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口腔内環境の変化と看護師の口腔ケアに対する認識の変化

最終更新日 2025年7月8日

研究課題名

口腔内環境の変化と看護師の口腔ケアに対する認識の変化

研究の目的・方法

目的

 口腔ケアは、口腔の清潔、誤嚥性肺炎の予防、唾液の分泌促進、口腔周囲や舌運動の維持増強・脳への刺激など多岐にわたる効果があると言われています。脳卒中の専門病院である横浜市立脳卒中・神経脊椎センター(以下、当院)では、とても注目すべき看護の一つであり、患者様の口腔機能が低下することで、口腔衛生の悪化に繋がり、それらが摂食・嚥下への障害になる可能性もあります。

 昨今口腔ケアの方法の統一化などの研究論文を目にすることが増え、当院ICU看護師との研究で口腔ケア方法を洗浄法から清拭法に切り替えるために歯科衛生士も講習で介入しました。

 栄養サポートチーム(以下NST)活動でも2020年よりOHAT-Jの導入を行い、口腔内評価を数値化するようにしています。2024年度、当院全体の看護業務として口腔内の評価をOHAT-Jに統一することができました。そのことが、口腔ケアの質についても客観的に評価できるようになると考えています。また、スタッフのケア技術向上のため、口腔ケアや口腔内の評価、ケア物品の適材適所な使用の方法の学習会を時間内に病棟単位で開催し、清拭法のプロトコールの実施と周知を徹底し、口腔ケアを行います。

 以上の取り組みを通して、重要な看護技術である口腔ケアに対する看護師の認識を高め、より意図的で質の高い口腔ケアを実施できるようになると考えています。当院はケアミックス型であり、超急性期から回復期病棟まで、様々な病棟に対して取り組むことでケアの統一化を目指します。また、患者様の口腔内環境が維持・向上することを目的としています。このことは、自ら口腔ケアや食事の摂取が困難な重度脳卒中の患者様に対して、誤嚥性肺炎などの二次的合併症の防止、残存機能の維持向上、QOLの質向上に寄与できるものと考えています。

 今回の研究により、当院の口腔ケアへの意識が高まり、当院全体へ発信できるきっかけとなることを期待しています。

方法

【データ収集方法】

 講習前の口腔ケアデータは2025年7月から2025年8月まで情報収集を実施します。NSTリンクナースに説明用紙を用い、研究に対する依頼説明を行います。

1.患者様のデータ収集
(1)入院時、説明用紙を渡し、本研究について説明します。
(2)入院当日から週1回OHAT-Jで評価します。
(3)データ収集に協力を得られない患者様を除き、患者様の基本情報として、性別、年代、傷病名、意識状態、経口摂取の有無、口腔内の状況(OHAT-Jの評価項目に準ずる)の情報を得ることとします。
(4)(2)及び(3)のデータはExcelファイルに保存します。


2.看護師のデータ収集
(1)対象病棟全看護師に対してOHAT-Jの講習を病棟単位で2025年8月までに開催します。その際、Youtube上に掲載されているOHAT-Jについての動画視聴も依頼します。
(2)2025年8月までに清拭法の方法や口腔ケア物品の使用方法の説明会を全員に実施します。
(3)口腔ケアに関する認識について無記名の質問紙調査を実施します(講習開始前と一回目の調査から6ヶ月後)。
 主な調査内容は臨床経験年数、口腔ケアの講習への参加経験、日々の看護ケアの優先順位、口腔ケアの目的、
 OHAT-Jについての質問、口腔ケア物品の使用頻度等(一部抜粋)
(4)日々の口腔ケアに要する時間のデータを収集します。


【分析方法】
・自己流で実施していた際と清拭法の導入後を比較・検討します。
・経験年数は臨床実践能力評価(CDP)を使用します(取組中の段階)。
(1)入院(転棟)時、退院(転棟)時のOHAT-Jの得点や変化
(2)看護師の口腔ケアの所要時間
(3)口腔ケア使用物品の請求状況
・看護師へのアンケート(WEB、手渡し配布)を実施します。その際には、一度提出したアンケートは同意したとみなす事を文章と口頭でも説明します。看護師への認識の調査により、本取り組み開始時と6ヶ月経過した際の看護師に口腔ケアに関する認識を比較します。質問紙は提出後、研究参加を辞退生じた場合でも、返却をすることは出来ないものとします。(※アンケートは2回実施)

