第１回 横浜市障害者差別解消支援地域協議会会議録
日時 平成29年６月14日（水）10時00分～12時15分
開催場所 神奈川自治会館３階 会議室
出 席 者
（名簿順）池田委員、井上委員、佐藤委員、須山委員、永田委員、奈良﨑委員、浜崎委員、松島委員、山下委員、和田委員、大羽委員、清水委員、石曽根委員、加藤委員、河原委員、山野井委員、湧井委員、村岡委員、中瀬委員、前沢委員、石渡委員、内嶋委員、大野委員、堀川委員、金指委員、小泉委員、遠藤委員、冢田委員、山田委員、原口委員
欠 席 者　根上委員、鈴木委員、山之井委員

議 題
１ 障害者差別に関する相談対応について
２ 事業所が実施する従業員研修等への協力の取組
３ 情報提供
４ その他

議 事
１ 開会
(1) 配付資料確認等
（事務局）（配布資料の確認）
(2) 委員の紹介
（事務局）人事異動等により今年度から就任された委員の方がいらっしゃいますので、ご紹介させていただきます。
（河原委員、金指委員、遠藤委員、原口委員、事務局の順に紹介）

２ 議題
(1) 障害者差別に関する相談対応について
（石渡会長）議題の１つ目、「障害者差別に関する相談対応」について、まずは資料１「相談対応事例一覧」について、事務局より説明をお願いしたい。
（事務局） （資料１について説明）
（石渡会長）資料１の説明に対して何か質問があればお願いしたい。
（石曽根委員）№１と４の事例は国の窓口相談を案内しているが、その後の対応状況について、横浜市では把握しているのか教えていただきたい。
（事務局）その後の状況については、横浜市では把握していない。
（石曽根委員）今後の対応にも役立つと思うので、横浜市でも把握した方が良いと思うがいかがか。
（事務局）把握できていないというのが現状である。後の議題の相談対応の中でも課題が色々とでてくるが、その中でも色々とご意見いただければと思う。
（冢田委員）資料１の事例以外も含めて実際にはこの期間に何件相談があったのか教えていただきたい。
（事務局）前回の協議会でも実際はもっと相談を受けているのではないかという意見をいただいたが、現状のスキームにおいて市役所の各所属で対応したのは資料１の４件だけである。
（冢田委員）区役所も含めて４件か。
（事務局）区役所も含めて４件である。
（須山委員）№４の事例について、ＦＡＸは自動受信設定ができるので、それで夜間対応できるのではないか。それと金融関係の本人確認について、電話でないと受け付けてくれない。このような相談が今後もくるかもしれないので、金融庁に対策を講じるようお願いしたい。
（事務局）平成27年度に実施した障害者差別に関する事例募集においても、須山委員からいただいたような意見をいただいた。今後も事例を周知していく中で、金融機関の方々にも理解いただいて対応を一緒に考えていくような仕組みを作っていければと思っているところである。
（井上委員）この４つの事例は、その後どうなったのか。我々はその後の流れを知る必要がある。それが勉強になり、今後の対応にも繋がってくるとのではないかと思う。そのあたりをどのように考えているのか教えていただきたい。
（事務局）その後、どのような解決が図られたかは把握していない。しかし、対応内容を把握することは、差別を解消する上で大切なことだと思っている。同じことを繰り返さないためにも、今後この場で議論いただければと思っている。
（大羽委員）資料１の対応の欄を見ると、ほとんどが横浜市ではなく国の所管省庁が対応している。横浜市で対応できる所管部署がないのかうかがいたい。
（事務局）横浜市で直接指導できるものは横浜市の所管部署で対応するが、指導権限がない内容については、権限がある省庁等に相談してもらっている。
（内嶋副会長）ここまでの議論をまとめると、相談がたらい回しになってしまうワンストップサービスの問題、そして、横浜市以外の窓口に案内した後の状況の把握が課題である。この課題は今日この場では解決できないと思うので、今後も引き続き事務局で考えていただければと思う。
（石渡会長）今日の議論のテーマでもある相談対応の在り方に、これまでいただいた意見も関係してくるかと思う。それでは、次の議論内容について、事務局より説明をお願いしたい。
（事務局） （資料２、３について説明）
（事務局）障害者差別解消法は、障害のある人とない人との対話を推進し、お互いに理解し合いながら、差別を解消していこうという趣旨の法律である。山下委員からいただいた「お互いの歩み寄りが大切である」という意見に象徴されるよう、横浜市としては、障害の基本的な理解を深め、障害のある人との建設的な対話による相互理解を大切にしながら、取組を推進しているが、歩み寄りが難しい＝差別が現実に起こってしまうというのも現実である。
