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2025年2月号 あなたが望む最期のこと、話したことはありますか? そのきっかけに「もしも手帳」!
最終更新日 2025年3月27日
「もしも手帳」は、名前の通り、“もしも”の時、大きな病気やケガなどの時に、どのような治療やケアを望むかを大切な人と前もって話し合い、あなたの思いを伝えるための手帳です。思いを伝えることで、最期まで自分らしく豊かな人生を過ごせる可能性が高くなります。今回は、そんな「もしも手帳」について詳しくご紹介します。
なお、広報よこはま2月号(外部サイト)では、≪講演「もしものときに備えて 事例から知る医療・介護・お金のこと」参加者募集≫(横浜市医療局主催)についてお知らせしています。
「もしも手帳」ってどんなもの?
みなさんは、透明なカバーに保険証・診察券・お薬手帳などがまとめて入っているのを見かけたことはありませんか?「便利そうだな」「私も欲しいな」と思われなかったでしょうか?「もしも手帳」は、そのカバーの中に入っているものです。
区役所の窓口などで「『もしも手帳』をください」と伝えると、すぐにもらえます。もちろん無料です!
横浜市ホームページ:医療・ケアについての「もしも手帳」
なぜ、前もって考えるの?
人は誰でも、命に関わる大きな病気やケガに見舞われる可能性があります。重篤な状態になると、約70%の方が、これからの医療やケアなどを自分で決めたり、望みを人に伝えることが難しくなるといわれています。
前もって、信頼のおける人と話し合っておくことで、最期まで自分らしく豊かな人生を過ごせる可能性が高くなります。「縁起でもない」「まだ早い」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、“もしも”はいつ訪れるかわかりません。
今だからこそ、「もしも手帳」をきっかけに、話してみませんか。
「もしも手帳」がなぜ役立つのかがわかる! 横浜市「人生会議」短編ドラマとは
もしものときにどのような医療やケアを望むのか、前もって考え、家族や信頼する人、医療・介護従事者たちと繰り返し話し合い、共有することを「人生会議」といいます。横浜市では、「人生会議」の大切さや、「もしも手帳」について理解を深めていただくため、短編ドラマを制作してYouTubeで公開しています。
世代別に2作品あり、主演は竹中直人さんと高島礼子さんです。どちらも約12分と見やすい長さとなっています。「もしも手帳」がどう役立つのかが、具体的に分かりますよ。ぜひ一度ご覧ください!
稔(みの)りの世代(高齢期)編 ~みなとの見える街で~
働き盛り世代(壮年期)編 ~みどりの見える街で~
「もしも手帳」の使い方を紹介します!
「もしも手帳」には、「もしも治らない病気等になったら」「もしも自分の気持ちを伝えられなくなったら」というときを想定して、3つの質問が載っています。
もしも手帳 3つの質問
【質問1】治療やケアの希望どんな治療やケアを受けて過ごしたいですか?
【質問2】治療やケアを自分で決められなくなったら、代わりに誰に話し合ってほしいですか?
【質問3】治らない病気になったらどこで過ごしたいですか?
この質問に対して、考え、話し合い、書き直すことで、あなたの思いを整理しておくことができます。
でも、いきなり聞かれても、簡単そうでなかなか難しいですね。
そこで、「もしも手帳」を所管する医療局地域医療課に、使い方のコツを聞いてみました。
― 「もしも手帳」は、どのように使えば良いでしょうか?
「もしも手帳」は、あなたの気持ちを伝えるツールです。あなたがどうしたいか、次にあげる3ステップで具体的に考えていくと、あなたの思いをより整理できます。
楽しみや生きがい、好きなことは何でしょうか?
あなたが大切にしていることを頭に浮かべながら「もしも手帳」にある3つの質問に答えてみることが、あなたらしく生きるために重要なポイントになってきます。
心の中で思っているだけでは、希望はなかなか叶いづらいものです。ぜひ今の気持ちを、信頼できる家族や友人等に伝えてみてください。
医療や介護を受けている方は、医療・介護関係者と話し合うことも大切ですね。
話をした、日にち・相手・内容等を「もしも手帳」に書いてみてください。
そしてできれば、話した人と共有しておくことで、あなたの思いをしっかりと伝えることができると思います。
人の気持ちはずっと同じではなく、変わるものですよね。
健康状態や生活環境に変化があったときや、健康診断を受けた時など、定期的に見直してみましょう。気持ちが変わったら、「もしも手帳」を書き直してみてください。書き直すために新しい「もしも手帳」が欲しくなったら、また区役所の窓口などでもらえます。
― 大切とはわかっていても、話しづらいテーマでもありますよね?
