横浜市依存症対策地域支援計画 計画期間 令和3年度から令和7年度まで 概要版 令和3年10月 横浜市 第1章 計画の概要 1 計画策定の趣旨 依存症は、本人の健康状態や社会生活等だけでなく、家族等へも影響を及ぼします。依存症の背景には複合的な課題が存在している事例も多く、医療・福祉・司法など、様々な領域の専門家が連携して支援を行うことが求められます。 近年、国や神奈川県において、法律や計画が整備されるなど、各依存症に関する支援体制の制度が整えられてきました。 こうした動きを踏まえ、本市においても、こころの健康相談センター、各区役所での精神保健福祉相談を中心に、相談支援、普及啓発などの取組を充実させてきました。また、市内では依存症当事者の支援に、長きにわたって、多数の民間支援団体等が活動してきました。 本計画は、本市の依存症対策の取組と、民間支援団体等が積み上げてきた活動を結びつけ、依存症に関する支援の方向性を打ち出し、関係者と共有することで包括的な支援の提供を目指すものです。 2 用語の定義 (表ここから) 用語 依存症 定義 アルコールや薬物などの物質の使用や、ギャンブル等やゲームなどの行為を繰り返すことによって脳の状態が変化し、日常生活や健康に問題が生じているにもかかわらず、「やめたいと思わない」、「やめたくても、やめられない」、「コントロールできない」状態である 「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(第11回改訂版)」(ICD-11)では、物質使用及び嗜癖行動による障害に位置付けられている 本人の意志の弱さや家族等の周囲の人の努力不足によるものではなく、様々な生きづらさや孤独を抱えるなど、原因や背景は多様であり、適切な医療や支援につながることで回復できる 用語 回復 定義 依存症の本人や家族等の抱える困難が軽減され、より自分らしく健康的な暮らしに向かって進んでいけること、自分らしく健康的な暮らしを続けること (表ここまで) 3 計画策定の位置付けと計画期間 本計画は国の依存症対策総合支援事業実施要綱において定められた、地域支援計画として策定するものであり、国のアルコール健康障害対策推進基本計画、ギャンブル等依存症対策推進基本計画や、神奈川県の神奈川県アルコール健康障害対策推進計画、神奈川県ギャンブル等依存症対策推進計画等の関連計画及び本市におけるよこはま保健医療プラン、横浜市障害者プラン等の医療・福祉領域の関連計画との整合を図りながら策定しています。 また、本計画の計画期間は、計画策定後の令和3年度から令和7年度までの5年間とします。 4 計画で取り扱う依存対象 本計画は、アルコール・薬物・ギャンブル等依存症の3つを主たる施策の対象としつつ、ゲーム障害といった新しい依存症など、その他の依存症も含む依存症全般を視野に入れた内容として策定しています。 第2章 本市における依存症に関連する状況と課題 1 本市の依存症に関連する状況 厚生労働科学研究の研究結果に基づく推計(平成30年度)によると、アルコール依存症の生涯経験者の割合は男性の0.8%、女性の0.2%となっています(※1)。 国立精神・神経医療研究センターの調査結果(令和元年度)によると、生涯で1度でも薬物の使用を経験した人の割合は、2.5%となっています(※2)。 本市の調査結果(令和元年度)によると、過去1年以内にギャンブル等依存症が疑われる人の割合の推計値は成人の0.5%、生涯でギャンブル等依存症が疑われる人の割合の推計値は成人の2.2%となっています(※3)。 本市における依存症に関する相談件数を見ると、令和2年度には、こころの健康相談センターでのべ1,013件、区役所でのべ3,127件の相談を受け付けています(※4)。 (※1)「2018年わが国の成人の飲酒行動に関する全国調査」(厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)分担研究平成30年度報告書) (※2)国立精神・神経医療研究センター「薬物使用に関する全国住民調査(2019年)」(令和元年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業)分担研究報告書)。ここでいう「薬物」は「有機溶剤、大麻、覚醒剤、MDMA、コカイン、ヘロイン、危険ドラッグ、LSDのうちいずれかの薬物」のことを指す。 (※3)横浜市「横浜市民に対する娯楽と生活習慣に関する調査」(令和元年度) (※4)出典は横浜市資料。なお、「その他」の依存症への相談件数は平成29年度より抽出しているため、同年以降の相談件数を掲載。 (グラフここから) こころの健康相談センターにおける依存症関連ののべ相談件数 平成27年度 アルコール67件 薬物26件 ギャンブル等0件 計93件 平成28年度 アルコール87件 薬物28件 ギャンブル等5件 計120件 平成29年度 相談窓口開設 アルコール176件 薬物116件 ギャンブル等123件 その他67件 計482件 平成30年度 アルコール434件 薬物120件 ギャンブル等181件 その他154件 計889件 令和元年度 アルコール420件 薬物177件 ギャンブル等215件 その他216件 計1028件 令和2年度 アルコール350件 薬物225件 ギャンブル等184件 その他254件 計1013件 (グラフここまで) (グラフここから) 区役所における依存症関連ののべ相談件数 平成27年度 アルコール1092件 薬物246件 ギャンブル等107件 計1445件 平成28年度 アルコール1217件 