以前、松島委員より「差別にあった際の受け止めは、一人ひとり異なる」というご意見を、また、和田委員から以前「真実と事実は異なる（差別を受けた人が感じた真実と客観的な事実は異なる）」というご意見をいただいた。これは、「差別を受けた人の気持ちに寄り添う」ことの重要性を意味しており、差別を解消する取組を進めるうえで最も重要な姿勢の一つになると思われる。
一方、まだ対応が進行中であるため、事例の詳細はご紹介できないが、差別の相談に関する調整委員会での対応を踏まえると、客観的な事実を詳細に確認し、差別であるか否かを丁寧に議論したうえで、あっせん案を提示していく（いわば事業者に改善を求めていく）こととなる。場合によっては、事業者の経営面に関わるため、非常に慎重に議論をし、客観性を重視している。
この「寄り添い」と「客観性」を兼ねる対応が、障害者差別の解消に向けて、相談窓口に求められる役割の理想像となるだろうが、この理想像は時には相反する関係となることもあるため、特定の一つの窓口が両方の役割を担うことは、実際にはかなり難しいことであると考えている。しかし、差別事例が表に出ずに埋もれている可能性があることや、誰かに相談をしても諦めてしまうことがあるかもしれないことも委員の皆様からご指摘いただいており、こうした事例をオープンにし、解決に向けた道筋をたどれるようにすることを考えていきたい。
「客観性」については、別途調整委員会で具体例に触れながら、検討を進めているところであるため、この協議会の場においては、「寄り添い」について、「事例を埋もれさせない」ことを目指して、前回に引き続き、相談対応の課題について議題として取り上げ、相談対応を考える上で最も重要であると思われる「分かりやすさ」や「相談しやすさ」に詳細に意見交換をしていただきたいと考えている。
（石渡会長）今日は、「分かり易い相談窓口」、「相談し易い相談窓口」、この二つに絞って皆さんから意見いただければと思います。まずは、「分かり易い相談窓口」について、どうあるべきか意見を願いします。
（永田委員）相談場所に、相談窓口と分かるように紙を掲出したり、矢印があったりすると分かり易いのではないか。
（清水委員）障害者差別解消法が施行されて１年３か月になるが、事業所に繰り返し啓発を行っていくことが非常に重要だと考えている。施行直後は、広く周知されていたが、１年以上経つと障害者に関わる人以外には忘れられている。この相談対応と並行して、事業所への啓発も繰り返し行っていくことが大事だと考えている。 3
（須山委員）差別にあった際に、寄り添うという意味ではピア相談窓口があると思うが、障害者差別解消法に伴う難しい内容となると担当者によって対応が異なってくると思うので、統一された窓口があった方が良いと思う。
（井上委員）ピア相談制度の見直しが必要だと思う。数年前までは各区に肢体・視覚・聴覚障害の相談員が１名ずつ配置されていたが、今は浜身連が委託事業として横浜ラポールで月２回実施している。相談にくる人は前より減少している。差別を受けた人や苦しい思いをした人が個人的に相談しにくる人が増えている。こうしたことから、ピア相談の在り方を見直して、繋がりを作ってもらいたいと思う。
（和田委員）差別を受けて傷つき、どこに相談して良いか分からず傷つき、相談しても分かってもらえず傷つき、３度も傷ついている。自分がもし差別を受けた場合にどうするか考えてみたが、まずは所属しているほっとぽっと相談すると思う。そして、障害者差別の窓口を教えてもらい、直接連絡することになると思う。ほっとぽっとのスタッフが障害者差別の窓口を案内できるようにしてほしい。
（中瀬委員）分かり易いという面で確かに窓口は一本化した方が良いとは思うが、既存の障害に関する相談窓口を上手く生かしていった方が良いのではないかと思う。相談を受ける側が障害特性を理解していないと、それが差別かどうか判断できないと思う。相談する側としても、既存の窓口に相談した方が身近に感じるのではないか。しかし、窓口がたくさんあると同じような相談が色々なところに分散されてしまうという心配がるので、それらをまとめる部署がないと問題がでてくると思う。資料１の対応事例が４件と少ないのは、相談は各窓口でしているが、その後どのように対応するべきか分からずに、そこで埋もれてしまっているのだと思う。
