障害を理由とする差別の解消の推進に関する横浜市職員対応要領 (目的) 第1条 この対応要領は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第10条第1項並びに障害者差別解消の推進に関する取組指針(平成28年2月4日健障企第2370号副市長依命通達)及び横浜市職員服務規程(平成21年3月達第3号)に基づき、また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(平成27年2月24日閣議決定。以下「基本方針」という。)に即して、法第7条に規定する事項に関し、横浜市職員(以下「職員」という。)が適切に対応するために必要な事項を定めるものとする。 (定義等) 第2条 この対応要領において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 (1) 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 (2) 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 2 障害を理由とした不当な差別的取扱い(次条第1項第1号の不当な差別的取扱いをいう。)の基本的な考え方及び正当な理由の判断の視点並びに合理的配慮(同項第2号の合理的配慮をいう。)の基本的な考え方及び過重な負担の基本的な考え方は、基本方針において定めるところによる。 (障害を理由とする差別の禁止) 第3条 職員は、法第7条の規定のとおり、その事務又は事業を行うに当たっては、次の事項を遵守しなければならない。 (1) 障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 (2) 障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)の提供をしなければならない。 2 前項第1号の不当な差別的取扱い(以下単に「不当な差別的取扱い」という。)及び合理的配慮となり得る具体例は、別紙に掲げるとおりとする。   なお、これらの具体例は、不当な差別的取扱い及び合理的配慮となり得るものの全てを網羅したものではないことに留意するものとする。 3 必要とされる合理的配慮は、障害の状況等により一人ひとり異なるため、その人の意向を確認し、別紙の具体例も参考としながら、場面に応じて考え、対応することを基本とする。 4 職員が、障害者に対し不当な差別的取扱いをし、又は過重な負担がないにもかかわらず合理的配慮の提供をしなかった場合は、その態様等によっては、職務上の義務に違反した場合等に該当するものとして、懲戒処分等に付されることがある。 (管理監督職員の責務) 第4条 職員を管理し、又は監督する地位にある職員(以下「管理監督職員」という。)は、前条に規定する事項に関し、障害を理由とする差別の解消を推進するため、次の事項を実施しなければならない。 (1) 日常の職務を通じた指導等により、障害を理由とする差別の解消に関し、その管理又は監督の対象となる職員の注意を喚起し、障害を理由とする差別の解消に関する認識を深めさせること。 (2) 障害者及びその家族その他の関係者から不当な差別的取扱い又は合理的配慮の不提供に対する相談、苦情の申し出等があった場合は、迅速に状況を確認すること。 (3) 合理的配慮の必要性が確認された場合において、その管理又は監督の対象となる職員に対して、合理的配慮の提供を適切に行うよう指導すること。 2 管理監督職員は、障害を理由とする差別に関する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。 (相談体制の整備) 第5条 職員による障害を理由とする差別に関する障害者及びその家族その他の関係者からの相談等については、次に掲げる相談窓口において対応するものとする。 (1) 当該職員が所属する課等 (2) 当該職員が所属する区局の人事担当課 2 区局の長は、必要に応じ、前項各号に規定する課等以外の相談窓口を指定することができる。 3 第1項の相談等を受ける場合は、性別、年齢、状態等に配慮するとともに、対面のほか、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要となる多様な手段を可能な範囲で用意して対応するものとする。 4 第1項及び第2項の相談窓口に寄せられた相談等は、障害者差別解消推進会議の事務局において集約し、相談者のプライバシーに配慮した上、以後の相談対応の充実等のために活用するものとする。 5 前各項の相談体制は、必要に応じ、充実を図るよう努めるものとする。 (職員研修) 第6条 区局の長は、障害を理由とする差別の解消の推進を図るため、当該区局に所属する職員に対し、必要な研修を行うものとする。 2 前項の研修は、障害の特性を理解すること及び障害のある人も障害のない人と同じ一人の市民として尊重し対応することが適切な対応につながることを踏まえた内容とする。 3 第1項の研修に関する計画は、健康福祉局長及び総務局長が協力して定める。 (見直し) 第7条 この対応要領は、障害を理由とする差別の解消の推進状況等に応じて、必要な見直しを行うものとする。  