【表紙】 山下公園通り周辺地区まちづくりビジョン【素案】 【目次】 1.本ビジョンについて                      1ページ (1)策定にあたって                       1ページ (2)ビジョン策定の目的                     2ページ (3)本ビジョンの位置づけ                    3ページ 2.地区の歴史 9ページ 3.地区の現状と課題 14ページ (1)立地特性 14ページ (2)街並み・景観 16ページ (3)建物現況 17ページ (4)交通インフラ 18ページ (5)防災 22ページ (6)本地区をとりまく状況 24ページ 4.地区の将来像とまちづくりの方向性 34ページ (1)水際線の魅力向上によるまちの活性化 34ページ (2)地区の将来像 36ページ (3)まちづくりの方向性 37ページ   ① 横浜の水際線の魅力を活かしたまちづくり 37ページ  ② 今ある海辺と緑の風景と連動させた新たな GREEN 空間の創出 41ページ  ③ 国内外から人や企業を惹きつける多彩な機能の導入 43ページ  ④ 来街者を迎え入れる結節点としての機能強化 47ページ  ⑤ 環境に配慮した持続可能なまちづくり 49ページ  ⑥ 災害に強いまちづくり 51ページ 5.まちづくりの実現に向けて 53ページ 【1ページ】 1.本ビジョンについて (1)策定にあたって ・山下公園通り周辺地区を含む横浜都心臨海部の水際線は、臨港パークから赤レンガ倉庫、象の鼻パーク、山下公園、そして山下ふ頭へとつながる世界屈指のウォーターフロントを形成してお り、美しい港の風景や日本新三大夜景に選ばれた夜景、音楽アリーナ、観光・商業施設など、多彩で横浜らしい魅力が集積しています。 ・水際線の街並みに、にぎわいや交流を生み出す新たな機能を加え、連続する緑あふれる GREEN空間や歩きやすいプロムナードを整備するなど、時代に合わせてアップデートし、水際線全体で 魅力を高めるまちづくりを進めていきます。 図1-1 都心臨海部のエリア図 【2ページ】 (2)ビジョン策定の目的  ・山下公園通り周辺地区は、1859 年の横浜港開港以来、横浜の経済・文化の中心地として発展を遂げてきました。海と緑が感じられる山下公園、山下公園通りの銀杏並木、地区内に存在する歴 史的・文化的価値が高い建築物などの美しい景観を有し、多くの来街者を魅了する横浜の顔ともいうべき地区です。 ・しかしながら、1980 年以前に建築された築 40 年以上の建物も多く、低未利用地もあり、既存建物や土地の更新時期を迎えていくことが想定されます。こうした機会を捉えて持続可能なまち の発展を実現するために、本地区の未来を見据えたビジョンを策定し、計画的にまちづくりを進めていく必要があります。 ・本ビジョンを市民、地域団体や事業者などと共有し、あらゆる主体と共に本ビジョンを踏まえた取組を推進することで、より一層魅力的で活気ある地区として発展させていくことを目指しま す。 図1-2 山下公園通り周辺地区まちづくりビジョン対象範囲 【3ページ】 (3)本ビジョンの位置づけ                    ・本ビジョンは、「横浜市都市計画マスタープラン」、「横浜市中期計画 2022-2025」、「横浜市都心臨海部再生マスタープラン」等を踏まえて策定します。これらの計画で示されている、まち づくりの目標や、地区と地区をつなぐ結節点としての位置づけ、都市軸としての役割等を踏まえ、山下公園通り周辺地区の目指すべき将来像やまちづくりの方向性を示します。 ・また、今後のまちづくりにあたり、地区計画等の個別の都市計画や事業について検討する場合には、本ビジョンと整合を図りながら進めていきます。 ・なお、本ビジョンについては、上位計画の改定や社会情勢の変化、周辺のまちづくりの動向を踏まえ、必要に応じて見直していきます。 図1-3 本ビジョンの位置づけ図 【4ページ】 ■横浜市都市計画マスタープラン(全市プラン) (令和 7 年 5 月) ・市民生活や企業活動に身近でわかりやすい【経済・暮らし・にぎわい・環境・安全安心】という5つのテーマごとに、都市づくりの方針と取組を示しています。 横浜市都市計画マスタープラン(全市プラン)(抜粋) ①経済 ・都心部における地域特性を生かした業務機能の強化 (関内地区を中心としたスタートアップ企業の集積 など) ・創造や出会いの場となる環境整備 (歴史的建造物や水辺空間、公園等の柔軟な利活用 / 歩きたくなるまちづくり など) ②暮らし ・適正な高度利用や用途の誘導などによる、地域特性に応じた住環境の整備 (都心部での職住が近接した住まいの創出都心部での職住が近接した住まいの創出 など) ・多様な移動手段に対応した通行環境整備 (誰もが安全・安心・円滑・快適に移動できる環境の整備 など) ③にぎわい ・横浜都心及び新横浜都心での商業・文化・娯楽・観光機能の更なる集積 (更なる集客施設の立地につながる適切な高度利用や低未利用地の有効活用 など) ・国際都市として多くの人を惹きつける、多様なコンテンツと連携した更なるにぎわいの場づくり (ナイトタイムエコノミーの活発化につながる夜のにぎわい創出 など) ・地域住民や来街者一人ひとりのニーズに対応する更なる回遊性・移動環境の向上 (にぎわいの連鎖による都心エリアの一体性強化 など) ④環境 ・潤いや安らぎを身近に感じられる都市景観の形成 (都心部でのゆとりや彩りを与える緑の環境形成 など) ・都市と農・緑が共生するまちづくりの推進 (都市農業を核としたにぎわい創出 など) ・日本をリードする脱炭素化に向けた、建築・まちづくりの推進 (再生可能エネルギーや自律分散型エネルギーの利用促進 など) ⑤安全安心 ・地域の個性や立地条件を踏まえた地震や火災への対策 (津波避難スペースの確保・拡充 など) ・インフラの強靭化や広域的な防災拠点の整備 (多重性、代替性を持った道路ネットワークの整備や無電柱化の推進、 ライフラインの耐震化 など) ・日常の取組が災害時にも生きる「フェーズフリー」なまちづくり (災害時に電力供給可能な自動車の導入促進 など) 【5ページ】 ■中区プラン 中区まちづくり方針(令和 2 年 3 月) ・『関内・関外エリアのまちづくり』について、「歴史・文化を保全・活用し、業務・商業機能を中心としながら、中心市街地として、住む人や働く人、訪れる人が共存するまち」を目標と して掲げています。 関内・関外エリアのまちづくり≪方針 ≫(抜粋) 方針1 都心臨海部における都心機能の強化や拠点整備・魅力的な街並みの形成 ・関内の地区の特性や魅力を最大限活用し、既存ビルのリノベーション促進などによる新たな企業誘致・企業集積を進め、ビジネス街の再生を進めます。 ・様々なビジネスと創造性をかけあわせ、新たなビジネス機会の創出を図ります。 方針2 人々の交流や回遊性を促すにぎわいのあるまちづくり ・新たな魅力やにぎわいを創出し、持続可能なまちづくりを進めるため、公園や道路、港湾緑地、河川などの公共空間を公民連携で活用します。 ・観光・MICE、クルーズ、スポーツや文化芸術鑑賞等で訪れる人々がまちを楽しみ、回遊しやすいよう、花や緑、水辺や通り、歴史的建造物等の魅力資源をつなぐまちづくりを進めます。 ・区民や来街者など誰もが文化施設や公園、商店街などの地域資源を回遊しやすく、魅力的な街並みなどを楽しめるよう、快適な歩行者ネットワークの充実を図ります。 ・区民や来街者に親しまれ、魅力ある空間として水・緑の軸(都市軸)の形成を目指します。 ・横浜らしいアフターコンベンションの充実のため、国内外からの来街者を受け入れる宿泊、飲食、観光などの施設の整備を促進します。 方針3 働きやすく、暮らしやすいまちづくり ・業務・商業などの機能集積に併せ、特に関内地区においては、低層部のにぎわいの連続性を保ちながら、都心にふさわしい居住機能の導入も視野に入れ、多様なニーズに対応することで、地域活力を維持・向上し、魅力的で持続可能なまちづくりを進めます。 ・外国人市民と日本人市民の交流機会を創出し、相互理解を促進することで多文化共生社会を実現し、国際色豊かなコミュニティの形成を図ります。 方針4 安全・安心な生活環境、災害に強い環境の形成 ・多くの帰宅困難者の発生が想定されるため、受け入れる避難スペースの確保や、災害時要援護者となる外国人などを対象とした情報提供、防災備蓄品の確保などに取り組みます。 ・津波の発生に対して、津波避難施設等や避難経路の適切な確保に向け、民間事業者との連携を図ります。 