薬物502件 ギャンブル等116件 計1835件 平成29年度 アルコール1604件 薬物321件 ギャンブル等168件 その他0件 計2093件 平成30年度 アルコール1885件 薬物576件 ギャンブル等117件 その他84件 計2662件 令和元年度 アルコール1702件 薬物513件 ギャンブル等119件 その他35件 計2369件 令和2年度 アルコール2428件 薬物508件 ギャンブル等161件 その他30件 計3127件 (グラフここまで) 本市が令和2年に「ヨコハマeアンケート」(市内在住の15歳以上の登録メンバーによるインターネット調査)で実施した「依存症に対するイメージや知識に関するアンケート」の結果によれば、回答者の95%以上が、アルコール依存症・薬物依存症・ギャンブル等依存症について知っており、依存症に対する認知度は高いことがうかがえます。 他方で、「依存症になるのは自業自得だと思う」の質問については38.8%が、「治療しても依存症が回復することはない」の質問については24.2%が「そう思う」又は「ややそう思う」と回答しており、依存症に関する正しい知識が浸透していないことがうかがえます。 (グラフここから) 知っている依存症(回答数1,264) 依存症 割合 アルコール依存症 98.7% 薬物依存症 95.8% ギャンブル依存症 96.6% いずれも知らない 0.7% その他 13.8% (グラフここまで) (グラフここから) 依存症に対する認識 認識 割合 依存症になるのは自業自得だと思う そう思わない 10.2% あまりそう思わない 12.9% どちらともいえない 35.0% ややそう思う 27.2% そう思う 11.6% わからない 2.1% 無回答 0.9% 治療しても依存症が回復することはない そう思わない 19.0% あまりそう思わない 25.7% どちらともいえない 26.8% ややそう思う 17.7% そう思う 6.5% わからない 3.2% 無回答 1.0% (グラフここまで) 2 本市及び関係機関、民間支援団体等における取組と状況 ①身近な支援者 区役所の高齢・障害支援課、生活支援課などでは、行政の相談窓口として、初期の相談や専門的な相談等、幅広く対応しています。相談内容の背景に依存症の問題があった場合には、専門的な支援者へのつなぎを行っています。 そのほか、身近な支援者としては、精神障害者生活支援センターや基幹相談支援センター、地域ケアプラザといった福祉の機関、法テラスや司法書士、弁護士、保護観察所といった司法に携わる機関・支援者、学校などの教育機関等があります。 身近な支援者における相談や対応する課題等の背景には、依存症の問題が含まれることが珍しくない状況にあります。こうした支援者が依存症問題に対する理解と対応力を高め、専門的な支援者との連携を強化していくことが、依存症の予防・早期発見・早期支援に向けて極めて重要と考えられます。 ②医療機関 神奈川県内には専門医療機関をはじめとして、依存症の治療等を行う医療機関が複数あります。また、それ以外の医療機関(一般医療機関)においても、依存症の早期発見と専門的な支援者へのつなぎに向けた重要な役割を担っているものと考えられます。 ③民間支援団体等(回復支援施設・自助グループ等) 市内には多くの回復支援施設や自助グループ・家族会等が活動しており、依存症からの回復を目指し、様々なプログラムの実施や依存症の問題を抱えた人たちや家族等が相互に支えあう取組を進めています。 ④行政(こころの健康相談センター・区役所 精神保健福祉相談等) 実施要綱に基づく依存症相談拠点であるこころの健康相談センターで、地域の関係機関と連携しながら、個別相談(依存症相談窓口)、回復プログラム、家族教室、普及啓発や支援者向け研修等の事業を実施しています。 区役所では、関係課が連携し、複合的な問題に対応しています。高齢・障害支援課の精神保健福祉相談では、依存症の本人や家族等の地域生活を支えるため、それぞれの区の状況に応じた取組を実施しています。 その他の依存症に関連した施策を実施する部署では、所管する事業において、普及啓発等の取組を実施しています。 (イメージ図ここから) 本市における依存症対策の取組体制 依存症対策に向けた全庁的な取組のため、 こころの健康相談センターの取組、役割としては依存症専門相談拠点、市内関連機関とのネットワークづくり、調査研究 区役所 精神保健福祉相談の取組、役割としては相談支援、地域との連携 依存症に関連する施策を実施する部署 身近な支援者(行政) が一体となった取組体制 (イメージ図ここまで) 3 計画課題の整理 本計画の策定にあたって、各種調査、本市の附属機関である精神保健福祉審議会の依存症対策検討部会(以下、「検討部会」という。)での議論等を通じ、一次支援から三次支援における12の「課題」を設定しました。 本計画における一次・二次・三次支援の対象と定義 一次支援 依存症の予防に向けた普及啓発や偏見解消に向けた理解促進の取組を指します。 二次支援 依存症の早期発見・早期支援に向けた取組、依存症の支援につながっていない人、他の支援を受けている人で依存問題を抱えている人への支援に向けた取組などを指します。 三次支援 依存症の本人やその家族等の回復を支えていくための取組を指します。また、民間支援団体等や医療機関の活動支援なども含みます。 (イメージ図ここから)ピラミッド図 頂点:三次支援(回復支援)/対象:依存症からの回復段階にある人 中段:二次支援(早期発見・早期支援)/対象:依存症の本人・家族等、依存症の疑いがありつつも支援につながっていない人 底辺:一次支援(予防・普及啓発)/対象:市民全体+依存症リスクの高い人 (イメージ図ここまで) 本市の依存症対策における課題 (表ここから) フェーズ 一次支援 課題1 ライフステージに合わせた切れ目ない依存症に関する情報提供・啓発 課題の具体的内容 早い時期(学齢期)からの普及啓発 幅広い年齢層(成人、高齢者含む)への普及啓発 幅広い支援者と連携した啓発の取組 ゲーム障害を含む、依存対象と出会う時期に応じた正しい知識の普及啓発 課題2 特に依存症のリスクが高まる時期に重点化した普及啓発 課題の具体的内容 ライフイベントの発生に合わせた正しい知識の普及啓発 課題3 依存症に関する基本知識の普及啓発 課題の具体的内容 依存症の発症リスクが高い生活習慣等についての啓発 依存症に対する誤解・偏見の解消に向けた普及啓発 一般市民に対する専門的な医療機関や民間支援団体等の活動内容の周知 フェーズ 二次支援 課題4 依存症の本人や家族等が早期に適切な支援につながるための普及啓発 課題の具体的内容 相談に至るための相談支援機関や支援策等の情報提供・周知 家族等が相談をする場の必要性 職場での普及啓発 回復イメージが具体的に認識できる情報提供、回復プロセスの周知・啓発 受け手が必要な情報を得やすい情報提供の検討 課題5 依存症の複合的な背景を踏まえた重層的な早期支援体制の構築 課題の具体的内容 行政、専門的な医療機関、身近な支援者、民間支援団体等による、長期にわたる継続的な支援体制の構築 生活困窮や虐待等の依存症関連問題への対応 未成年あるいは高齢、身体や認知機能の障害等のため民間支援団体等での支援が困難な事例への対応 依存症自体の支援より他の生活に関する支援を必要とする人への対応 課題6 身近な支援者等から専門的な支援者へ円滑につなぐ取組 課題の具体的内容 身近な支援者における依存症が疑われる人の発見とつなぎへの対応 身近な支援者への支援情報・知識の提供 課題7 専門的な支援者や家族等への支援 課題の具体的内容 本人等が継続的な支援を受ける上での課題への対応 家族等に対する支援 フェーズ 三次支援 課題8 支援団体ごとの特色を生かし、多様なニーズに対応するための情報共有 課題9 支援者によるアセスメント力向上 課題の具体的内容 対象者像や支援内容等の施設ごとの特色を生かした、ニーズに合う支援提供 支援者によるアセスメント(その人に合った支援を見極めること) 女性への回復支援の課題解決 課題10 専門的な支援者等が継続的に活動するための支援 課題11 様々な支援ニーズに取り組む民間支援団体等の運営面等の課題への対応 課題の具体的内容 民間支援団体等における、制度と支援ニーズの不一致解消に向けた検討 他の生活に関する支援への負担の対応検討 施設の安全管理・危機管理 新型コロナの感染拡大防止に向けた「新しい生活様式」を踏まえた活動の検討 専門的な支援者間、身近な支援者間で情報共有などを行う場の必要性、横のつながりがある環境 継続した勤務に向けた、民間支援団体等スタッフの人材育成、ケア 課題12 回復段階において新たに顕在化する課題への対応 課題の具体的内容 就労への移行についての課題解決に向けた検討 医療機関との連携 地域で生活していくための支援 矯正施設等から地域移行をした後の孤立を防ぐための継続した支援 依存症以外に重複した問題や障害のある人に対する支援課題への対応 依存症への偏見等による民間支援団体等の運営課題への対応 回復期における家族等の負担の大きさと家族等への継続的な支援 (表ここまで) 第3章 計画の目指すもの 1 基本理念 本計画における基本理念は以下の通りです。 (囲みここから) 【基本理念】依存症の本人や家族等の抱える困難が軽減され、より自分らしく健康的な暮らしに向かって進み続けるようにできること。 (囲みここまで) 2 基本方針 先に掲げた基本理念を達成するため、本計画では、以下の通り基本方針を定めます。 (囲みここから) 【基本方針】依存症の予防及び依存症の本人や家族等が自分らしく健康的に暮らすための支援に向け、関係者がそれぞれの強みを生かしながら、連携して施策を推進すること。 (囲みここまで) 3 基本方針の実現に向けた取組体制 基本方針の実現に向けて、本市こころの健康相談センター、区役所の精神保健福祉相談、さらには専門的な医療機関、民間支援団体等、身近な支援者(行政)、身近な支援者(行政以外)、依存症に関連した施策を実施する本市関係部署が連携し、関係者が一体となって依存症対策の取組を進めます。 基本方針の実現に向けた取組体制 (図ここから) 関係者が一体となった依存症対策の取組を進めるため、 専門的な支援者として 専門的な医療機関は 身近な支援者や民間支援団体等と連携し、依存症の本人の治療を実施。 民間支援団体等や身近な支援者などを対象とする普及啓発や人材育成に関与。 こころの健康相談センター・精神保健福祉課は 依存症の本人やその家族等を対象とする相談対応や回復支援を実施。 情報収集や支援施策の企画立案、依存症に関する普及啓発、関係機関間の連携促進、支援人材の育成などを実施。 区役所・精神保健福祉相談は 依存症の本人やその家族等を対象とする相談対応、回復支援、専門的な医療機関や民間支援団体等へのつなぎを実施。 区内における普及啓発や民間支援団体等と連携した施策を展開。 民間支援団体等は 団体の特性を踏まえ、「本人に合った回復支援」を提供。 市民や身近な支援者、一般医療機関等を対象とした普及啓発、関係機関・団体との情報共有などに参画。 身近な支援者等として 依存症に関連した施策を実施する行政の部署は 担当する領域において依存症の予防等に向けた施策を展開。 