なお、見直しを行う場合は、法第10条第2項及び第5項の規定の趣旨にのっとり、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるための措置を講ずるものとする。 (委任) 第8条 この対応要領の施行に関し必要な事項は、健康福祉局長及び総務局長が定める。 附 則 この対応要領は、平成28年4月1日から施行する。 別紙 1 不当な差別的取扱いとなり得る具体例  障害を理由として、窓口対応や電話対応を拒否する。  障害を理由として、会議、講演会、イベント等への参加を断る。  特に必要がないにもかかわらず、言葉が聞き取りにくいなど、障害を理由として、区役所・市役所等に付添いの人が同行しなければならないと条件を付ける。 2 合理的配慮となり得る具体例 (1) コミュニケーション(情報の保障)に関する合理的配慮 ア 情報を「伝えること」の合理的配慮 窓口対応・電話対応において 具体例 本人の希望を確認し、筆談や手話(手話通訳の配置)等で対応する(聴覚障害)。 具体例の説明(一人ひとりが留意すること) 手話で対応することによって全ての聴覚障害のある人の情報の保障ができるわけではないことに留意する。手話や筆談で対応する際には、伝えた内容を相手が理解しているかどうかを確認する。 具体例 早口でなく、ゆっくりと話す(聴覚障害)。 具体例の説明 相手の理解に合わせてゆっくりと話すことを心がける。また、手話通訳がいる場合も、相手の理解の状況を確認する。 早口で話すと、通訳者が話に追いつかず、話している内容と通訳している内容がずれてしまう可能性があることに留意する。 具体例 電話でなく、ファックスや電子メールでの連絡を基本とする(聴覚障害)。 具体例の説明 電話でのやりとりが難しい人がいることを念頭に置き、ファックスや電子メールによる連絡手段を確保する。 具体例 文章が苦手な人に対して、説明内容の理解の確認を行う(聴覚障害)。 具体例の説明 筆談を行う場合、文字のみによりコミュニケーションを図るため、長すぎる文章でやりとりをしてしまうと、理解しやすい箇所とそうでない箇所ができてしまう。 長すぎる文章ではなく、適度に短く切った文章でのやりとりとし、内容を相手が理解しているかどうかを確認する。また、文字で書かれていれば説明内容を全て理解していると思い込まず、理解ができていることの確認を行う。 具体例 ホームページや資料をご覧くださいではなく、読み上げて説明する(視覚障害)。 具体例の説明 書面上で重要箇所の字体を変えたり、枠線等で囲んでいることなどを判別することができず、どの部分が重要であるかなどのポイントが分からないことがあることに留意する。 具体例の説明 市が発出する通知や書類等は、第三者による読み上げで対応すると個人情報の漏えいのおそれがあることを理解し、相手の申出に応じて、窓口等でプライバシーにも配慮しながら市職員が読み上げる。 具体例 あちら、こちらなどの指差しの言葉ではなく、具体的にあなたの右、後ろというように伝える(視覚障害)。 具体例の説明 あちらと言われても、前後左右どちらを向いているのかが分からないことがあることに留意する。 具体例 どこに人がいるのか、その人が職員であるのかどうかが分からないことが多いため、職員から声をかける(視覚障害)。 具体例の説明 どこに窓口があり、どこに職員がいるのか分からないことが多いため、困ったことがないかを職員が一声かけるようにする(ただし、過剰なやりとりを示すものではない。)。 具体例 説明を分かりやすい言葉・表現で行う(知的障害)。 具体例の説明 社会経験等によって、物事の理解度は一人ひとり異なるため、説明する側が分かりやすいと決めつけずに、相手が理解しているかどうかを確認しながら説明するよう留意する。 具体例 説明書類等にルビをふる(知的障害ほか)。 具体例の説明 ルビをふっていても難しい言葉は意味を理解することができないので、なるべく分かりやすい言葉や表現を使ったり、相手が分かるように説明で補うことに留意する。 具体例 不安になることがあること、話したいことがまとまらないことなどがあることを理解して対応する。勝手に話が終わったことにしない(精神障害)。 具体例の説明 体調の変化や緊張等によって、話したいことを話すことができなかったり、話しづらかったりすることがあることに留意する。 具体例 文字だけでは理解が難しい人に対して、図や絵を書いて説明する(発達障害、知的障害)。 具体例の説明 文字や言葉だけでの説明を理解することが難しい場合であっても、内容やポイントをイメージしやすい図や絵を使いながら説明すれば理解しやすくなる人がいることに留意する。 具体例 話を聞くことが苦手であったり、分からないことを伝えられない人がいることを理解し、説明内容を理解していることの確認を行いながら説明する(発達障害、知的障害)。 具体例の説明 相手が説明内容を理解しているかどうかについて、説明する側が話を途中で区切るなどにより、確認する機会を設けなければ、説明内容を十分理解できていないことがあることに留意する。 通知、説明書類等について 具体例 問合せ先にファックス番号、電子メールアドレスを記載する(聴覚障害)。 具体例の説明 電話でのやりとりが難しい人がいることを念頭に置き、連絡先のファックス番号やメールアドレス等も併記する。 