（佐藤委員）障害者差別の問題は今年度だけではなく、今後永久的に続いていくので、そういう意味では一本化された窓口があった方が良いと思う。そして、横浜市民全員が相談窓口を知っているというところまでもっていくことが非常に重要である。内部障害でもピア相談を受けたりするが、ピア相談があるということ自体があまり知られていない。窓口を一本化するにしろ、しないにしろ、まずは周りに窓口の存在が理解されるということが重要である。
（山下委員）窓口の名前が障害者差別だけだと相談しにくい。昔、内閣府のモデル事業としてパーソナルサポートセンターという窓口があって、そこは家庭や仕事の問題など様々なことが相談することができた。そもそも差別を受けているか判断できないので、障害者差別の窓口と限定しないと、身近に相談する人がいない人は相談しやすくなる。
（松島委員）相談窓口があると知っていても、相談することができない人がたくさんいることを改めて知っていただきたい。
（浜崎委員）区役所のケースワーカーは細かいことは分からないが制度には詳しい。細かいことはピア相談員が知っている。区役所のケースワーカーとピア相談員がリンクするような仕組みがあると良いのではないか。
（須山委員）相談したくても相談できない人の対策としては、相談員の方が訪問するしか方法がないのではないかと思う。相談窓口の周知については、広報よこはまに毎月掲載すると市民に浸透していくのではないかと思う。
（村岡委員）「寄り添い」と「客観性」の兼ね合いが難しさという説明が事務局からあったが、差別は社会のマイノリティーとマジョリティーの間で生まれてくる問題だと思っている。「客観性」がマジョリティーであってはならない、公平性を保つことが重要である。マジョリティーの方の意識改革をしていくことが重要であり、その上で、当事者に寄り添って、社会に発信していくことが大事である。
（奈良崎委員）「相談」とはなんだろうとよく仲間内で議論することがある。私の中の相談とは、困ったときとか一人で考えられないことを話すことが相談だと思っているが、みなさんが考える「相談」とは何か教えていただきたい。
（内嶋副会長）私たち弁護士にもよく相談しにくる人がいるが、これを相談したいと具体的に言ってくる人はほとんどいない。大体の人が漠然とした悩みを抱えて、どうしたら良いか分からないという状況で相談にくる。そこから話を聞いて、整理と仕分けをしてあげている。差別解消の窓口をそういった機能を持っていないといけない。また、重要だと感じたのは、和田委員から意見のあった身近にいる相談者に障害者差別に関する窓口の存在を把握させるということ。
（石渡会長）事務局には本日委員からいただいた意見を基に、図式化していただければと思う。
(2) 事業所が実施する従業員研修等への協力の取組について
（石渡会長）続いて、２つ目の議題、「事業者が実施する従業員研修等への協力の取組」に進みたい。事務局から資料の説明をお願いしたい。
（事務局） （資料４、５について説明）
（石渡会長）続いて、研修の実施状況について、各委員からおうかがいしたい。
（山田委員）横浜市としては、パソコン上で研修が受けられるeラーニングというやり方で全職員を対象に行っている。平成28年度の受講率については、20数％だった。また、係長昇任予定者や新採用職員には特に受講するよう勧奨を行っている。それ以外にも、我々が講師となって、各区などで研修を行っている。 5
（小泉委員）教育委員会では、平成29年３月に教職員対応要領を作成し、配付するとともに共有のイントラネットに載せて全校で周知・共有を行っている。また、市立学校の校長会で、研修の実施を依頼した結果、小学校９校、中学校６校、高校１校で実施した。平成29年度も引き続き続けていく。
（加藤委員）横浜銀行協会には23の銀行が加盟している。ここ３年程、協会に直接の相談はない。ただし、法律のできる前から監督省庁である金融庁からの指導により音声ATMや代筆代読システムを活用している。法施行前に、いくつかの銀行に確認したところ、ある銀行では、平成28年３月に全行員を対象にeラーニングを行ったとのことだった。また、ユニバーサルデザインの新型ATMの研修や障害者の方の意見や相談に対応する部署を明確にするなどしている。
（石曽根委員）研修については、講義形式で聞いて終わりではなく、お互いに会話をしたり、話を聴いた人にその場で話させると良い。双方向の意見交換が大事である。
（須山委員）私は15年ほど保険会社で働いていた。その時期は人権研修がちょうど出て来ていた時期だった。そこで、他の社員に理解してもらうために、社内で手話サークルを立ち上げた。一言で研修と言ってもいろいろな形があると思う。