【6ページ】 ■横浜市都心臨海部再生マスタープラン(平成 27 年 2 月) ・「歴史・文化をはじめ、各地区の個性を生かしたまちづくりを更に展開するとともに、都心臨海部5地区(横浜駅周辺地区、みなとみらい 21 地区、関内・関外地区、山下ふ頭周辺地区、東神奈川臨海部周辺地区)や、それぞれの地区の魅力をつなぎ合わせる「みなと交流軸」の形成と、「地区の結節点」における連携強化を重点的に進め、都心臨海部5地区の一体的なまちづくりにより、港と共に発展する横浜ならではの都心を形成します。」としています。 ・山下公園通り周辺地区は、この「みなと交流軸」の一部を担うとともに、地区の一部が「地区の結節点(関内・関外地区と山下ふ頭周辺地区の結節点)」に位置づけられているエリアです。 図1-4 都心臨海部の機能配置とみなと交流軸・結節点の配置イメージ 【7ページ】 『施策① 世界中の人々を惹き付ける空間・拠点の形成』 ・「関内・関外地区に集積する個性豊かな界隈の魅力向上や、都市デザイン活動によるまちづくり、港を意識した街並み・景観づくりを更に展開し、横浜の都市ブランド力・国内外への情報発信力の更なる強化を図ります。 ・また、都心臨海部を訪れる人々や、生活者、地域コミュニティが利用する都市活動の場として、歴史的建造物やパブリックスペースの利活用など、既成概念にとらわれない空間活用を積極的に進め、人々が持つ創造性を豊かなものにしていきます。」としており、都市デザインによる創造性豊かな空間づくりにおいて重要な都市軸の考え方を示しています。 ・山下公園通り周辺地区のうち両端のエリアは、それぞれ「ウォーターフロント軸」と「水際線へと向かう軸」の交差部や、個性豊かな界隈の魅力向上を図るエリアにも位置づけられています。 図1-5 創造性豊かな空間づくり 【8ページ】 ■横浜市中期計画 2022-2025(令和 4 年 12 月) ・『戦略6 成長と活力を生み出す都心・臨海部のまちづくり』として、業務機能、商業機能の更なる集積に加え、国内外から人や企業が集い、活躍できる就業・生活環境の充実や、来訪者が訪れたくなる魅力的なまちづくりを一体的に進めることにより相乗効果を生み出し、横浜の成長をけん引することとしています。 ・また、既存施設等の計画的な再生・機能強化、脱炭素化への取組、安全で快適な都心空間の形成、文化芸術創造都市施策による魅力・にぎわいの創出、多様な担い手の参画の促進などにより、成長と活力ある都市を実現することとしています。 ■関内・関外地区活性化ビジョン(令和 2 年 3 月) ・「①持続的な賑わいと活力づくり」、「②回遊性を高める基盤づくり」、「③誰もが安心できる環境づくり」をまちづくりの方針として掲げ、関内・関外地区のまちづくりを進めることとしています。 ・また、関内・関外地区の構造図では、山下公園通り周辺地区を「都心臨海部の回遊強化軸」「水際線の歩行者ネットワーク」として位置づけるとともに、横浜中華街と山下公園を結ぶ道を「縦の回遊軸」と位置づけています。 図1-6 関内・関外地区の構造図 【9ページ】 2.地区の歴史 ・本地区を含む関内・関外地区は、幕末の外国人居留地の誕生とともに、それを支える日本人街が形成され、併せて官公庁施設などの立地が進んだことで、横浜の原点として発展を遂げました。 ・その中でも本地区は、その後の諸外国との交易の発展により、貿易に関連する業務機能や宿泊機能などが集積した迎賓の街として形成されるとともに、積極的に新しい人・モノ・文化を受け入れ、関内・関外地区の発展にも貢献してきました。 横浜開港~戦後 ・本地区を含む山下町とその付近一帯は、1859年の横浜開港を契機とし、外国人居留地が形成され、外国商館等が立ち並び、多くの外国人が訪れました。 ・1860年には、英一番館が設立され、関東大震災で焼失するまで横浜の貿易拠点として重要な役割を果たしました。現在は、その跡地(現シルクセンター)には記念碑が設置されています。 ・1922年には、外国商館で唯一現存している、旧英国七番館(現戸田平和記念館)が建設されました。 ・1923年9月1日に発生した関東大震災により、外国商館等が立ち並ぶ街並みも甚大な被害を受けました。 ・震災後、1927年にホテルニューグランドが開業し、さらに、関東大震災の復興事業の一環として、1928年に山下公園通りに銀杏並木が植えられ、1930年には、震災の瓦礫により、当時の海岸通り前の水面を埋め立てて、山下公園が整備されました。 ・1935年には山下公園、山下公園通り一帯で「復興記念横浜大博覧会」が開催されました。 ・戦後、山下公園を含め、山下公園前面の街区付近一帯は長く接収され、1959 年の全面接収解除後、開発等の機運が高まりました。 図2-1 横浜異人商館之図 貞秀画 文久元年(1861) (横浜開港資料館所蔵) 図2-2 関東大震災で全壊したチャータード銀行 大正 12 年(1923) (横浜開港資料館所蔵) 図2-3 山下公園〔絵はがき〕 昭和期 (横浜開港資料館所蔵) 【10ページ】 戦後~1990年代 ・1959 年には、横浜港開港 100 年記念事業として、生糸・絹産業及び貿易の振興並びに観光事業の発展を図る目的で、シルクセンターが建設されました。 ・1961 年には、同じく横浜港開港 100 年記念事業の一環として、高さ 106m の横浜マリンタワーが建設されました。 ・1965 年には、横浜港駅から山下埠頭駅を結ぶ貨物専用の鉄道路線として、山下臨港鉄道が開通しました。 ・1970年代に入り、神奈川県民ホール、産業貿易センタービル等の計画が相次いで進みました。 ・1986 年には、横浜人形の家が開館しました。 2000年代~現在 ・2000 年代に入り、山下臨港鉄道(1986 年廃線)の線路跡が、山下臨港線プロムナードとして整備されました。 ・2009 年及び 2022 年には、横浜マリンタワーの建物外観や屋内改装などのリニューアルが行われました。 ・2020 年にホテルモントレ横浜が閉館、2023 年にホテルメルパルク横浜が閉館し、2025 年 4月には神奈川県民ホールが休館しています。 ・2023 年には、山下公園西端のレストハウス(2001 年設置)が再整備され、カフェ、レストラン、ショップなどの機能を備えた「THE WHARF HOUSE(ザ・ワーフハウス)山下公園」がオープンしました。 ・2025 年には、スターホテル横浜(1984 年~2020 年)跡地に、「ザ・ゲートホテル横浜 by HULIC」がオープンしました。また、同年に戸田平和記念館が耐震補強工事を終え、リニューアルしました。 山下公園 ・関東大震災のがれきを埋め立てて作られ、1930 年に開園を迎えました。 ・海への眺望、沈床花壇のバラ、歌碑や記念碑など見どころの多い公園です。 ・6つの大陸へのびる道をデザイン化した世界の広場と、バルセロナのグエル公園を想わせるカスケードのある大階段などが整備されています。 ・2007 年には国登録記念物(名勝地関係)に登録されました。 図2-4 山下公園の写真 【11ページ】 旧英国七番館(現戸田平和記念館) ・旧英国七番館は、1922 年にイギリスの貿易会社の横浜支店として居留地 7 番地に建設されました。 ・1976 年に創価学会神奈川事務局の所有となり、創価学会第 2 代会長である戸田城聖氏の「原水爆禁止宣言」を記念して、1979 年に戸田平和記念館として開館しました。 ・関東大震災前の外国商館の貴重な遺構であり、2001 年に「横浜市認定歴史的建造物」に認定されました。 図2-5 グランドホテル(横浜開港資料館蔵) ホテルニューグランド ・1923 年の関東大震災で壊滅的な被害を受けた横浜市は、新たな外国人向けホテルの建設を決定し、1927 年に震災復興の象徴として「ホテルニューグランド」が誕生しました。 ・「ニューグランド」という名称は、横浜市民からの公募で選ばれました。震災前に海岸通りにあった旧グランドホテルの後継としての意味を込めて選ばれたとも言われています。 ・開業以来、国内外の VIP を迎え入れ、横浜の迎賓館としての役割を果たしてきました。 ・ドリア、ナポリタン、プリンアラモードなどの発祥の地としても知られています。 図2-6 現在のホテルニューグランド シルクセンター ・横浜港開港 100 年記念事業の一環で県・市の合同事業として計画され、生糸・絹産業及び貿易の振興並びに観光事業の発展を図る目的で、1959 年に建設されました。 ・設計は指名コンペにより選ばれた坂倉準三建築研究所が担当しました。 ・2階にあるシルク博物館では、絹産業の歴史や文化を紹介する展示が行われており、生糸の貿易とともに発展してきた横浜の歴史を伝える重要な役割を果たしています。 図2-7 シルクセンター 【12ページ】 ■~1970 年頃 まちづくりの機運の高まり ・本地区は、都心部強化事業の骨格的プランである「緑の軸線構想」(※)の重要な地区として位置づけられ、1970 年代に、神奈川県民ホールや産業貿易センタービルの建設が計画されました。 ■1971 年 「都市づくり構想(街区形成の計画基準)」 ・神奈川県民ホールや産業貿易センタービルの計画を契機に、「山下公園通りに沿った歩道を補う3m幅員の歩行者空間の確保」、「角地の広場の整備」、「山下公園通り側に車の敷地への進入口を設けない」などが盛り込まれた地区整備の方針である都市づくり構想(ガイドライン)が作成されました。 ・これに基づく協議により、県民ホールと産業貿易センタービルの向かい合った二つの敷地内広場、通称「ペア広場」が整備されました。 図2-8 山下公園通り周辺の平面図及び立面図(1971 年) 図2-9 ペア広場 ■1973 年 「山下公園周辺地区開発指導構想」策定 ・これまでの協議を通して、「山下公園周辺地区開発指導構想」が作成され、その後の開発調整が具体的に実施されることとなりました。単なるデザインだけでなく、建築用途や広告、緑化、歴史的資産の保護など幅広い視点で取り組まれました。 ■1977 年 「山下公園及び日本大通り周辺地区指導基準」策定 ・隣接する日本大通り地区で計画されている建築計画と一体的なまちづくりを推進していくために対象地区を広げ、「山下公園及び日本大通り周辺地区指導基準」として全面的な改正が行われました。 ・一定以上の高さでは高層階に公共的施設を入れ眺望を公開することや、山下公園と銀杏並木への日照を考慮すること、レンガを基調とした素材や色彩とすることなど、敷地利用や形態意匠の考え方を定めました。 【13ページ】 ■1986 年 「山下公園及び日本大通り周辺地区街づくり協議指針」策定 ・建築確認申請の事前協議の手続きとして街づくり協議制度が導入されたことに伴い、「指導基準」を基に「街づくり協議指針」が策定されました。 ■2002 年 「山下公園通り地区地区計画」策定 ・街づくり協議指針の考え方を基に建物用途や形態意匠等について法的拘束力のある基準を設け、低層部のにぎわいや横浜の歴史を象徴する街並みの誘導を図ってきました。 ■2008 年 「横浜市景観計画」策定 ・ 2005 年に施行された景観法に基づき、良好な景観の形成のための基本的なルールとして「横浜市景観計画」が策定されました。本地区においては、歴史的建造物と調和した形態意匠とすることや、角地における広場状空地の確保、海への見通し景観の形成など、これまでの開発誘導の考え方を基にした基準を定め、地区の魅力を活かした景観形成を図ってきました。 (※)都心部強化事業と「緑の軸線構想」 ・都心部強化事業は、1965 年に打ち出された横浜市六大事業のうちの一つで、横浜駅周辺地区と関内・関外地区の2つの都心地区を一体化し、横浜の中心である都心部の発展を図るものでした。 ・「緑の軸線構想」は、都心部強化事業において、都心部の魅力を高めるための骨格として計画されました。 ・都市に潤いを与え、品格のあるアーバンスペースを生み出し、画一的な都市形成によりまちの個性が失われることを防ぐものでした。 ・人々が、その環境の中で集い、憩い、語らい、散策することができ、市民生活の一つの中心となりえるような個性豊かな公園、緑地という理念のもと整備されました。 ・この軸の起点が山下公園であり、日本大通り、横浜公園、大通り公園を経て終点の蒔田公園まで続きます。 図2-10 都心部強化事業の基本概念 図2-11 計画当初の緑の軸線(濃緑色) 【14ページ】 3.地区の現状と課題 (1)立地特性 位置 ・本地区は、都心臨海部における関内・関外地区と山下ふ頭の結節点に位置しています。 ・臨港パークから山下公園まで続き、山下ふ頭へとつながる水際線の一部を形成する地区であるとともに、大通り公園、横浜公園、日本大通りから連続する緑の軸線上にも位置しています。 図3-1 都心臨海部の位置図 【15ページ】 アクセス ・首都高速神奈川3号狩場線の出入り口が近く、羽田空港へのアクセスに恵まれています(高速バスで約 25 分)。 ・国内外から多くの来街者が訪れる横浜港大さん橋国際客船ターミナルに近接しています。 ・横浜高速鉄道みなとみらい線の日本大通り駅や元町・中華街駅に近接し、東京方面へのアクセスも良好です(渋谷駅まで約 40 分)。 図3-2 羽田空港へのアクセス 図3-3 横浜港大さん橋国際客船ターミナル 図3-4 横浜高速鉄道みなとみらい線 観光 ・地区周辺には、世界最大級の規模を誇る横浜中華街、おしゃれで洗練された雰囲気が漂う元町、西洋館などが立ち並ぶ山手など、開港の歴史を感じられ、異国情緒あふれる魅力資源が充実しています。 ・本地区に近接するみなとみらい地区は、赤レンガパークやよこはまコスモワールドなどの観光施設やイベント、夜景等を楽しむことができ、年間約 8,260 万人(令和6年)の来街者が訪れるエリアです。 図3-5 横浜中華街 図3-6 元町 図3-7 山手(山手西洋館) 図3-8 みなとみらいの夜景 図3-9 赤レンガパーク 図3-10 よこはまコスモワールド 【16ページ】 (2) 街並み・景観 現状 ・ホテルニューグランドや旧英国七番館(戸田平和記念館)等の歴史的建造物、シルクセンター等の横浜らしい歴史を色濃く残した街並みや、神奈川県民ホール前のペア広場等のゆとりあるまとまった広場空間を有しています。 ・山下公園と隣接する山下公園通りは、約800mにわたって銀杏並木が立ち並び、「日本の道百選」にも選ばれています。 ・神奈川県民ホール(令和7年4月休館)や横浜人形の家、シルク博物館等の文化施設、横浜マリンタワー等の観光施設が立地しています。 ・水町通りは、インペリアルビルなどの歴史的建造物や、歴史ある名店等が残り、落ち着いた雰囲気を感じられる街並みを形成しています。 図3-11 歴史が残る街並み 図3-12 文化施設 図3-13 銀杏並木 課題 ・山下公園通りや水町通り、山下公園等は全体的に夜間が暗い印象を受けます。 ・山下公園通りの一部は、通りに面して建物の壁面が連続していることや、低層部ににぎわいを感じられる店舗等が少ない状況にあります。 ・狭い歩行空間に電柱や電線があり、景観にも影響を及ぼしています。 ・夜間景観については、船や大さん橋など海側から見た際に、みなとみらい地区と対照的に暗い印象を受けます。 図3-14 夜間に暗い印象を受ける (山下公園) 図3-15 山下公園通りににぎわいを感じられる店舗等が少ない 図3-16 狭い歩行空間に電柱や電線がある 【17ページ】 (3) 建物現況 現状 ・文化、宿泊、観光施設や、公共施設等が集積し、私有地と公有地が混在しています。 ・築 40 年以上の老朽化した施設や、駐車場等の低未利用地が点在しています。 ・直近の動向として、ホテルモントレ横浜が令和2年5月に閉館、ホテルメルパルク横浜が令和5年 12 月に閉館、神奈川県民ホールが令和7年4月に休館しています。 ・水町通りと海岸教会通りに挟まれた街区では、近年、共同住宅が増加しています。 図3-17 築 40 年以上の施設 図3-18 駐車場等の低未利用地 図3-19 水町通りに面した共同住宅 課題 ・山下公園通りや水町通りに面した飲食店や店舗等が減少する一方で、住宅は増加傾向にあり、今後は、地区のにぎわい創出と住環境とのバランスのとれたまちづくりが必要となっています。 ・建物の老朽化等により機能更新が今後想定される中、土地利用にあたっては、市況や事業性等を踏まえながら、建物の更新を検討していく必要があります。 図3-20 地区内及び地区周辺の土地利用図 【18ページ】 (4) 交通インフラ 現状 【公共交通等】 ・みなとみらい線の日本大通り駅や元町・中華街駅、空港連絡バスの乗降場、横浜港大さん橋国際客船ターミナルなどの広域交通をはじめ、路線バスや水上交通、タクシーの乗場があるなど、徒歩圏内に多様な交通モードが集積しています。 ・周辺では石川町桟橋(仮称・令和7年度完成予定)や元町・中華街桟橋(仮称・令和9年度完成予定)など、水上交通の新たな乗船場整備が進められています。 【道路】 ・首都高速神奈川3号狩場線の出入り口が近く、山下公園駐車場や民間の大型駐車場が複数あるなど、自動車によるアクセスの利便性が高い地区です。 