庁内外の関係機関・団体と連携し、施策を展開。 身近な支援者(行政以外)は 依存症に関する情報収集に努め、啓発の担い手となるとともに、福祉・医療・司法・教育などの現場において、依存症の問題に気付き、専門的な支援者へのつなぎを実施。 本人が社会生活を送る上で必要な支援を提供。 身近な支援者(行政)は 依存症に関する情報収集に努め、啓発の担い手となるとともに、所管業務における相談対応の中で、依存症の問題に気付き、専門的な支援者へのつなぎを実施。 専門的な支援者と連携し、本人が社会生活を送る上で必要な支援を提供。 (図ここまで) 第4章 取り組むべき施策 1 一次支援に係る重点施策 重点施策1 予防のための取組 幅広い年齢層を対象として、様々な場所で普及啓発・予防教育を展開するとともに、依存症の予防に向け、心身の健康を保つ取組を推進 (1) 総合的な依存症対策の取組 (写真ここから) 依存症啓発リーフレット (写真ここまで) ア 若年層への啓発・依存症予防の知識の提供 児童・生徒を対象にリーフレットの配布などによる教育、啓発を実施するほか、ホームページ等で広く青少年・若者向けの効果的な広報や教育、啓発を実施。 子どもの健全育成に大きな役割を担う教員、保護者、地域の大人や団体、区役所などの相談支援者等を対象とした、依存症予防に関する知識の提供を実施。 ゲーム障害に関する正しい理解とゲームとの適切な付き合い方や家庭で保護者ができる関わり方等について、小中学校等と連携して普及啓発を実施。 イ それぞれの年齢等に適した普及啓発・予防教育の実施 それぞれの年齢・世代・性別等に応じた内容・手法による普及啓発・予防教育を推進。 ウ 大学生への啓発 横浜市立大学において、健康診断時に啓発チラシを配布するとともに、アルコール摂取についての問診や保健相談を実施。 市内にキャンパスを有する大学等に対して、本市が作成する若年層向けの普及啓発資料の提供や相談窓口の周知を図るなど、個々の大学等における啓発活動を支援。 エ 身近な支援者等による啓発 身近な支援者によるリーフレットの配架・配布などの依存症の啓発や予防に向けた情報提供などを実施。 依存症の予防に向け、区役所の精神保健福祉相談や精神障害者生活支援センター、基幹相談支援センター、発達障害者支援センター等における啓発や情報提供の取組を推進。 オ 心身の健康を保つ取組 こころの健康を保つため、ストレスチェックや対処法、こころの病気に関する基本的知識等についてホームページやリーフレット等により啓発を推進するとともに、こころの健康に関する相談を実施。 生活習慣改善相談として、健康診断の数値・結果データの見方や、生活習慣病・禁煙に関する相談を実施。 誰もが働きやすい職場環境づくりを積極的に進める市内中小企業等を「よこはまグッドバランス賞」として認定するほか、市民に対して様々な機会を活用した普及啓発を実施するなど、横浜市全体のワーク・ライフ・バランス推進を目指した取組を推進。 カ 様々な課題への支援 依存症の背景となりうる様々な健康問題や生活課題等に対応するため、区役所の関係各課において、相談を受け、必要な支援を提供。関係課等と情報共有し、連携した対応を実施。 教育相談として、小中学生の不登校・友人関係・学習・進路・セクシャルハラスメントなど、学校生活上の困りごとについての相談に対応。また、学校カウンセラー等が教職員と連携し、児童・生徒や保護者の相談に対応。 (2) アルコール依存症に特化した取組 ア 多量飲酒等の防止(適量な飲酒)への取組 生活習慣病改善相談や健康づくり関連イベントなどの中で、多量飲酒等の防止に向けた啓発等の取組を実施。 「よこはま企業健康マガジン」(メール配信)による市内企業へのアルコール問題に関する記事の配信などを通じ、市内で働く人たちに多量飲酒等の防止の重要性を啓発。 イ 未成年飲酒防止・不適切な誘引防止の取組 学習指導要領に基づく保健学習において、未成年者の飲酒の防止に向けた教育等を推進。 周囲の大人が未成年者に対して不適切な飲酒を誘引することのないよう、啓発活動を実施。 ウ 女性特有の課題に応じた不適切な飲酒の防止の取組 依存症に至る進行の早さ、妊娠中の胎児への影響の危険性など、特有の課題が生じる女性のアルコール依存症の予防のため、リーフレットの配布などを通じて、依存症に関する情報提供や普及啓発を実施。 (3) 薬物依存症に特化した取組 ア 教職員等向け研修の実施 青少年の薬物の乱用を防止するため、薬物乱用による心身への影響や依存症などについて、教職員等を対象とした研修を実施。 イ  薬物乱用防止への取組 不正大麻・けし撲滅運動や講習会、啓発の充実を図るとともに、薬物乱用防止庁内連絡会を通じた関係機関との連携・情報共有を引き続き推進。 (4) ギャンブル等依存症に特化した取組 ア  高等学校の保健体育におけるギャンブル等依存症の教育 高等学校の保健体育の授業で、アルコール、薬物等の依存症に加えて、ギャンブル等依存症についても実施。 イ  場外券売り場などでの普及啓発 公営競技の場外券売り場等において、リーフレットの配架・配布など、ギャンブル等依存症に関する普及啓発を実施。 重点施策2 依存症に関する正しい理解、知識を広めるための普及啓発 依存症に対する偏見の解消や正しい理解の促進に向けて、市民全般を対象とした普及啓発の取組を推進 (1) 総合的な依存症対策の取組 ア  依存症について関心を持ち正しい理解を促進する普及啓発 多くの市民が依存症の問題に関心を持ち、依存症に関する正しい理解が進むよう、メディアやインターネットを活用した情報発信など、多くの人の目に触れる手段・方法による情報の提供・発信を実施。 