見 5件 その他御意見 8件 主な意見 ・共生社会の実現を目指すのであれば、さまざまな立場の方々の声を聴くべき ・社会の変化に合わせて、条文の見直しをすることは必要。ただし、条例の内容が変わっても条例そのものについて知らなければ意味がない ・障害を解消する責任は社会にあるという考えに基づく社会モデルの必要性やその観点で施策を進めていくことが重要 裏面あり 3 改正の概要 障害者差別解消法の改正により、民間事業者による合理的配慮の提供が義務化されたこと 等を契機に、条例に明確に規定されていない事項の追加等を行います。 (1) 障害者差別解消法など関連法の理念や考え方の反映(第1条) 条例の目的を「人間性豊かな福祉都市の実現」から「横浜に関わる全ての人が相互に人 権と尊厳を尊重する共生社会の実現に資すること」に表現を改めます。 (2) 合理的配慮の提供を的確に行うための環境整備(第3条、第4条) 本市および事業者の責務を「措置を講ずる」から「社会的障壁を生じさせないための整 備、研修その他の必要な措置を講ずる」に改めます。 (3) 共生社会の実現に係る用語の定義、取組の追加(第2条、第18条) 社会的障壁の定義のほか「市長は、不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢 者、障害者等が利用する施設の整備計画を策定する場合は、高齢者、障害者等その他市長 が認める者が参画する機会を確保するための措置を講ずるよう努めるものとする。」を追 加します。 4 施行日 令和7年4月1日 5 条例改正後の取組 (1) 施行日前に庁内の関係部署等に条例改正の趣旨を周知します。 (2) 市及び事業者が施設整備する際に行う事前協議を通して、事業者自ら合理的配慮への 気付きや理解を深め実践につながるための確認項目を設け、研修教材を作成し提供する など、施設整備を行う際のバリアフリーに関する仕組みを構築します。 (3) 条例の趣旨を市民の皆様に幅広く知って頂けるよう、今後検討する「福祉のまちづく り推進指針」に反映します。 新旧対象表 旧(改正前)条例 横浜は、開港当時から新しい文化や国内外の様々な人々を広く受け入れながら、独自の文化を創り出してきた。この横浜の文化が福祉のまちづくりに生かされ、昭和49年に、高齢者、子ども、障害者等全ての市民が生活し、活動できる横浜市の実現を理念とした福祉の風土づくり推進事業を開始し、今日までの様々な 取組につながっている。 近年の少子高齢化や生活様式の多様化など、市民の生活環境は大きく変化し、暮らしが便利になった半面、人と人とのつながりが希薄化し、社会の中で孤立する人が増えるなど新たな課題も生じている。 このような状況だからこそ、横浜が培ってきた多様な文化を受け入れる風土を大切にしながら、一人一人の個性を尊重し、認め合う社会が求められている。 福祉のまちづくりの基本的な考え方である基本的人権の保障、生活者主体の視点並びに市民、事業者及び行政による協働に加え、暮らす人だけでなく訪れる人や勤める人も含め、横浜に関わる全ての人がお互いを尊重し、助け合う、人の優しさにあふれたまちづくりを基本理念とし、市民、事業者及び行政が一体となって、次世代につなげていくことができるまちを目指し、この条例を制定する。 (目的) 第1条 この条例は、福祉のまちづくりについて、横浜市(以下「市」という。)、事業者及び市民の責 務を明らかにし、福祉のまちづくりに関する施策の基本的事項を定めるとともに、高齢者、障害者等の 移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号。以下「法」という。)第14条第3項の規 定に基づき特別特定建築物に追加する特定建築物等を定めることにより、福祉のまちづくりに関する 施策を総合的かつ計画的に推進し、もって人間性豊かな福祉都市の実現に資することを目的とする。 (定義) 第2条 (第1項省略) 2 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義 は、当該各号に定めるところによる。 (第1号省略) (2) (本文省略) (3) (本文省略) (4) (本文省略) (市の責務) 第3条 (第1項及び第2項省略) 3 市は、自ら設置し、又は管理する施設を高齢者、 障害者等が安全かつ円滑に利用できるようにする ための措置を講ずるよう努めるものとする。 (事業者の責務) 第4条 (第1項から第3項まで省略) 4 事業者は、自ら所有し、又は管理する施設を高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるようにす るための措置を講ずるよう努めなければならない。 (市民等の参画の確保) 第18条 (本文省略) 新(改正後)条例 横浜は、開港当時から新しい文化や国内外の様々な人々を広く受け入れながら、独自の文化を創り出してきた。この横浜の文化が福祉のまちづくりに生かされ、昭和49年に、高齢者、子ども、障害者等全ての市民が生活し、活動できる横浜市の実現を理念とした福祉の風土づくり推進事業を開始し、今日までの様々な 取組につながっている。 近年の少子高齢化や生活様式の多様化など、市民の生活環境は大きく変化し、暮らしが便利になった半面、人と人とのつながりが希薄化し、社会の中で孤立する人が増えるなど新たな課題が生じている。 このような状況だからこそ、横浜が培ってきた多様な文化を受け入れる風土を大切にしながら、誰一人取り残されることのない社会が求められている。 福祉のまちづくりの基本的な考え方である基本的人権の保障、生活者主体の視点並びに市民、事業者及び行政による協働に加え、暮らす人だけでなく訪れる人や勤める人も含め、横浜に関わる全ての人が互いに人権を尊重し、個人の尊厳を重んずることを基本理念に、市民、事業者及び行政が一体となってまちづくりを推進し、次世代につなげていくことができるまちを目指し、この条例を制定する。 (目的) 第1条 この条例は、福祉のまちづくりについて、横浜市(以下「市」という。)、事業者及び市民の責務を明らかにし、福祉のまちづくりに関する施策の基本的事項を定め、並びに高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号。以下「法」という。)第14 条第3項の規定に 基づき特別特定建築物に追加する特別建築物等を定めることにより、社会的障壁を生じさせないための必要な措置を行うことによって、福祉のまちづくりに関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって横浜に関わる全ての人が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。 (定義) 第2条 (第1項省略) 2 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (第1号省略) (新設) (2) 社会的障壁 高齢者、障害者等にとって日常生 活又は社会生活を営む上で障壁となるような社 会における事物、制度、慣行、観念その他一切の ものをいう。 (3) (本文省略) (4) (本文省略) (5) (本文省略) (市の責務) 第3条 (第1項及び第2項省略) 3 市は、自ら設置し、又は管理する施設について、高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるようにするため、社会的障壁を生じさせないための整備、研修その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。 (事業者の責務) 第4条 (第1項から第3項まで省略) 4 事業者は、自ら所有し、又は管理する施設について、高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるようにするため、社会的障壁を生じさせないための整備、研修その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。 (市民参画の確保) 第18条 (本文省略) 2 市長は、不特定かつ多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する施設の整備計画を策定する場合は、高齢者、障害者等その他市長が必要と認める者が参画する機会を確保するための措置を講ずるよう努めるものとする。