【周辺地区への歩行者動線】 ・みなとみらい方面につながる山下臨港線プロムナードや、山下公園と本地区をつなぐポーリン橋、本地区から元町方面へとつながるフランス橋等の歩行者デッキが整備されています。 ・山下公園と周辺地区における人の往来については、特にみなとみらい方面や横浜中華街方面が多くなっています。 図3-21 交通インフラ位置図(広域) 図3-22 山下臨港線プロムナード 図3-23 シーバス 図3-24 元町・中華街桟橋(仮称)(イメージパース) 【19ページ】 図3-25 交通インフラ位置図(地区周辺) 【20ページ】 課題 【公共交通等】 ・山下公園通りでの観光バスの待機や、タクシーの乗場ではない場所でのタクシー乗車が見られるなど、乗降環境に課題があります。 ・多様な交通モードが集積する一方で、それらをシームレスに乗り換えられる環境整備が求められます。 【道路】 ・山下公園通りや水町通りの歩道で一部狭い区間があり、イベント時に来街者で混雑する状況も見られます。 ・一方通行の区間が大部分を占める水町通りでは、車道幅員が広くとられているところで路上駐車が多く見られます。 ・みなとみらいや関内方面からの交通を受け入れている開港広場前交差点については、今後のまちづくりにより交通量がさらに増えていく場合には、円滑な交通処理に向けた検討が求められます。 【周辺地区への歩行者動線】 ・地区の東側の山下長津田線や、中村川とその上部の首都高速道路により、元町方面と分断されている印象を受けます。 ・元町方面から本地区に向かう際には地上や歩行者デッキなど様々なルートがありますが、案内サイン等が十分でないため、来街者には分かりづらい状況です。 ・みなとみらい方面から続く山下臨港線プロムナードは、山下公園西端のレストハウス付近で折返しながら降りる構造になっており、山下公園内や山下公園通りの街区側からはプロムナードの存在が認識しづらい状況にあります。 図3-26 観光バスの待機(山下公園通り) 図3-27 イベント時に歩行者で混雑している状況 (水町通り) 図3-28 他エリアへの動線がわかりづらい (山下臨港線プロムナード) 【21ページ】 交通に関する各種データ ①一日平均乗降客数(2023年度) ・みなとみらい線 :「日本大通り駅」約 2.7 万人、「元町・中華街駅」約 5.9 万人 (参考:「みなとみらい駅」約 8.3 万人、「馬車道駅」約 4.1 万人) ・横浜市営地下鉄 :「関内駅」約 4.0 万人 ・JR根岸線 :「関内駅」約 5.0 万人(乗車人員のみ) ②各交通モードの運行本数等 ・みなとみらい線「元町・中華街駅」:平日、休日とも1日約 300 本 (ピーク時は約3分間隔で運行) ・市営バス 26 系統 :6 時台~22 時台まで約 15~30 分間隔で運行 ・観光周遊バス「あかいくつ」 :10 時台~19 時台まで約 15~20 分間隔で運行 ・連節バス「ベイサイドブルー」 :10 時台~18 時台まで約 30 分間隔で運行 ・羽田空港リムジンバス(京急バス):約 1 時間に1本運行 ・シーバス :平日は約 1 時間に 1 本、休日は約 30 分に1本運行 ③横浜港の寄港回数 (大さん橋国際客船ターミナル、新港ふ頭客船ターミナル、大黒ふ頭客船ターミナル) ・コロナ禍前の 2019 年には過去最高の 188回入港 ・2023 年には寄港回数国内1位(171回) 【22ページ】 (5) 防災 津波・浸水・液状化 ・山下公園と山下公園通りは海抜が低く、津波と高潮の浸水想定区域になっており、本地区は、津波(最大で 1.2m以上2m未満)と高潮(最大で 0.5m未満) による浸水が想定されます。 ・山下公園通りに面した街区では、産業貿易センタービル、創価学会神奈川文化会館、ホテルニューグランドが津波避難施設になっています。 ・本地区は埋立地であることから、液状化危険度が高い区域(15<PL)となっています。液状化により地盤が緩み、建物やインフラに被害が及ぶことも想定されます。 図3-29 津波浸水想定区域図 図3-30 高潮浸水想定区域図 図3-31 津波避難施設 図3-32 液状化分布図(元禄型関東地震) 【23ページ】 緊急輸送路 ・山下公園通りは緊急輸送路第一次路線に指定されており、震災が発生した場合に、消火、救出、救助その他の応急対策(災害情報の受伝達、巡回、物資・人員輸送等)を行う車両が通行する重要な道路として位置づけられています。 図3-33 横浜市緊急輸送路路線図 無電柱化 ・山下公園通りは無電柱化整備が行われているほか、横浜中華街(中華街大通り)や元町(元町通り)など周辺エリアも無電柱化整備が進んでいます。 ・「横浜市無電柱化推進計画(平成 30 年 12 月)」において、本地区を含む「関内地区」や「港の見える丘公園等の主要な観光地周辺、集客施設へのアクセスルート」は無電柱化を推進することとしています。 【24ページ】 (6) 本地区をとりまく状況 横浜市の観光動向 ・横浜市の観光消費額は、2019 年に観光消費額は過去最高を更新しています。2020 年以降のコロナ禍の影響で大きく落ち込みましたが、2023 年時点でコロナ禍前の水準に回復しています。 図3-34 横浜市内の観光入込客数(実人数)と観光消費額の推移(出典:横浜市 観光動態消費動向調査) ・2023 年を例に挙げると、宿泊客の平均宿泊数は 2.8 泊、日帰り客の平均滞在時間は 5.5 時間となっています。 ・また、旅行者の平均立寄箇所数は日帰りで 1.6 箇所、宿泊で 3.0 箇所、旅行者の居住地別割合は、横浜市を含む首都圏在住の旅行者が約8割となっています。 図3-35 宿泊客の平均宿泊数(出典:横浜市 観光動態消費動向調査) 図3-36 日帰り客の平均滞在時間(出典:横浜市 観光動態消費動向調査) 図3-37 旅行者の平均立寄箇所数(日帰り・宿泊)(出典:横浜市 観光動態消費動向調査) 図3-38 旅行者の居住地別割合(出典:横浜市 観光動態消費動向調査) 【25ページ】 国際会議の開催件数・参加者総数動向 ・パシフィコ横浜は、国際会議の開催件数や参加者総数で国内有数の MICE 施設となっており、MICE 参加を目的に多くの人々が横浜を訪れています。 図3-35 国際会議 MICE 施設別 開催件数(出典:日本政府観光局 国際会議統計) 図3-36 国際会議 MICE 施設別 参加者総数 (出典:日本政府観光局 国際会議統計) 【26ページ】 クルーズ船の寄港回数 ■横浜港の寄港回数の推移 ・2019 年まで、横浜港の寄港回数は増加傾向にあり、多くのクルーズ船が寄港していました。 ・2020 年から 2021 年にかけて、新型コロナウイルス感染症の影響により、クルーズ船の運航が大幅に制限され、それに伴い、横浜港への寄港回数も急減しました。 ・2022 年以降、クルーズ船の運航が徐々に回復し、2023 年には横浜港の寄港回数が国内 1 位となりました。 図3-37 外国船社及び日本船社が運航するクルーズ船の我が国港湾への寄港回数(出典:国土交通省 訪日クルーズ客船及びクルーズ船の寄港回数) 図3-38 大さん橋とクルーズ船 【27ページ】 文化施設等 ・みなとみらい地区を中心に、K アリーナ横浜やぴあアリーナ MM をはじめとした音楽ホールが集積しています。 ・都心臨海部には学びや体験ができるミュージアム施設が多数立地しています。 ・本地区においては、神奈川県民ホール(令和7年4月休館)や神奈川芸術劇場など、市民が日常的にバレエやオペラ、舞台芸術といった文化・芸術に触れられる環境が整備されています。 図3-39 地区及び地区周辺の主要な文化施設等 【28ページ】 業務機能 ・近年は、本地区を含む関内地区の事業所数・従業員数ともに横ばいの状況が続いていますが、現在進められている関内駅周辺地区の開発等により、今後増えていくことが想定されます。 ・みなとみらい地区や横浜駅周辺地区については、オフィス開発が推進されたこと等により、事業所数・従業員数ともに概ね増加傾向にあります。 図3-40 事業所数の推移(出典:横浜市 事業所・企業統計調査及び経済センサス) 図3-41 従業員数の推移(出典:横浜市 事業所・企業統計調査及び経済センサス) ・賃貸オフィス平均空室率について、近年はみなとみらい地区が一番高く、次いで関内地区、横浜駅地区となっています。 ・賃貸オフィス平均賃料については、みなとみらい地区が一番高く、次いで横浜駅地区、関内地区となっており、いずれの地区も上昇傾向にあります。 