具体例 ハガキや説明書類等にルビをふる(知的障害ほか)。 具体例の説明 ルビをふっていても難しい言葉は意味を理解することができないので、なるべく分かりやすい言葉や表現を使ったり、相手が分かるように説明で補うことに留意する。(再掲) 具体例 自ら署名することが困難な場合に、本人の了解を得て代筆をする(視覚障害、肢体不自由)。 具体例の説明 手続上、市職員による代筆が可能であれば、そのために別に支援者を必要としないことに留意する。 具体例 ホームページにPDFデータのみでなく、音声に変換できるよう、テキストデータ等も併せて掲載する(視覚障害)。 具体例の説明 音声読み上げソフト等を活用すればウェブサイトのデータを読むことができるが、PDFファイルは音声に変換できないことがあり、読むことができないことに留意する。 具体例の説明 市から通知や書類等を発出する際には、相手の障害特性を踏まえた配慮を行うことに留意し、相手の申出に応じて、点字版の資料を作成したり、読み上げたりするなどの対応を行う。 イ 情報を受けることの合理的配慮 窓口対応・電話対応において 具体例 本人の希望を確認し、筆談や手話(手話通訳の配置)等で対応する(聴覚障害)。具体例の説明 手話で対応することによって全ての聴覚障害のある人の情報の保障ができるわけではないことに留意する。手話や筆談で対応する際には、伝えた内容を相手が理解しているかどうかを確認する。(再掲) 具体例 ファックスや電子メールでの連絡を基本とする(聴覚障害)。 具体例の説明 電話でのやりとりが難しい人がいることを念頭に置き、連絡先のファックス番号やメールアドレス等も併記する。(再掲) 具体例 用件、話を丁寧に聞く(肢体不自由(言語障害))。 具体例の説明 会話の中で聞き取りづらい箇所があるときは、遠慮せずに聞き直すなど正確に理解することに留意する。 (2) 会議、講演会等のイベントの開催における合理的配慮 具体例 安心して会議等に参加できるよう、会場の分かりやすい地図を事前に送ったり、当日に案内の人を配置する(精神障害、知的障害ほか)。 具体例の説明 会議に参加するに当たって、主催者側が取り除くことのできる参加者の不安に対応できるよう案内する者などの配置を想定する。 具体例 審議会等の開催日を決めるに当たり、委員の透析の日程に配慮して決定する(内部障害)。具体例の説明 透析の日程をずらすことによって、身体に重大な影響を及ぼすこともあり、また透析日を変更するための調整が難しいこともあることに留意する。 具体例 審議会等の委員である人が会議に出席する際に付添い者の同席を認める。また、付添い者の交通費は会議の主催者の負担とする(知的障害ほか)。 具体例の説明 会議中に難しい内容のやりとりがある場合に、その人の理解力に合わせた補足説明をする必要がある。更に、自分のことをよく理解しており、話しやすい人が付添い者になる方が望ましいことに留意する。 具体例 会議の進行に当たり、発言者はまず名乗ることをルールとする(視覚障害)。 具体例の説明 発言者が氏名を名乗らなければ、誰が発言したのかが分からないことがあることに留意する。 具体例 手話通訳だけでなく、要約筆記による通訳を行う(聴覚障害)。 具体例の説明 全ての聴覚障害のある人が手話を理解できるわけではないことに留意し、要約筆記による通訳の手配も併せて行う。 具体例 会議等に障害のある人が委員として出席する場合に、本人の障害特性を踏まえた資料(点字版等)を用意する。 具体例の説明 障害のある委員が会議等の議論に参加できるよう、必要な配慮を事前に確認することに留意する(会議の傍聴人の資料についても原則として障害特性を踏まえた配慮を行う)。 具体例 要約筆記は他の人の発言の全てをモニターに再現するものではないため、会議の進行状況を指差しで伝えるなどの個別の配慮を併せて行う(聴覚障害)。 具体例の説明 会議の進行状況と筆記内容がずれることもあるため、進行状況を理解しているかどうかの確認を行うことに留意する。 具体例 要約筆記を行っている場合、会議が長時間にわたるときは途中で休憩を入れる(聴覚障害)。 具体例の説明 要約筆記の内容を集中して読み込むことによる目の疲労を考慮し、途中で休憩を取ることに留意する(おおむね1時間に1回、10分程度)。 具体例 審議会等の委員である人が会議を欠席した場合には、別に説明する機会を設けるなどにより丁寧なフォローを行う(精神障害ほか)。 具体例の説明 資料を読むだけでは会議内容や流れを理解することが難しいこともあることに留意し、欠席した委員が理解しやすい方法で個別説明するよう留意する。 (3) その他の合理的配慮 物理的環境への配慮 具体例 車いす利用者のために段差に携帯スロープを渡す、高い所に置かれた物品を取って渡すなど(肢体不自由ほか)。 具体例の説明 市民が通行する経路上に段差や備品等の障害物がないかを確認する。また、移動が難しい場合は、車いす利用者等の経路を別途確保する。具体例の説明 車いす利用者は、高い所に置かれた物品を取ることや見ることができないことに留意する。 ルール・慣行の柔軟な変更 具体例 障害の特性に応じた休憩時間の調整など 具体例の説明 障害特性のほか、その日の体調等により、休憩時間を入れるタイミングを調整したり、休憩場所を別途確保するなどの対応が必要となることに留意する。