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ぐるっとSTORY(2025年春号)

最終更新日 2025年3月31日

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「お仕事ステーション」では、地下鉄やバスで働く人たちを紹介しています。日常生活のなかではなかなか知る機会のない、市営交通の裏側にフォーカスした本連載。誌面に入り切らなかったインタビューをWEB限定記事としてお届けします! 今回は、川和乗務管理所で働くグリーンライン運転士Aさんへのインタビューです。

人生は一度しかない。だったら本当にやりたい仕事を
Aさんは交通局に入局して6年目。グリーンライン運転士となってからは3年目になる。早い時間から始まる業務の日は、朝6時くらいに出勤。まずはアルコールチェックとともに、助役から乗務点呼を受ける。そこでは、自分が運転を担当する電車が書かれた仕業表と電車を動かすためのマスコンキーを受け取る。


助役と2人で行う乗務点呼のワンシーン。敬礼から始まって敬礼で終わる、緊張感ある場面だ

川和町駅から中山駅まで運転し、日吉駅へ折り返す約50分間の運転を基本の1回として、1日に5~7回ほど休憩を挟んで繰り返す。とても集中力を求められる仕事だ。だが、早く退勤できる日は横浜スタジアムで野球観戦をするなど、プライベートの時間も大事にしているそうだ。
かつてAさんは、ある市役所の職員として働いていた。Aさんの父が公務員だったそうで、「父と同じ道を歩もうと漠然と目指していた」と言う。しかし、無事に公務員試験に合格して働き始めたものの、そこで本当にやりがいをもって取り組めることを見つけられなかったと話す。そしてあるとき、ふと自問した。
「人生の大半の時間は仕事に費やすのに、これではもったいない。人生は一度しかないから、本当にやりたいことを仕事にしよう」
鉄道運転士は、Aさんの子どもの頃からの憧れだった。小さい頃から乗り物が大好きで、事あるごとに親に連れられて乗せてもらっていた。「乗り物のどこが好きでしたか?」と質問すると、「どこがと聞かれると難しい……。でも、とにかく魅力的」と答える。転職活動では他県の公営交通も受けたが、学生時代に神奈川県に住んでいたこともあり、なじみのある横浜で働くことを選んだ。


先輩が背中で教えてくれたこと
入局後は駅窓口でお客さまを出迎える駅務員として勤務スタート。2年間、駅務員を新横浜駅で務めた後に運転士になるステップを踏み出した。運転士免許取得のため、養成所で3か月の学科講習を受けて、運転の現場に配属された。そこから、先輩の指導操縦者と、マンツーマンでの技能講習が始まる。
指導操縦者とは運転士としての経験が3年以上あり、運転士に求められるスキルや勤務態度が優秀であると判断された人が任命される役職だ。Aさんは先輩の指導操縦者を「面倒見がよくてすごく頼りになる人」と話す。
先輩はAさんが質問することにはなんでも答えてくれた。ときにAさんが難しい質問をすると、先輩は徹底的に調べてAさんが納得するまで一緒に考えてくれた。6か月間にわたり運転を学ぶなかで、Aさんのなかで印象深く残っているのは、先輩が細やかなチェックを何度でも行う姿だ。


インタビュー中のAさん

「本来は定められた作業順序を守ればOKですが、先輩は時間さえあれば何度でもチェックをする。例えば、深夜に運行を終えた電車を基地に入れて電車の電源を落とすとき、最後の車輪の手歯止めを確認するところまでとても丁寧に行うんです」
その背中を見てきたAさんは、自身も先輩のようにダブルチェックや指差称呼をきちんと行うようにしている。特に指差称呼は肘を曲げずにピシッと伸ばす。丁寧な所作が意識を集中させ、異常の見逃しやミスを減らすことにつながると考えてのことだ。Aさん曰く、運転士の操作のなかで特にお客さまへの配慮が必要なのがドアの開閉操作。車内に取り付けられたモニターの映像を確認し、ときには目視も織り交ぜる。日々の安全確認を確実に行うことがお客さまの安全につながり、Aさんの自信にもつながっているようだった。


川和町駅ホームで指差称呼を行う姿

これからの代につなぎたい
いま、約60人いるグリーンライン運転士のなかで大きな割合を占めるのがAさんと同世代である30代だそうだ。待機時間に運転士が集まる詰所では、運転状況を話したり、仕事で気を付けるポイントを教え合ったりなど会話が絶えない。育児休業を取得するなど私生活も充実させる働き盛りの仲間に囲まれるなか、Aさんも新たな目標に意欲を示す。
「これからは僕も先輩と同じ指導操縦者となり、後輩を指導する立場に立つことが目標です。今年で運転士3年目なので、経験や知識を身につけて、これからの代につなげていけるようになりたいです」
「乗り物が好きで横浜市民の役に立ちたいと思う人は、ぜひ交通局を目指して一緒に働いてほしい」とAさんは次世代の仲間に期待を込めた。そして、さらに言葉を続ける。「運転士になることができて、やりたい事ができているという充実感を感じています。やっぱり、やりたいことには挑戦した方がいいですね」。そう話すAさんが目線を上げた瞬間、その瞳がきらりと輝いた。

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