依存症に関する正しい理解促進のための市民向け講座を開催。 (写真ここから) 本市 依存症の基礎知識ホームページ (写真ここまで) イ  依存症の正しい知識の普及啓発 依存症は誰もが直面しうる問題であり、適切な支援を受けることで回復できるという正しい知識の普及啓発のため、セミナー・講演会の開催、リーフレット等の配布を実施。 民間支援団体等において、当事者による語りを含むセミナー・講演会などを実施し、こころの健康相談センターや区役所においてその開催を支援。 2 二次支援に係る重点施策 重点施策3 相談につながるための普及啓発 本人や家族等が適切な相談支援機関につながれるよう、相談先に関する情報の提供や依存症の正しい知識の啓発を推進 (1) 総合的な依存症対策の取組 ア  依存症の本人や家族等が相談につながる普及啓発 依存症の本人、その家族等や友人・知人などが相談支援機関についての情報を入手し、相談につながることができるよう、多くの人の目に触れる手段・方法により相談支援機関に関する情報の提供・発信を実施。 厚生労働省が定める啓発週間に合わせて、相談勧奨や市民向けセミナー等の普及啓発を実施。 イ  幅広く身近な場所での普及啓発 重複障害、多重債務や生活困窮、DV・虐待等の問題を抱える依存症の本人や家族等が訪れる可能性の高い区役所の関係各課の窓口等で、リーフレット配布など、専門的な支援者等に関する情報の提供を実施。 他の障害が重複する人に相談支援機関の情報を提供するため、精神障害者生活支援センター、基幹相談支援センター、発達障害者支援センター等の身近な支援機関・団体における普及啓発の取組を推進。 ウ  家族等向けの啓発 区役所の関係各課などに相談に来た家族等に対し、相談支援機関や専門的な支援者に関する情報提供などを実施。 家族等からの相談が可能な専門医療機関について、家族等や身近な支援機関の職員などへの周知を推進。 家族等に向け、依存症の基礎知識や対応方法について、ホームページ、セミナー等による啓発を実施。 エ  民間支援団体等による講演会等の開催 民間支援団体等において、依存症の本人や家族等に対する相談や回復支援に関する情報提供のための講演会等を開催。また、本市において、開催の周知を支援。 オ  インターネットを活用した情報提供 Web上でできるチェックリストの提供や、チェック結果を踏まえて本人等のニーズに合った相談・支援・医療機関の検索ができるWebサイトの作成などを実施。また、民間支援団体等の相談先に関する情報の掲載も実施。 (2) アルコール依存症に特化した取組 ア  産業保健分野における普及啓発 産業保健総合支援センターなどと連携しながら、市内企業等の従業員に向けたアルコール依存症の問題に関する情報提供等を実施。 市職員に向けて、飲酒に関する啓発やアルコール依存症に関する相談対応等を実施。 (3) 薬物依存症に特化した取組 ア  重複処方の人へのお知らせ 医療機関への重複受診や重複・多剤処方が見られる人に対し、文書等の送付により処方薬を対象とした薬物依存の問題に関する注意喚起を実施。 重複処方等の人に対し、専門的な支援者などの情報提供を実施。 (4) ギャンブル等依存症に特化した取組 ア  ギャンブル等依存症の本人等が相談につながる普及啓発 借金・多重債務問題の相談、法律相談等において、リーフレットの配架・配布など、相談支援機関に関する普及啓発、情報提供を推進。 ギャンブル等の問題を抱える本人の気付きや相談につながるよう、ギャンブル等の事業者と連携し、ポスター掲示やリーフレットの配架・配布などの普及啓発を実施。 (写真ここから) 相談を促す啓発カード (写真ここまで) 重点施策4 身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組 身近な支援者等による依存問題を抱える人の発見と専門的な支援者へのつなぎに向けた取組を推進 (1) 総合的な依存症対策の取組 ア  連携会議による支援情報の収集と共有等 依存症の本人等に対する包括的な支援を行うため、関係機関の連携や情報・課題の共有を目的とした横浜市依存症関連機関連携会議(以下、「連携会議」という。)を、相談拠点であるこころの健康相談センターが定期的に開催。 (イメージ図ここから) 横浜市依存症関連機関連携会議 依存症の本人や家族等に対する包括的な支援に向けた関係機関間の密接な連携 機関 回復支援施設/自助グループ・家族会/行政(こころの健康相談センター・区役所等)/福祉・保健/教育/司法/医療機関 連携会議での協議事項 依存症の本人や家族等の支援に関する情報や課題の共有に関すること 依存症の本人や家族等の支援に関する連携や調整、研修計画に関すること その他依存症の本人、家族等の支援に関して必要なこと 開催の企画・情報提供 横浜市 こころの健康相談センター (イメージ図ここまで) イ  行政、民間支援団体等、医療機関、身近な支援者などの幅広い支援者のネットワーク、顔の見える関係の構築 行政、民間支援団体等、医療機関、身近な支援者などによる幅広い支援者ネットワークと顔の見える関係づくりを推進。 ウ  支援ガイドラインの作成及び支援者向け研修の実施 身近な支援者から、専門的な支援者へ適切なつなぎを行うための、支援ガイドラインの作成を推進。 身近な支援者の依存症理解の促進と支援の向上に寄与するための研修の実施。 エ  身近な支援者から専門的な支援者へつなぐ取組 本人や家族等の相談に対して、関係機関と連携し、身近な支援者から専門的な支援者への適切なつなぎを実施。 