きっかけがないと話しづらいテーマだと思います。そのきっかけに「もしも手帳」を活用してみてください。横浜市「人生会議」短編ドラマをみなさんで見ていただくのも、分かりやすくて良いかと思います。
― 自分の人生にかかわることなので、すぐに答えが出せない人も多いと思いますが…
「考えたくない」「分からない」「決められない」という気持ちも、とても大切です。まずは自分のペースで考えてみることですね。
また、「もしも手帳」は、遺言書や事前指示書と違い、法的拘束力や救急現場での強制力はありません。話し合いのきっかけにしていただいたり、共有が目的となっていますので、その点はご留意ください。
― 一度書いたら、大切に保管しておくだけで良いですよね?
時間が経ったり、健康状態が変化すると、人の気持ちも変わります。「もしも手帳」は一度だけ記入して置いておくのではなく、折をみて繰り返し考え、話し合っていただきたいと思います。
― 若い人は「もしも手帳」は必要ないですか?
“もしも”のときは、いつやってくるか分かりません。ご家族や大切な人が困らないためにも、今のうちからぜひ「もしも手帳」をご活用いただきたいと思います。
「もしも手帳」の配布にご協力いただいている皆さんにお話を伺いました!
金沢区民生委員児童委員協議会会長 寺木好子さん
― 民生委員はどのような活動をしているのでしょうか?
私たちは民生委員として、担当する地域内の住民から様々な生活上の困りごとや心配事に関する相談に応じ、サポートするとともに、必要な支援を受けられるよう区役所や地域ケアプラザなどの専門機関につなぐ役割を担っています。
― 区民の方に「もしも手帳」をどのようにご案内していますか?
「もしも手帳」は高齢者向けのようにも見えますが、年齢に関係なく必要なことと考え、ご家庭を訪問する際に持参するようにしています。使い方をお伝えしながらお渡しすることで、「もしも手帳」の意義が伝わり、“もしも”のときについて、考えていただくきっかけになったと感じています。
ご自身の気持ちや家族などの状況が変わり、書き直しが必要な方から相談があることもあります。ご要望に応じ「もしも手帳」を再びお渡ししています。
この取組は金沢区全域に広がっています。
― 「もしも手帳」をお渡しすることで、どのような効果がありましたか?
「もしも手帳」はコミュニケーションツールとしても役立っています。一人暮らしの方やご高齢の方が増えており、何かあったときの緊急連絡先が分からないことが、民生委員としての困りごとです。初めて訪問するご家庭などに「もしも手帳」をおすすめすることをきっかけに、必要なご支援につながったケースもあります。
ほけんの窓口マルイシティ横浜店 店長 城所大観さん
― こちらはどのようなお店なのでしょうか?
当社は1995年に保険代理店として設立、2000年に来店型保険ショップ1号店を横浜にオープンし、全国で約700店展開しています。取扱保険会社40社以上、300以上の商品からお客さま一人ひとりのお考えに合わせて保険選びをお手伝いしているお店で、横浜市の多くの皆さまにご利用いただいています。
― 区民の方に「もしも手帳」をどのようにご案内していますか?
店頭で使用している案内掲示
横浜市とほけんの窓口グループ株式会社は、「もしも手帳」の普及啓発に関する協定を締結し、当店でも昨年の8月から配布を開始しました。
生命保険や医療保険などへの加入を検討するときは、“もしも”のときのことを考えるタイミングでもあるため、「もしも手帳」をお渡しする最適な機会だと思います。当店を含め、市内の直営店舗(パートナー店舗等を除く)10店で「もしも手帳」をお渡しし、活用法についてご案内しています。このような形で地域貢献に携われることを嬉しく思います。
【市内直営店舗】マルイシティ横浜店、横浜ジョイナス店、トレッサ横浜店、綱島駅前店、港北ノースポートモール店、モザイクモール港北店、青葉台駅前店、サクラス戸塚店、東戸塚オーロラモール5F店、東戸塚オーロラモール7F店
― 「もしも手帳」をお渡しすることで、どのような効果がありましたか?