図3-40 賃貸オフィス平均空室率の推移(各年 12 月時点)(出典:三鬼商事株式会社 オフィスマーケット) 図3-41 賃貸オフィス平均賃料の推移(各年 12 月時点)(出典:三鬼商事株式会社 オフィスマーケット) 【29ページ】 ・本地区が位置する山下町は「卸売業・小売業」「宿泊業・飲食サービス業」が多くなっています。 図3-40 山下町の産業別事業所数(出典:横浜市 令和3年経済センサス) 図3-41 山下町の産業別従業者数(出典:横浜市 令和3年経済センサス) 【30ページ】 住民特性(山下町) ・山下町に住んでいる人のうち、5 年前の居住地が国外である人の割合が 15.6%であり、中区(8.0%)や横浜市全体(3.7%)に比べて多い傾向にあります。 ・総人口に対する外国人比率が、山下町は 17.1%であり、中区(8.4%)や横浜市全体(2.3%)に比べて多い傾向にあります。 図3-40 5年前の常住地域別人口・総人口に対する外国人比率(出典:令和2年国勢調査) ・また、山下町に住んでいる人のうち、20 年以上住んでいる住民の割合が 9.3%であり、横浜市全体(25.9%)に比べて少ない傾向にあり、居住者の流動性が比較的高い地区です。 図3-41 山下町住民の居住期間・横浜市民の居住期間(出典:令和2年国勢調査) 【31ページ】 地区周辺の開発動向 ・関内駅周辺地区では、「国際的な産学連携」、「観光・集客」をテーマに、新たな拠点整備が進められています。 ・みなとみらい地区では約9割を超える開発が完了し、まちが概成を迎えつつあります。 ・隣接する山下ふ頭については、令和6年 12 月に横浜市山下ふ頭再開発検討委員会から、まちづくりの大きな方向性について答申が提出され、新たな事業計画の策定に向けた検討が進められています。 ・本地区においては、こうした周辺地区の動向を踏まえ、整合を図りながらまちづくりを進めていく必要があります。 図3-42 令和元年度以降整備された主な施設(今後整備予定も含む) ◇ターミナル・交通拠点 ①新港ふ頭客船ターミナル(2019 年 10 月) ・横浜ハンマーヘッド(商業施設・ホテル併設) ◇ホテル ②アパホテル&リゾート<横浜ベイタワー>(2019 年 9 月) ③オークウッドスイーツ横浜(2020 年 10 月) ④ハイアットリージェンシー横浜(2020 年 5 月) ⑤ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜、横浜ベイコート倶楽部 ホ テル&スパリゾート(2020 年 9 月) ⑥ウェスティンホテル横浜(2022 年 6 月) ⑦横浜東急 REI ホテル(2020 年 6 月) ⑧インターコンチネンタルホテル横浜 Pier8(2019 年 10 月) ◇駅及び駅周辺 ⑨JR 石川町駅南口 ・バリアフリー整備(2019 年 3 月) ⑩JR 関内駅(2022 年 3 月) ・北口再整備、歩行者広場の整備 ⑪JR 横浜タワー(駅前棟)(2020 年 6 月) ⑫JR 横浜鶴屋町ビル(鶴屋町棟)(2020 年 6 月) ⑬JR 桜木町駅(2020 年 6 月) ・新改札設置及び複合ビル開発 ・ホテルメッツ桜木町、CIAL 別館 ⑭THE YOKOHAMA FRONT(2024 年 6 月) ◇集客施設 ⑮横浜アンパンマンこどもミュージアム(2019 年 7 月) ⑯KTZeppYokohama(2020 年 3 月) ⑰横浜スタジアム(2020 年 2 月)・増築・改修 ⑱パシフィコ横浜ノース(2020 年 4 月) ⑲ぴあアリーナ MM(2020 年 7 月) ⑳横浜市新市庁舎(2020 年 6 月) ㉑横浜武道館(2020 年7月) ㉒横濱ゲートタワー(2022 年 1 月) ㉓K アリーナ(2023 年 9 月) ㉔横浜 BUNTAI(2024 年 4 月) ◇学校施設(大学) ㉕学校法人神奈川大学みなとみらいキャンパス(2021 年 4 月) ㉖関東学院大学(教育文化センター跡地)(2023 年 4 月) ◇都市基盤 ㉗キングモール橋(2020 年4月) ㉘女神橋(2020 年 12 月) ㉙さくらみらい橋(2020 年 6 月) ◇大規模複合施設 ㉚旧市庁舎街区活用事業(2025 年度末予定)・関内駅前地区 第一種市街地再開発事業(2029 年度竣工予定) ◇その他 ㉛山下ふ頭再開発 ※掲載の情報は、2025 年 3 月時点 【32ページ】 関内駅周辺地区のまちづくり ・関内・関外地区の再生及び都心臨海部の活性化につなげていくため、「国際的な産学連携」、「観光・集客」をテーマとし、業務・商業・居住・交流などの多様かつ魅力的な機能が近接したまちづくりを推進しており、現在は旧市庁舎街区(令和8年開業予定)、関内駅前地区(令和 12 年度以降供用開始予定)の拠点整備や、これらの拠点に隣接する横浜スタジアムへの回遊デッキの整備、道路の歩道拡幅工事等が進められています。 図3-43 関内駅前周辺地区のまちづくりイメージパース 図3-44 関内駅前地区 整備イメージ 図3-45 旧市庁舎街区 整備イメージ ※提案内容・イメージパースは提案事業者の応募書類から転載したものであり、今後、関係者との協議により変更する可能性があります。 イメージパース等の著作権は、応募者に帰属します。 【33ページ】 みなとみらい地区のまちづくり ・業務・商業施設に加えて音楽アリーナなどの機能集積が進み、街区開発も概ね完成を迎えつつあります。 ・これからは、街区開発を進める時代から更なるまちのにぎわい創出に向けた次の時代を迎えるタイミングに来ており、今後のまちづくりビジョンの検討を進めるほか、横浜駅周辺や関内・関外地区などの周辺地区との連携強化や回遊性向上に向けたまちづくりを推進しています。 (参考)みなとみらい21地区 街区開発状況 街区開発進捗率:約 94%(暫定活用含めた場合:約 99%) ※計画中街区含む 令和7年1月1日時点 図3-46 みなとみらい地区のまちづくり 【34ページ】 4.地区の将来像とまちづくりの方向性 (1)水際線の魅力向上によるまちの活性化 水際線の特性 ・臨港パークから赤レンガ倉庫、象の鼻パーク、山下公園、そして山下ふ頭へとつながる水際線は、美しい海の景色と豊かな緑により、国内外の人々を惹きつける世界屈指のウォーターフロントを形成し、周辺には、音楽アリーナや観光・商業施設をはじめとする様々な観光資源が集積する、他都市にはない横浜独自の魅力を有しています。 ・また、水際線エリアは、業務、商業、MICE 施設等が立地するみなとみらい地区や、開港以来の歴史が残る関内・関外地区に位置しており、その周辺の横浜駅周辺地区等を含めた都心臨海部は横浜の成長をけん引しています。 ・その中でも、関内・関外地区に位置する山下公園通り周辺地区は、開港以来横浜の中心地として発展してきたエリアで、歴史と文化を色濃く残し、山下公園や山下公園通りと一体となった魅力ある街並みを有する、横浜の顔ともいうべき地区です。 図4-1 水際線の特性 【35ページ】 水際線の魅力向上によるまちの活性化 ・水際線エリアは、まちと海が近い立地特性や、多様な観光資源、緑や海を感じられる緑地空間など、多彩な魅力資源を有しています。 ・これらの魅力を時代に合わせてアップデートするとともに、にぎわいや交流を生む新たな機能を加え、歩きやすく居心地が良い空間や移動しやすい環境を整備することで、各エリアを線でつなぎ合わせて面としての魅力を創出していきます。 ・水際線の多彩な観光資源の魅力の磨き上げと、横浜の玄関口となる「横浜駅周辺地区」や、開発により拠点化が進む「関内駅周辺地区」、山下ふ頭と結節する「山下公園通り周辺地区」など、都心臨海部の各エリアの結節点におけるまちづくりを連動させ、さらに、水際線とまちなかを結ぶ回遊軸を強化することで、まち全体を活性化していきます。 結節点におけるまちづくり ■既に取り組んでいる地区 【横浜駅周辺地区】横浜の玄関口としての結節点:国内外からの投資や人材を呼び込み、商業や業務機能、交通ターミナル機能を強化。特に横浜駅東口は、横浜への来街者を迎え入れる起点として、みなとみらいエリアや水際線へ導くゲート機能を強化。 【北仲通地区】関内・関外地区とみなとみらい地区の結節点:業務、商業、宿泊、観光施設、都市型住宅や多様な文化施設等の複合的な都市機能の集積を図り、文化芸術を中心とした新たな創造都市づくりを推進。 【関内駅周辺地区】関内と関外の結節点:「国際的な産学連携」、「観光・集客」をテーマに、イノベーションオフィス、大学、エンターテイメント、スポーツ・健康等の集積、ウォーカブルな歩行者空間を整備。 ■今後取り組む地区 【山下公園通り周辺地区】関内・関外地区と山下ふ頭の結節点:山下公園通り周辺地区の歴史的・文化的価値、自然と景観、観光とアクセスなどの魅力を磨き上げて、水際線の象徴となるまちづくりを推進。 図4-2 結節点におけるまちづくり 【36ページ】 (2) 地区の将来像 ・この地区の更なる発展と水際線の魅力向上を図るために、歴史や特性などを踏まえ、将来像を「港町の歴史、美しい海や緑、新たな魅力とにぎわいが織りなす水際線のまちづくりにより、世界の人々を魅了するまち」と定めました。 ・また、地区の将来像の実現に向けてまちづくりの方向性を6つに区分し、地区の将来像のイメージとして設定しました。 地区の歴史・現状 【歴史】 ・開港に伴い外国人居留地が形成され、その歴史や背景がまちの個性になっている 【立地特性】 ・関内・関外地区と山下ふ頭の結節点、緑の軸線上に位置 ・水際線の一部を形成する重要な地区、羽田空港等へのアクセスに恵まれた地区 ・周辺には魅力的な観光スポットが集積 【街並み・景観】 ・横浜らしい歴史を色濃く残した街並み ・銀杏並木が連続する山下公園通り、海や緑を身近に感じられる山下公園に近接 ・落ち着いた雰囲気を感じられる水町通り 【建物現況】 ・文化、宿泊、観光施設、公共施設が集積 ・築40年以上の老朽化した施設が点在、共同住宅の増加 【交通インフラ】 ・多様な交通モードが集積 ・首都高速道路の出入り口に近接 【防災】 ・津波、高潮による浸水区域、液状化危険度が高い区域 特性 ・横浜独自の魅力を有する水際線の結節点に位置 ・歴史性が根付く街並み ・海や緑を身近に感じる立地環境 ・多様な人々や文化を受け入れ発展してきたまち ・羽田空港や客船ターミナルなど、国内外から人々が訪れやすい立地 課題 ・施設の老朽化や低未利用地の増加 ・地区のにぎわいが低下傾向 ・歩道空間が十分確保できていない区間がある ・交通機能・乗降環境充実の必要性 ・夜間が暗い印象を受ける ・災害への対応 地区の将来像 港町の歴史、美しい海や緑、新たな魅力とにぎわいが織りなす水際線のまちづくりにより、世界の人々を魅了するまち まちづくりの方向性 ①横浜の水際線の魅力を活かしたまちづくり ②今ある海辺と緑の風景と連動させた新たな GREEN 空間の創出 ③国内外から人や企業を惹きつける多彩な機能の導入 ④来街者を迎え入れる結節点としての機能強化 ⑤環境に配慮した持続可能なまちづくり ⑥災害に強いまちづくり 【37ページ】 (3) まちづくりの方向性 ① 横浜の水際線の魅力を活かしたまちづくり 開港の歴史が感じられる街並みや、銀杏並木が立ち並ぶ山下公園通り、緑や海を身近に感じる山下公園など、この地区ならではの特長を活かして、ウォーカブルな歩行者空間の確保に向け、歩きやすい空間や居心地の良い滞在空間の整備など、水際線の象徴となる景観を有したまちづくりを推進します。 ■公共空間を活用した海と緑を感じられるまちづくり ○公園や道路の植栽、建物配置等を工夫し、街区側から海への眺望を確保します。 ○山下公園の柵や植栽等の工夫により公園と道路を一体的に活用できる設えとするなど、街区や山下公園通りから、海や公園を身近に感じられるまちづくりを推進します。 ○開発などにより、山下公園通りや水町通りの歩行者の通行空間を拡げるなど、快適に歩ける環境を整備します。 ○建物の公開空地や道路の交流・滞在空間に人々が憩えるストリートファニチャーや、安らぐことができる緑化空間、楽しめるアートなどを点在させることで、まちなかに変化をもたらし来街者が歩きたくなる環境を創出します。 ○横浜中華街(朝陽門)から山下公園中央口や、元町・中華街駅(4番出口)から横浜マリンタワーにつながる動線については、建物のセットバックや空地の確保などにより、横浜中華街側から海や公園への見通し景観を確保するとともに、沿道に店舗やカフェ等のにぎわい機能を誘導することで、縦の回遊軸を強化します。 ○建物低層部の店舗が、前面の空地で海と緑を感じながら飲食を楽しむオープンカフェ等を実施することで、居心地の良い空間を創出します。 ○山下公園や道路などの公共空間と街区を一体的に活用し、民間のノウハウを取り入れながらイベントやマーケットを定期的に開催するなど、にぎわいのある通りを生み出していきます。 図4-3 海と緑を感じられるまちづくり 図4-4 ウォーカブルで居心地の良い道路空間 【38ページ】 【コラム】山下公園通りの道路空間の活用によるにぎわい創出の取組 ・横浜市では、公園・道路・街区の一体的なにぎわい創出の取組を行っています。令和6年 10月には、山下公園で行われた「ワールドフェスタ・ヨコハマ 2024」に合わせて山下公園通りを歩行者天国化し、ステージパフォーマンスや地元の飲食店によるグルメコーナーなどを展開するとともに、テーブルやイスなどの滞留環境を創出し、多くの方に足を運んでいただきました。 ・今後、将来的な臨港幹線道路の整備や山下ふ頭の再開発の動向等を踏まえながら、地区内の車両交通の流入の抑制を検討するなど、歩行者優先の道路空間の形成に向けた取組を推進します。 図4-5 令和6年 10 月 山下公園通り歩行者天国 ■水際線の象徴となる街並みの形成 ○ベイブリッジを車で渡る来街者やクルーズ客が、海から横浜を眺めて、ここが横浜だと実感できるような水際線の象徴となる街並みを形成します。 ○海に面して緑が広がり、歴史的建造物と調和した格調高い街並みが低層部に構えられ、上層部はシンボリックなデザインでスカイラインが形成されるなど、自然と歴史、新しさが融合した都市景観を創造します。 ○水際線とまち全体が一体となったダイナミックなイルミネーションを行うなど、国内随一の夜間の特別な景観を演出するとともに、日常時には、歴史的建造物のライトアップなどと調和した、落ち着きのある美しい夜間景観を創り出していきます。 図4-6 水際線の象徴となる街並み 【39ページ】 図4-7 美しく落ち着きのある夜間景観の形成 【コラム】横浜らしい夜景を活かしたナイトタイムエコノミーの取組 ・横浜市では、国内外から選ばれる夜のコンテンツを創出することで、観光客を誘客し、回遊性向上や滞在時間の延長を図り、にぎわいづくりにつなげることを目的に、横浜ならではの港の景観を活かして、都心臨海部の街を光と音楽で一体的に演出する創造的イルミネーション事業「ヨルノヨ」や、横浜港で打ち上げる5分間の花火「横浜ナイトフラワーズ」などを実施しています。 ・こうした取組が評価され、令和6年 12 月に「日本新三大夜景都市」に認定されました。 ・今後、世界でも有名な夜景都市として認識されるよう、山下公園通り周辺地区をはじめ都心臨海部全体で横浜らしいナイトタイムエコノミーの拡大に取り組み、更なるにぎわい創出を図ります。 図4-8 まち全体の光の演出風景 <ヨルノヨ> 図4-9 横浜ナイトフラワーズ 【40ページ】 ■港町ならではの歴史・文化を継承 ○横浜の外国交易の歴史を象徴する旧英国七番館やホテルニューグランド等の歴史的建造物、灯台を象徴する横浜マリンタワーなど、港町ならではの魅力資源を活かした街並みを形成します。 ○歴史的建造物であるインペリアルビルが残り、かつて居留民でにぎわいを見せていた水町通りにおいては、来街者と地域の方が交流できる多目的空間やギャラリー、個性のある飲食店等が集積した、界隈性のある通りを目指します。 ○港町ならではの良好な都市景観の形成に向けて、統一的な建物デザインや電線・電柱の地中化などを検討します。 図4-10 港町ならではの魅力資源を活かした街並み形成 図4-11 界隈性のある通りの形成(水町通り) 【41ページ】 ② 今ある海辺と緑の風景と連動させた新たな GREEN 空間の創出 海を感じる山下公園の緑豊かな自然や山下公園通りの銀杏並木と連続した複層的な GREEN 空間を街区側にも生み出すことで、水際線の連続する緑をより魅力的にアップデートします。新たな GREEN 空間に、企業や市民、来街者が集い、交流を促進することで新たなにぎわいを生み出していきます。 ■WELL-BEING な環境づくりによる、人々の交流やにぎわいの創出 ○開発等により街区内に複層的なまとまりのある GREEN 空間を創出し、働く人が安らげる環境や交流が生まれる場をつくることで、生産性の向上や新たなイノベーションの創出を促進します。 ○山下公園通りや水町通りに面してポケットパークなどの身近な緑を設けることで、市民や来街者が憩える居心地の良い空間を創出します。 ○公共空間や広場空間、建物等に積極的に緑を増やすことで、夏でも快適に過ごせる環境を創出します。 ○山下公園や山下公園通りの海を感じられる環境や開放的な GREEN 空間を活かして、コンサートやマルシェなどのイベント、ランニングや早朝ヨガなどの多様なアクティビティを誘発し、訪れる人々の更なる楽しみや生活の豊かさを創出します。 図4-12 公園から連続した複層的なまとまりのある GREEN 空間の確保 図4-13 人々が集い、新たなにぎわいや交流を生み出す場の創出 【42ページ】 ■子育て世代をはじめ多世代が自然に触れ、学べる場の創出 ○地域住民が共同で管理するコミュニティガーデンでの植物の育成の機会等を通じて、多世代が自然と触れ合い、交流を生み出す場を創出します。 ○野菜の栽培・収穫体験ができる場づくりや、収穫した野菜を食べる機会を通じた食育など、親子が気軽に楽しく「農」を体験できる機会を創出します。 ○子どもからシニア世代まで参加できる、自然に関するワークショップやセミナーを開催するなど、多世代が学べる場を創出します。 図4-14 次世代に対する環境教育の推進 ■生物多様性を保全し、豊かな自然環境を次世代に引き継ぐ ○屋上庭園やポケットパークなど、都市における水や緑を創出して、生物多様性の保全に貢献します。 ○建築物や公開空地等では、在来種に配慮した緑化を行うなど、地域の特性に応じた生態系を生み出していきます。 ○周辺エリアと連続する緑を創出して、生き物の生息・生育空間をつなぐエコロジカルネットワークを形成します。 図4-15 都市における生物多様性の保全 【43ページ】 ③ 国内外から人や企業を惹きつける多彩な機能の導入 この場所で、「新たな体験をしたい」「滞在したい」「働きたい」「飲食しながら楽しみたい」と思えるような多彩な機能を誘導することで、このエリアにしかない魅力や体験価値を創出し、国内外から人や企業が集まる拠点を形成します。 ■観光・体験型施設の充実 ○近代日本の産業を支えた生糸貿易や日本初の臨海都市公園である山下公園など、様々なモノ・コトが発祥した本地区の歴史や文化を継承しながら、その魅力を発信するミュージアム施設や体験型コンテンツを導入します。 ○音楽やショーなどを楽しめるライブレストランやカフェ等を建物低層部に設置し、前面の道路等の公共空間を一体的に活用した体験型イベントやマーケットを開催することで、にぎわい創出につなげていきます。 図4-16 体験型コンテンツの導入 図4-17 低層部に連続するカフェやレストランなどのにぎわい機能 【コラム】観光資源を活かした体験型観光の提供 ・観光資源や公共空間を活用したにぎわい創出の取組の一環として、横浜市は令和5年 10 月に、大岡川周辺において、国内初となる水辺空間を活用した船上の体験型演劇「クルージング・イマーシブシアター」を実施しました。 ・公演では、訪日外国人の方も楽しめるよう多言語対応も行いながら、横浜の歴史・文化を参加者に追体験いただくことで、水辺活用と周辺のまちのにぎわい創出や、夜間公演によるナイトタイムエコノミーの活性化に寄与する取組を行いました。 図4-18 令和5年 10 月 クルージング・イマーシブシアター 【44ページ】 ■世界水準のエンターテインメントに触れられる場の創出 ○音楽ライブや映画祭等、世界水準のエンターテインメントを楽しめる施設を充実させ、来街者がいつ訪れてもワクワクするような体験の場を提供していきます。 ○本格的なオペラやバレエ等の舞台芸術を上演できる施設を整備し、主催者や演者など、様々な主体から選ばれる場を創出します。 ○市民が身近に文化芸術を体験し、表現する機会を創出することで、将来、文化芸術分野で活躍する人材の育成や豊かなライフスタイルの実現につなげていきます。 図4-19 エンターテインメント機能の充実 図4-20 文化芸術を体験できる場 【45ページ】 ■質の高い滞在環境の整備 ○上質なホテルやサービスアパートメント、レジデンス等の導入により、高度人材を呼び込むとともに、滞在の促進による地域での消費拡大や恒常的なまちのにぎわい創出につなげます。 ○美しい海などの景色を楽しみながら、買い物や食事ができる商業空間を創出することで、滞在者の高質な滞在環境を実現します。 ○医療施設、スパ、フィットネスクラブ、健康的な食事を提供するレストランなど、ここで働く人や滞在する人の健康を増進する施設の充実を図ります。 ○横浜の夜景を楽しめるレストラン・バーの設置や、音楽の夜間公演、ナイトミュージアム等の開催により、夜間の滞在を促進させ、ナイトタイムエコノミーの活性化につなげていきます。 図4-21 眺望を活かした高質な滞在環境 図4-22 交流を生み出す共用ラウンジ 【コラム】道路空間や公開空地を活用した、夜のにぎわい創出に向けた取組 ・夜間の滞在促進の取組の一環として、横浜市では令和7年1月に山下公園通り周辺において公共空間等を活用した夜のにぎわい創出に向けた取組を実施しました。 ・横浜マリンタワー前の一部の公開空地と歩道空間を一体的に活用し、地域・事業者と連携しながら、飲食コンテンツの提供や滞在環境の創出を行いました。 図4-23 令和7年1月 夜のにぎわい創出に向けた取組 【46ページ】 ■ビジネス・R&D(研究開発)拠点の形成 ○高いクリエイティビティや専門性・高度技術を有するエンジニアや研究者、クリエーターが求めるグローバル水準の就業・滞在環境を整えることで、国内外から人や企業を呼び込みます。 ○起業家やスタートアップ企業の成長を支援する環境を整備し、新たなコミュニティやビジネスチャンスなどを創出します。 ○世界中の新たな技術が集まる研究開発拠点など、人・モノ・技術のグローバルな交流拠点を形成します。 ○企業や研究機関と連携する大学やインターナショナルスクール等の教育機関を誘致し、産学連携を促進します。 ○海や緑を身近に感じられる地区の魅力を活かした開放的なワークスペースや景色を楽しめる共用ラウンジを有するオフィスを整備するなど、多くの人がここで働きたいと思えるような就業環境を創出します。 ○東京方面からのアクセスなど交通利便性が高く、海や緑が感じられるアーバンリゾートとしてのポテンシャルを活かしたワーケーションなどの環境を整備します。 図4-24 起業家やスタートアップ企業の成長を支援する環境の整備 図4-25 緑あふれる良好な就業環境 【47ページ】 ④ 来街者を迎え入れる結節点としての機能強化 緑と開放感あふれる広場空間の整備や、横浜の魅力を伝える観光インフォメーション機能の充実、水際線やまちを結ぶアクセス動線の強化、観光地等をつなぐ交通乗降機能の拡充など、来街者を迎え入れる玄関口としてふさわしい機能を充実させ、結節点としての機能強化を図ります。 ■多様な人々が集い・交流できる空間の創出 ○みなとみらいや関内駅方面から訪れる来街者や、大さん橋国際客船ターミナルに下船した来街者を迎え入れるゲートとして、開港の歴史やにぎわいを感じられ、多くの来街者が憩い交流できる開放的な広場空間を創出します。 ○元町・中華街駅から横浜マリンタワー、山下公園へとつながる歩行者動線の強化や、開放的なアトリウム空間の設置等により、人々が行き交い、交流を生み出す空間を創出します。 図4-26 多様な人々が集い、交流できる広場の創出 図4-27 アトリウムなど、人々の交流を生み出す空間の創出 ■観光インフォメーション機能の強化 ○地域の魅力を伝えるインフォメーション機能を充実させ、来街者に観光スポットやイベント、歴史や文化を感じる見どころを紹介することで、地域への回遊を促進します。 ○観光インフォメーション機能の導入においては、まちを巡るガイドツアーの実施や、地域のグルメを体験できる飲食・物産コーナーの設置など、本地区の魅力に触れることができる機能を持たせます。 ○多言語対応の案内設備を設置するなど、外国人観光客にも分かりやすい情報提供を行います。 図4-26 和とモダンを調和させた特色あるデザインの観光案内所 図4-27 多言語対応等による観光インフォメーション機能の充実 【48ページ】 ■交通機能・アクセス強化 ○観光バスや高速バス、タクシー等が乗降できる交通広場等の拡充を図ります。 ○グリーンスローモビリティや、自動走行モビリティ、歩行領域モビリティ等、利便性が高く移動自体を楽しめる多彩な交通を充実させます。 ○みなとみらいや関内駅方面から本地区につながる、歩行者や自動車の動線など、本地区へのアクセス強化について検討していきます。 ○元町・山手や中華街エリアと本地区をつなぐ歩行者動線の強化や、案内サインの充実等により、周辺エリアとの回遊性向上を図ります。 ○今後のまちづくりにより増加する交通量や、新たな交通手段の導入に合わせ、必要に応じて道路空間の再整備を検討していきます。 図4-28 交通広場等の拡充 図4-29 周辺地区とのアクセス強化 【コラム】自動走行モビリティを活用した回遊性向上の取組 ・横浜市では、水際線や周辺エリアにおける回遊性向上に向けた取組を推進しています。 ・令和5年9月には、歴史ある山下公園において、横浜ならではの水際線の景色を眺めながら、多世代が移動自体を楽しめる自動走行モビリティを走行させ、新たな移動手段の有効性を検証しました。 図4-30 令和5年9月 自動走行モビリティの走行 【49ページ】 ⑤ 環境に配慮した持続可能なまちづくり ・街区全体でエネルギーの効率化や再生可能エネルギーの利活用を図るなど、環境に配慮したまちづくりを推進します。 ・また、新たなグリーン社会の実現に向けて、市民や企業と共に、脱炭素、生物多様性の保全、資源循環等に取り組むことで、地区のブランド力を高め、国内外から人や企業、投資を呼び込むまちを実現します。 ■地区全体における環境負荷低減の取組 ○気候テックやサーキュラーエコノミーに関連する企業を呼び込むことなどにより、この地区から環境課題の解決に寄与する取組を進めます。 ○太陽光や風力等の再生可能エネルギーの利活用、エネルギーセンターの整備など、街区全体でエネルギーの効率化や循環できる仕組みを検討します。 ○下水熱等のインフラから生み出される再生可能エネルギーや、クリーンエネルギーにより合成される e-メタン等の環境に配慮したエネルギーを活用するなど、環境負荷の低減に向けた先進的な取組を推進します。 ○水再生センターで処理された下水処理水をトイレの洗浄水として再利用するシステムを導入するなど、水資源の有効活用を促進します。 図4-31 サーキュラーエコノミーの推進 図4-32 再生可能エネルギーを活用した取組の推進 ■環境に配慮した建物開発 ○屋上・壁面の緑化や省エネルギー設備・エネルギーマネジメントシステムの導入など、建物ごとの省エネ性能の向上を図り、ZEB(※1)等の認証の取得を促進します。 ○環境課題に積極的に取り組むグローバル企業にとって魅力的な地区とするため、LEED(※2)やBREEAM(※3)等の海外で主要な環境性能評価を受けた建物整備を促進します。 ○木材の利用や建材の再利用を積極的に推進し、資源の有効活用と廃棄物の削減を図ることで、持続可能な建築を実現し、環境保護に貢献します。 【50ページ】 【注釈】 ※1【ZEB ゼブ (Net Zero Energy Building)】 建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建築物 ※2【LEED リード (Leadership in Energy and Environmental Design)】 米国グリーンビルディング協会(USGBC)が開発・運用する、建物や敷地利用の環境性能を評価する国際認証制度 ※3【BREEAM ブリーム (Building Research Establishment Environmental Assessment Method)】 英国建築研究所(BRE)が 1990 年に開発した、建物の環境性能を評価する世界初のシステム 図4-33 木材の利用や建材の再利用の促進 ■サステナブルなライフスタイルを実現できるまちづくり ○住む人、訪れる人、働く人に様々な場面や施設で環境行動を促すことで、一人ひとりの意識を変え、サステナブルなまちづくりの実現を図ります。 ○飲食店から出る廃棄物や食品残渣を資源としてバイオマス発電などに再利用・有効活用するなど、資源を循環させる取組を推進します。 ○地産地消やフードロス削減をテーマとしたマルシェ等のイベントを定期的に開催します。 ○環境に配慮したモビリティを導入し、企業や市民の利用を促進することで、移動手段の脱炭素化を図ります。 ○地区内における EV 充電設備や水素ステーションなどを充実させ、電気自動車や水素燃料電池車の普及や利用を促進します。 図4-33 シェアモビリティの展開 図4-34 水素ステーションの充実 【51ページ】 ⑥ 災害に強いまちづくり 多くの観光客、住む人・働く人でにぎわうエリアで、いつ起こるか分からない地震や火災、風水害などの災害に対応するため、都市インフラの整備や、市民や地域、企業と連携した日常からの備えの強化などを行い、安全・安心なまちづくりを推進していきます。 ■災害に備えた都市インフラの整備 ○防災施設(津波避難施設、帰宅困難者一時滞在施設、防災広場、防災倉庫など)の整備を進め、地区の防災力を向上させます。 ○災害時においても電気や水道などが供給されるよう、ライフラインの耐震化を進めていきます。 ○再生可能エネルギーを利用した小規模発電設備の設置などによる分散型電源の展開により、災害時にも安定したエネルギー供給を確保します。 ○幹線通りに面したところに空地を設け、災害時にはアクセス性の高い防災広場として活用し、救助などの拠点とします。 図4-35 津波避難施設の整備 図4-36 ライフラインの耐震化 【52ページ】 ■市民や地域、企業等が連携した発災前の備えの強化 ○発災時の帰宅困難者の発生に備えて、民間宿泊施設などを活用した一時滞在施設の確保や防災用品の備蓄など、行政と企業、地域が連携し、地区全体での災害に備えた取組を推進します。 ○外国人や高齢者、子育て世帯など、多様な人々に配慮した避難所環境を整えます。 ○来街者が迅速かつ正確な情報を得て適切に行動できるよう、デジタル機器を活用したリアルタイムでの災害情報の提供や、多言語対応の情報発信機能を整備します。 ○津波避難施設や帰宅困難者一時滞在施設等に誘導する地図や案内看板、SNS 等の多様な手段により、来街者への案内を充実させます。 ○働く人や住む人などに合わせた防災啓発や体験型防災教育を行うことで、防災・減災意識の向上を図ります。 ○企業等と連携し、AI を活用した災害予測や情報共有など、最先端技術を活用した災害対策を推進していきます。 図4-37 デジタル機器を用いた情報発信機能の整備 図4-38 防災訓練の実施 【53ページ】 5.まちづくりの実現に向けて 地区の将来像とのまちづくりの方向性を踏まえて、まちの概念図を次のとおり示します。 図5-1 街の概念図 【再掲】 地区の将来像 港町の歴史、美しい海や緑、新たな魅力とにぎわいが織りなす水際線のまちづくりにより、世界の人々を魅了するまち まちづくりの方向性 1 横浜の水際線の魅力を活かしたまちづくり 2 今ある海辺と緑の風景と連動させた新たな GREEN 空間の創出 3 国内外から人や企業を惹きつける多彩な機能の導入 4 来街者を迎え入れる結節点としての機能強化 5 環境に配慮した持続可能なまちづくり 6 災害に強いまちづくり 【54ページ】 ■にぎわい軸の形成 地区内の主要な道路である山下公園通りや水町通り、水際線とまちなかをつなぐ動線について、ウォーカブルで居心地が良い通りや、界隈性やにぎわいのある通りとなるよう、周辺のまちづくりやインフラ更新の機会を捉えて、通りの特性を活かしながら軸線の強化を図ります。 【山下公園通り】 (緑両矢印)ウォーカブルで居心地が良い通り 【水町通り】 (青両矢印)個性を活かした界隈性のある通り 【水際線とまちなかをつなぐ縦軸】 (ピンク両矢印)にぎわいをつなぐ通り (ピンク点線両矢印)回遊を補完する通り ■水際線をつなぐ西と東の結節点の機能強化 ・上位計画では、本地区はみなとみらい地区や関内・関外地区、山下ふ頭との結節点や都市軸の交差部に位置づけられています。 ・本地区の西側と東側では、水際線の各地区をつなぎ、来街者を迎え入れる玄関口としてふさわしい機能を充実させるなど、結節点としての機能強化を検討していきます。 ・今後、周辺地区の動向や地区内のまちづくり検討の深度化に合わせて、地区に求められる都市機能や施設の複合化・共同化も含めた事業手法等の検討を進めていきます。 【西の結節点】 みなとみらい方面、関内駅方面から来街者を迎え入れる結節点であり、みなとみらい線日本大通り駅や大さん橋国際客船ターミナルに近接しています。 【東の結節点】 関内・関外地区と山下ふ頭の結節点であり、みなとみらい線元町・中華街駅や首都高速道路の出入り口に近接しています。 【裏表紙】 山下公園通り周辺地区まちづくりビジョン【素案】 令和7(2025)年6月 横浜市都市整備局臨海部活性化推進課 〒231-0005 横浜市中区本町6丁目50番地の10 TEL:045-671-4863 FAX:045-550-390