研究の対象

・意識障害や麻痺があり、患者様ご自身で口腔ケアが行えない患者様で、ご本人、代諾者により非同意の申し出がない患者様。

・研究内容に賛同し、対象患者様がいる病棟に勤務する全看護師(※当院はケア・ミックス型のため対象患者様が少ない病棟は除外)。

研究期間

2025年7月3日から2026年3月31日まで

研究に用いる試料・情報の種類

本研究で用いる情報は以下のとおりです。
(調査項目)
・患者様のデータ
(1)入院当日から週1回OHAT-Jで評価した情報
(2)データ収集に協力を得られない患者様を除き、患者様の基本情報として、性別、年代、傷病名、意識状態、経口摂取の有無、口腔内の状況(OHAT-Jの評価項目に準ずる)の情報


・看護師のデータ
 (1)口腔ケアに関する認識について無記名の質問紙調査の情報(講習開始前と一回目の調査から6ヶ月後)。
 主な調査内容は臨床経験年数、口腔ケアの講習への参加経験、日々の看護ケアの優先順位、口腔ケアの目的、
 OHAT-Jについての質問、口腔ケア物品の使用頻度等(一部抜粋)
(2)日々の口腔ケアに要する時間データの情報
(3)口腔ケア使用物品の請求状況の情報(看護師へのアンケート:WEB、手渡し配布にて実施)

試料・情報の取得と保管

【個人情報等の取扱い】
 本研究で収集する患者様のデータに、患者様の氏名は含めず、患者様の個人情報とは無関係の番号を付与して管理し、患者様の秘密保護に十分配慮し、本研究以外での使用はしません。研究結果公表の際にも、患者様が特定される情報が含まれないようにします。
 看護師に対するアンケート調査は、匿名とし個人を特定するような質問は行いません。回答しなくても不利益を被ることは一切無いこと、データは量的集計とすること、研究終了後にシュレッダーで破棄すること、回答をもって、今回の研究への同意を見なすことを質問紙内に記載します。また、研究の目的以外に、研究で得られたデータを使用しません。


【資料・情報の保存、廃棄の方法】
 患者様から得られたデータは、パスワードのかかるUSBにまとめて保存し、鍵のかかるキャビネットに保管します。また、紙で得たデータもファイリングし、鍵のかかるキャビネットに保管します。研究終了後5年間経過したのちデータは消去、紙はシュレッダーで破棄します。

研究対象者に生じる負担並びに予測されるリスク及び利益

【利益】
 患者様にとっては、より質の高いケアが提供されると考えます。
 看護師が、OHAT-Jで口腔内の状態を評価しつつ、統一した手技の口腔ケアが行われることで、意図的な口腔ケアが行われるものと考えています。


【予想される不利益やリスク】
 患者様に行われる口腔ケアは、一般化され、学会等でも認められている方法であり、患者様に対する負担やリスクは予想されません。
 看護師に関しては、2024年度より開始したOHAT-Jの導入、口腔ケア方法に向けての学習など、時間的拘束が発生します。そのため、業務時間内での学習会を企画します。また、アンケート調査に回答するための時間的負担が発生する可能性があります。そのため、質問紙の回収には十分な時間を確保し、負担感を軽減します。
 今回の研究での利益相反はありません。

お問い合わせ先

本研究に関するご質問・ご相談等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせください。
ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することができますので下記連絡先まで電話またはFAXでお申出ください。
また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者様もしくは患者様の代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者様に不利益が生じることはありません。

研究責任者(研究への利用を拒否する場合の連絡先)

〒235-0012 神奈川県横浜市磯子区滝頭1-2-1
横浜市立脳卒中・神経脊椎センター
看護部 小山田 有貴子(NSTチーム・歯科衛生士)
電話番号:045-753-2500(代表)

このページへのお問合せ

脳卒中・神経脊椎センター管理部総務課

電話:045-753-2500

電話:045-753-2500

ファクス:045-753-2859

メールアドレス:by-no-somu@city.yokohama.lg.jp

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ページID:545-802-128

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