オ  身近な支援者と連携した取組 身近な支援者において、依存症の理解を促進するための研修をこころの健康相談センターと連携して開催するなど、依存症関連の取組を推進。 カ  福祉サービス提供事業者等への情報提供や研修の実施 依存症の問題を抱えている支援対象者やその家族等を専門的な支援者へつなぐことができるよう、介護事業者や障害福祉サービス事業者、相談支援事業者に向けた、依存症に関する情報提供や研修等を実施。 子どもの保護者等が依存症の問題を抱えている場合も少なくないと考えられることから、保育・教育機関の職員などを対象とした情報提供や研修などを実施。 キ  市内の支援者情報をまとめた情報ツールの整備 身近な支援者が、対象者のニーズに合った支援者を検索できるよう、市内の支援者の情報をまとめた情報ツールを整備。 ク  救急医療機関との連携 救急医療機関において、アルコールや薬物の多量摂取や事故等による外傷で搬送された人に依存症の疑いがある場合、容態が安定した患者やその家族等が専門的な支援者につながることができるよう、依存症の基本知識や専門的な支援者の連絡先等を掲載したリーフレットを院内に配架・配布し、啓発を実施。 ケ  かかりつけ医への研修の実施 多くの市民が継続的な関係を構築する「かかりつけ医」対象の研修において、依存症についても説明を実施。 コ  区役所の関係各課が連携した相談等への対応 区役所の精神保健福祉相談及び関係各課において、研修受講などを通じて、依存症についての理解と相談対応力の向上を推進。 相談を受けた担当課だけでは対応が難しい場合には、関係各課や関係機関と横断的な情報共有や連携した対応を実施 サ  医療関係者による支援者向け研修の実施 身近な支援者等が依存症理解を深めることを目的として、専門の医師等による医学的な見地からの支援者向け研修を実施。 (2) アルコール依存症に特化した取組 ア  内科等での気付きとつなぎ 内科等において依存症が疑われる事例をスクリーニングし、専門的な支援者へつなぐための仕組みづくりを検討。 依存症の本人や依存症が疑われる人がアルコールに起因する疾患により内科等を受診した際に、医師やその他の医療従事者が依存症の可能性に気付き、専門的な医療機関や民間支援団体等へつなぐことができるよう、医療従事者等に向けて依存症に係る情報提供や研修などを実施。 (3) 薬物依存症に特化した取組 ア  保護観察所との密な連携と情報共有 薬物等に関連する犯罪等により保護観察処分となっている人を再犯防止に向けた適切な支援へつなぐため、保護観察所と連携して、市内の相談支援機関に関する当事者への情報提供や支援者向け研修の実施等を推進。 薬物依存のある保護観察対象者等の支援に係る実務者検討会や地域支援連絡協議会に参画し、神奈川県内の他自治体や保護観察所との情報交換や連携などを緊密に行う体制を構築。 国立精神・神経医療研究センターが実施する、薬物事犯による保護観察対象者を対象とするコホート調査に協力し、回復や再使用等に影響する要因を明らかにすることを目指すとともに、切れ目のない支援体制の構築に向け、行政や関係機関・団体が連携して治療や支援等を行う地域体制の構築を推進。 (4) ギャンブル等依存症に特化した取組 ア  借金・消費生活・法律相談等から専門的な支援者へのつなぎ及び啓発 依存症の本人や依存症が疑われる人から相談があった場合に、借金・消費生活・法律等に関する相談窓口等の身近な支援者から専門的な支援者へつなぐとともに、関係機関のホームページ等に掲出される情報を紹介するなどの啓発を実施。 依存症の本人や依存症が疑われる人が相談に訪れる可能性のある、借金・消費生活・法律等に関する相談窓口等で、依存症の可能性に気付き、専門的な支援者等へつなぐことができるよう、相談に携わる人に向けて、依存症に係る情報提供や研修などを実施。 3 三次支援に係る重点施策 重点施策5 専門的な支援者による回復支援の取組 専門的な支援者による強みを生かした支援の実施や、施設の危機管理・人材育成等を支援する取組を推進 (1) 総合的な依存症対策の取組 ア  行政における相談支援 こころの健康相談センターにおいて、専門の相談員が依存症の本人や家族等からの相談を受けるとともに、回復プログラム等の案内や区役所との連携、専門的な支援者等へのつなぎを実施。 区役所の精神保健福祉相談において、身近な相談窓口として相談対応を行うとともに、福祉サービスの利用の決定や訪問・介入などの継続的な支援、地域の資源を活用した支援を実施。また、区役所の関係各課が連携して複合的な福祉課題に対する支援を実施。 イ  回復プログラム・家族教室の実施 こころの健康相談センターにおいて、依存症のメカニズムを学び、再発のサイン・対処法などを本人と一緒に考える回復プログラムを実施。 こころの健康相談センターや区役所において、家族等が依存症について学び、対応方法や回復について考える家族教室を実施。 ウ  民間支援団体等による依存症の本人や家族等への支援 多様性のある本市の民間支援団体等が、それぞれの特性を生かして、依存症の本人や家族等の回復に向けた取組を実施。 エ  利用者のニーズに合った制度の検討 障害者総合支援法等の制度の中では対応しきれない利用者のニーズ等を踏まえ、依存症特有の課題について各制度との調整を検討。 オ  民間支援団体等への活動支援 民間支援団体等が継続して依存症の本人や家族等を支援できるよう、ミーティング・普及啓発・相談等の団体の活動を補助。 男女共同参画センターにおいて、自助グループの活動場所の提供等の支援やセミナー開催の支援を実施。 