当社は「お客さまにとって『最優の会社』」を経営理念としており、横浜市役所と連携した取組を行うことで、お客さまからより一層信頼されているように感じています。
お客さまからは、「『もしも手帳』のような便利なツールがあることを知らなかった」「この手帳があれば、家族で本音の話ができて、自分だけでなく家族の気持ちも聞けてとてもよい」とのお声をいただいています。当店へご相談に来られるお客さまの年齢層は幅広く、若年層の方もいらっしゃいます。ご自身のことに限らず、ご両親やご高齢のご親族とお話しするきっかけとして、「もしも手帳」を活用したいという方もいらっしゃいました。
「もしも手帳」をご紹介することが、“もしも”のときについて考えるきっかけになっていると感じており、様々な年齢の方にご活用いただきたいと思います。
消防局救急企画課 救急需要対策・医療連携担当係長 山本康明さん、職員 増井大介さん
― 区民の方に「もしも手帳」をどのように配布していますか?
左:山本係長、右:増井職員
消防局では令和6年10月から、「もしも手帳」のカバーの中に「救急あんしんカード」も挟み込んで、地域における予防救急や防災の啓発イベント、講演会、講習会などで配布しています。「救急あんしんカード」は、病気やケガをしたときの緊急連絡先やかかりつけ医等を記載し、どのように行動するべきかをまとめたカードです。救急要請時に救急隊が確認することで、迅速な医療機関への搬送などに役立てます。
救急要請の中には、本人の意に反して救急車が呼ばれる事案が、少なからずあります。「救急あんしんカード」と「もしも手帳」を一緒にご活用いただくことで、本人が望む対応や適切な医療の提供につながることを期待しています。
「もしも手帳」を実際に使ってみた方に、お話を伺いました!
★思ったより簡単で、さらっと書けました。一人で考えたときはあまり深く考えなかったですが、夫に話すことで、なぜその選択肢を選んだのか、理由を自分でも整理しながら相手に伝えることができました。これまでこのような話はしたことがありませんでしたが、「『もしも手帳』っていうのをもらったんだけど」と話を切り出しやすかったです。
★身内が亡くなった経験から、元々妻とは人生の最期について話すことがありました。今回、「もしも手帳」をもらって、改めて話し合う機会になりました。3つの質問以外にも、お墓や葬儀、パスワードの共有方法をどうしようか等、会話が広がりました。
いきなり話し合いができなくても、まずは「もしも手帳」の質問について自分で考えるところから始めてみるのも良いですね。ご家族などに「こんなのもらったんだけど」と見せながら、まずは自分の大切なこと等をざっくばらんに話すのもおススメのようです。
また、大切な人に渡してみるのも良いですね。しばらくたってから、「そういえば、あれ考えてみた?」と聞いてみたり。そう言った会話から、話し合いの機会が生まれてくるかもしれません。
「もしものときに備えて 事例から知る医療・介護・お金のこと」令和7年3月15日開催! 【※この講演会は終了しました】
この講演会では、自分らしい人生の最期をより具体的にイメージできるよう、事例を交えながら3人の専門家にお話しいただきます。どのような医療や介護のサービスがあるのか、また気になる費用の目安について、それぞれの専門家から話を聞ける貴重な機会です。
また、来場者特典として「もしも手帳」とコットンバッグを配布します。ぜひ会場へお越しください。ご参加をお待ちしています!!
コットンバッグ
【日時】2025年3月15日(土曜日)13:00~15:00
【場所】市役所アトリウム
【定員】先着200人(横浜市内在住・在勤の方)
【申込期間】2025年2月11日(火・祝)~3月10日(月曜日)
【申込方法】横浜市電子申請・届出システム(外部サイト)からお申し込みください。
※詳しくは、横浜市ホームページ:「在宅医療を推進するための市民啓発講演会」のページをご覧ください。
このページへのお問合せ
医療局地域医療課
電話:045-671-2444
電話:045-671-2444
ファクス:045-664-3851
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