（和田委員）精神疾患は、今や５大疾病の一つである。症状の出方も一人ひとり違う。私の所属している当事者グループでは、精神障害の語り部活動の隊員を募集している。若い年齢で発症する子どもたちへのフォローや予防、学校教員の鬱、若い親の発症が話題になっている。主に中学校、高校、大学で精神障害の正しい理解のための啓発が必要。また精神障害になっても人生は終わりじゃないということを伝えたい。学校だけではなく、企業や地域にも広げていきたい。
（前沢委員）研修の取組について２つ。一つはうちの法人での研修についての話だが、毎年人権研修を行っており、その中で当事者を呼んで話をしてもらっている。また、施設運営上、一度に職員全員が集まることができないため、それぞれで受けるという形にしている。もう一つは研修のあり方として、小学校などでよくやっている体験型がよいのではないかと思う。ただ話を聞くだけよりも、対話や短い時間であっても体験をすることによって、その後の窓口対応などに、より活かせるのではないか。
（奈良﨑委員）皆さん研修を実施し、HPなどにも載せているが、当事者が見ていないのではないか。誰が作っているのか疑問。イメージだけで作っているのではないか。以前、知的障害の研修をやらせてもらった時に、資料を全部ひらがなで送りましたと言われた。イメージでだからそうなってしまう。皆さんは研修をやるが、我々当事者の研修がない。自分以外の他の障害を知る機会がない。例えば、私は発達障害についてテレビなどで見て「へー」と思うが、理解はしていない。そういう意味では、当事者同士も研修をやらないといけないのではないか。当事者同士の差別も多いので、理解を進めるためには必要。
（大野委員）資料４について、質問が２つ。１つ目は講師の紹介をする際に、障害企画課が間に入ることになっているが、これは講師のマッチングに限られるのか。その後の調整については当事者同士で進めていくのかということ。２つ目は講師について、今後増やしていくイメージがあるのか。
（事務局） １点目については、あくまでもご紹介をする形なので、調整については直接やり取りをしてもらう。２点目は、今回は地域協議会の委員を中心に取組を始めさせていただいた。一部は団体の方に紹介していただいたところもあるが、今後は実施状況を踏まえて、広がりについては検討していきたい。
（山下委員）４月のシンポジウムについて、いわゆる一般の方が少なかった。なので取組としてはいかに一般市民に伝えていくかと言うことだと思う。ある意味予想通りではあったが残念だった。啓発の件で、オモロライフプロジェクトとして昨年度からさまざまなことに取り組んできた。足を運んだ先で映画監督とプロデューサーと出会い、いかに一般市民に知ってもらうかということで短編映画のようなものを作ろうという話が出ている。興味がある方はオモロライフプロジェクトの事務局に問い合わせてもらいたい。１点質問がある。ヘルプマークというものを東京都が作っているが、横浜市としては同じようなものを活用してはどうか。
（山田委員）ヘルプマークについては、横浜市内でも配付することになっており、各区の高齢・障害支援課で配慮が必要なことを示したいことを希望する方にお配りしている。
（奈良﨑委員）虹呼ぼうという活動を去年の11月から進めている。津久井やまゆり園の事件について、知的障害の仲間たちやいろんな人と話をしている。もうすぐ一年が経つので、大きいシンポジウムをやりたいと思っている。なぜ虹呼ぼうというかと言うと、障害者でもいろんな色がある、同じ知的障害でもいろんな色があるということから。今回はゲストを呼んで、私がいろいろと質問をする。驚くかもしれないが、これまで知的障害の本人は親や支援者と一緒になって、やまゆり園のことを話さなかった。今回は親を呼ぼう、支援者を呼ぼう、関係者を呼ぼう、一般の人を呼ぼうということになった。７月８日に開催する。様々な特典もある。一人でも多くの人に参加してもらいたいのでよろしくお願いします。

３ 情報提供
（事務局） （資料６について説明）

４ 連絡事項等 7
次回の開催日程について（11～12月頃を予定）
会議録の作成について
資 料・特記事項
資料１ 相談対応事例一覧（平成28年10月～平成29年３月）
資料２ 障害者差別に関する相談対応の課題
資料３ 意見交換や情報交換をするテーマ「障害者差別に関する相談対応」
資料４ 事業者が実施する従業員研修等への協力の取組
資料５ 意見交換や情報交換をするテーマ「事業者が実施する従業員研修等への協力の取組」
資料６ 障害者差別の解消に関する市の取組状況
奈良崎委員提供資料 「自分たちのことを自分たちのことばで話そう～津久井やまゆり事件から１年～」