カ  施設の危機管理体制充実に向けた支援 自然災害や事件、新型コロナ等の感染症の流行等から施設の利用者や職員を守るため、施設運営に関する情報提供や緊急時対応マニュアルの作成を推進。 防災・防犯・感染症予防に必要な物品の導入補助など、施設の危機管理体制の充実に向けた支援を実施。 キ  スタッフの人材育成・セルフケアのための取組 民間支援団体等のスタッフの継続的な人材育成、スタッフの「燃え尽き症候群」や離職の防止に向けて、支援スキルの向上やセルフケアのための研修の開催、施設を越えたスタッフ間のネットワーク形成を支援。 ク  連携会議による情報共有 連携会議の開催により、行政、医療、福祉・保健、教育、司法などの関係機関がお互いの理解を深め、依存症の問題で悩む人が必要な支援にアクセスしやすいネットワークの構築を推進。 ケ  専門的な医療機関の充実に向けた研修等の実施 依存症の治療に対応できる医療機関の充実を図るため、精神科等の医療関係者に対する研修等を実施。 重点施策6 地域で生活しながら、回復を続けることをサポートする取組 回復支援施設等から地域に生活の場を移した後に、孤立せず、回復し続けられる取組を推進 (1) 総合的な依存症対策の取組 ア  連携会議によるサポート体制の構築 相談拠点である本市こころの健康相談センターが開催する連携会議を通して、支援者間の情報共有等の促進を図り、地域生活の中で回復し続けられる支援体制の構築を推進。 イ  地域における依存症の支援 地域生活の中での回復の継続に向けて、関係する各主体と専門的な支援者が、情報や技術を共有するとともに、「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」構築に向けた協議の場等において、関係者間の連携を進め、支援体制を構築。 依存症の本人が介護や障害福祉サービスを必要とする場合に、地域での生活を支える最も身近な支援者である、介護事業者や障害福祉サービス事業者、相談支援事業者がスムーズに支援を行うことができるよう、依存症に関する情報提供や研修等を実施。 ウ  回復や支援に関する情報共有 支援の質の向上と回復プロセスの理解促進に向け、支援のあり方や様々な回復プロセスを関係機関全体で共有し、行政や民間支援団体等、一般市民への周知を実施。 エ  更生保護と一体となったサポート 保護観察所等と連携し、当事者への民間支援団体等の情報提供や依存症以外の問題も含む相談対応を推進。 国立精神・神経医療研究センターが実施する、薬物事犯による保護観察対象者を対象とするコホート調査に協力し、対象者への継続的な支援を実施。 オ  就労の支援 依存症の本人の就労の支援に向けて、行政と民間支援団体等が連携し、依存症からの回復者を雇用する企業や関係機関に対し、依存症からの回復と就労の両立のために必要な知識等(偏見・差別等の防止、回復プロセスにおいて長期的な視点が求められることなどへの理解)の普及啓発を実施。 若者サポートステーションにおいて、就労に向けて様々な困難を抱える15~49歳の人及びその家族等を対象として、総合相談や就労セミナー、就労訓練等を実施し、職業的自立に向けて支援。 障害者就労支援センターにおいて、働くことを希望する障害児・者を対象として、就労に関する相談、職場実習等を通じた適性把握、求職活動支援や就労後の定着支援等を、企業や関係機関と連携しながら実施。 カ  自立後の住まいの確保 依存症からの回復過程にある人や、依存症に関連する犯罪により刑務所等から出所した人が、地域の中で自立した生活を続けられるよう、住まいの確保に向けて、依存症に関する正しい知識の周知を進め、広く偏見の解消を推進。 住宅に困窮する低額所得者で市内に在住又は在勤の人に対しては、公募により、低廉な家賃で市営住宅を提供。 低額所得者、障害者等が民間賃貸住宅への入居をしやすくする仕組みとして「住宅セーフティネット制度」を活用。 住宅確保要配慮者の居住支援を充実させるため、横浜市居住支援協議会と不動産事業者や福祉支援団体、区局の連携を強化する制度の検討を推進。 第5章 計画の推進体制 1 関係主体に期待される役割 本計画の推進のためには、関係主体がそれぞれの役割を果たしながら、連携し、一体となって取り組むことが必要です。 また、一次支援から三次支援において、個々の団体・機関等がそれぞれの専門性を発揮して支援を行うとともに、自団体・機関が専門とする支援領域以外でも可能な支援・活動のあり方を模索することが重要です。 (囲みここから) 【関係主体に期待される役割】 身近な支援者(行政、福祉、一般医療機関、司法、教育) 依存症に関する情報収集・理解促進によって啓発の担い手となるとともに、所管する業務に関連して本人等が相談に訪れた際には、依存症問題に対して気付き、適切な専門的な支援者へのつなぎを行うことが求められます。 また、依存症の回復支援を行う専門的な支援者と連携を図りながら、本人が社会生活を送る上で必要な支援等を提供する役割が期待されます。 専門的な医療機関 身近な支援者や民間支援団体等と連携しながら、依存症の本人に対する治療に取り組むほか、民間支援団体等や一般医療機関を含む身近な支援者、市民などを対象とした、依存症に関する普及啓発や支援者のスキル向上などにも積極的に関与していく役割が期待されます。 民間支援団体等(回復支援施設、自助グループ・家族会) 回復支援施設においては、依存症の本人や家族等に対し、専門性と各団体の特性を生かしながら、その人に合った回復支援を提供していくことが求められます。 自助グループ・家族会においては、同じ問題や悩みなどを抱えた人同士が出会い、相互に援助し、分かち合うことで、その問題からの回復を目指します。 