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水頭症センター

最終更新日 2025年8月4日

特発性正常圧水頭症(とくはつせいせいじょうあつすいとうしょう)(iNPH)

高齢化社会の課題の一つに認知症患者の増加があります。現在65歳以上の7人に1人は認知症を患っているとされ、今後ますます増加すると予測されています。
もの忘れを来す病気もいろいろありますが、ここでは 特発性(とくはつせい) 正常圧(せいじょうあつ) 水頭症(すいとうしょう)(iNPH)という病気を紹介します。正常圧水頭症は脳神経外科領域ではくも膜下出血などに引き続き発生する「 続発性(ぞくはつせい)」の病気として以前より手術治療されてきました。「 特発性(とくはつせい)」とは原因となる病気が不明であることを意味し、思い当たるきっかけも無くゆっくりと病気が進行します。このiNPHは、高齢者人口の1.1%、およそ37万人の患者数と試算されていますが、診断に至っていないケースも多いと考えられています。

■iNPHに気づくのはどんな場面か?
iNPHは高齢者に発生します。病気を疑う症状として、 歩き方や姿勢、物忘れや頻回の尿意などの3つにご注意下さい。

転ぶ女性のイラスト

歩行の症状は、初期から出現し、歩くのが遅くなる、小股でよちよち歩く、足を開いてがに股で歩く、足を挙げずに歩く(すり足)、体の向きを変えるのが苦手で転びやすいなどが特徴です。病気が進行すると立位や座位の保持が困難になります。

もの忘れのイラスト

もの忘れは、日常の動作がもたもたして、手際が悪くなったと感ずることが多いようです。また元気がなくなり、塞ぎ込むこともあります。

頻尿のイラスト

排尿の症状は、3つのなかで最も遅く出現するとされ、頻回に尿意を催す「 (ひん) 尿(にょう)」やトイレに間に合わない「 切迫性(せっぱくせい) 尿(にょう) 失禁(しっきん)」が出現します。

これらの症状は、高齢者によくある症状でゆっくりとすすむため、見逃されがちです。これらの症状に思い悩む場合、脳神経外科か脳神経内科への受診をお勧めします。
通常iNPHを疑う場合、問診や診察に加え頭部CTやMRIなどの画像診断を行います。もの忘れを引き起こす他の病気と見分けることが重要です。iNPHには特徴的な画像所見があり、この場合、高い治療効果が期待できます。加えて脳脊髄液排除テストという検査で治療の有効性を見立てます。
これらの過程を経てiNPHと診断された場合、 髄液シャント手術が唯一の治療となります。診断治療ガイドラインの作成以降、適切に診断され治療を受けるケースが徐々に増えています。しかし、診断が遅れ病状が進行すると十分な治療効果が得られない場合もあり、早期に確実な診断を行うことが重要です。最善の選択が出来るよう診療にあたっています。

正常圧水頭症の画像

典型的な特発性正常圧水頭症の画像所見 (MRI 左:軸位断 右:冠状断)
* 脳室拡大
**  シルビウス裂開大
〇 高位円蓋部脳溝狭小化所見

診療実績

脳卒中・神経疾患部門をご覧ください。

このページへのお問合せ

脳卒中・神経脊椎センター医事課

電話:045-753-2500(代表)

電話:045-753-2500(代表)

ファクス:045-753-2904(直通)

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