また、市民等に向けた啓発活動を行うことや、連携会議等により他の民間支援団体等及び行政や身近な支援者との連携を通じた情報共有を行う役割も期待されます。 こころの健康相談センター・健康福祉局精神保健福祉課(依存症関連施策の実施者としての行政) 専門的な医療機関や民間支援団体等と緊密な連携を図りながら、依存症に関する普及啓発、本人や家族等を対象とする相談対応や回復支援、民間支援団体等の職員や身近な支援者を対象とする人材育成、関係機関間の連携促進、民間支援団体等の運営支援、事業者に対する協力の要請など、依存症問題の解決に向けた幅広い施策を立案し、実行する役割を担います。 区役所 精神保健福祉相談(依存症関連施策の実施者としての行政) 区役所の精神保健福祉相談において、本人やその家族等からの相談に対して、区役所の関係各課や身近な支援者と連携して、回復に向けた支援、適切な専門的な医療機関や民間支援団体等へのつなぎを行うことが求められます。 また、区内において依存症に関する普及啓発を実施するとともに、民間支援団体等と連携して施策を実施する役割を担います。 依存症に関連した施策を実施する部署(依存症関連施策の実施者としての行政) 本市の依存症に関連した施策を実施する各部署においては、担当する領域において依存症の予防等に向けた関連施策を実施することが求められます。 また、依存症への対応は、福祉・保健、医療、司法、教育などの幅広い領域における連携が重要であることから、庁内外の関係機関・団体と連携を図り、施策を展開していく役割を担います。 (囲みここまで) 2 計画の進行管理 本計画では、計画に位置付けられている各施策の効果を検証し、定期的な見直しにつなげていくため、PDCAサイクルの手法を活用し、計画全体の進行管理を行います。 計画期間中の年度ごとに、重点施策に位置付けられている個々の施策の進捗状況を把握・確認するとともに、検討部会に報告し、そこでの議論を通じて事業の達成状況や計画の進捗状況などの点検や評価を行います。点検や評価の結果を踏まえ、計画期間中であっても必要に応じて事業の見直しや改善、新規事業の追加などを実施していきます。 本計画を評価するための目安として、重点施策ごとにモニタリング指標を設定し、施策の効果などの点検を実施します。 指標の検証にあたっては、施策ごとの取組の方向性を設定し、実績等の振り返りを定期的に行います。 各重点施策におけるモニタリング指標 (表ここから) 一次支援 予防・普及啓発 重点施策1 予防のための取組 モニタリング指標 若年層へ向けた学校等での依存症の正しい理解や予防のための取組や、区役所をはじめとした様々な身近な支援者による依存症に関する普及啓発、情報提供が行われているほか、心身の健康を保つための相談支援や様々な生活課題への支援が行われている。 重点施策2 依存症に関する正しい理解、知識を広めるための普及啓発 モニタリング指標 メディアやインターネットを活用した依存症の正しい理解や誤解・偏見を解消するための情報発信や、民間支援団体等による講演会・セミナー等が定期的に開催されている。 二次支援 早期発見・早期支援 重点施策3 相談につながるための普及啓発 モニタリング指標 メディアやインターネットを活用した相談につながる情報発信や、Web上でのチェックリスト等による相談勧奨を行うことで、依存症の本人や依存症が疑われる人とその家族等が適切な相談支援機関へつながるための情報提供が行われている。 重点施策4 身近な支援者等から依存症支援につなげるための取組 モニタリング指標 支援者間の情報や課題の共有を通したネットワーク構築や、依存症を抱える人の発見と重層的な支援体制構築に向けた連携会議が定期的に開催されている。 身近な支援者から専門的な支援者等へのつなぎを行うためのガイドラインが構築されている。 三次支援 回復支援 重点施策5 専門的な支援者による回復支援の取組 モニタリング指標 回復へのきっかけづくりや、依存症について学び回復や対応方法を考える回復プログラムや家族教室が開催されている。 民間支援団体等が、団体間や関係機関と情報共有を図りながら、本人や家族等のニーズに合った支援が提供されている。 重点施策6 地域で生活しながら、回復を続けることをサポートする取組 モニタリング指標 地域生活の中で回復し続けられる支援体制の構築のため、身近な支援者と専門的な支援者による回復支援の様々な事例の収集と共有が図られている。 (表ここまで) (囲みここから) パブリックコメントの結果について (1) 実施概要 : 令和3年3月8日~4月6日 ※電子申請回答フォーム、メール、郵送、FAX等にてご意見を募集 (2) 意見総数 : 総計469件(172人・団体) (3) そ の 他 : いただいたご意見を見ると、依存対象ではギャンブル等依存症に関連するものが最も多く寄せられました。 特に、IRやカジノに関するご意見が多数寄せられ、関心の高さがうかがえました。IRの実現に向けて、ご心配の声も多くいただきました。本計画の策定により、予防の取組を進めるとともに、依存症に悩むご本人やご家族等への支援などの依存症対策の充実を進めていきます。 (囲みここまで) (囲みここから) 横浜市依存症対策地域支援計画 概要版 令和3年10月発行 発 行 横浜市健康福祉局精神保健福祉課 〒231-0005 横浜市中区本町2-22 京阪横浜ビル10階 電話:045-662-3554   FAX:045-662-3525 E-mail:kf-izon@city.yokohama.jp (囲みここまで)