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これからの市政の方向について(令和7年9月9日)
最終更新日 2025年9月9日
議長のお許しをいただきましたので、市会の皆様方へ御挨拶を申し上げるとともに、市政に臨む私の考えを述べさせていただきます。
このたび、1期4年の取組を評価いただき、2期目の市政の舵取りを担うこととなりました。
この本会議場で改めて皆様に御挨拶できることを大変光栄に感じております。同時に、その責任を深く受け止め、市政に誠実に向き合い、全力を尽くしてまいります。
はじめに
1期目では、子育て支援をはじめ、あらゆる世代の生活環境づくり、国際的な魅力の創出など、横浜の都市としての価値を高める取組を、市会の皆様と議論を重ねながら、共に進めてまいりました。
その結果、横浜市の転入超過数は過去20年で最大となり、人口も4年ぶりに増加へと転じました。市内には、過去最大のにぎわいが生まれ、グローバル企業の進出も加速するなど、確かな好循環の兆しが表れています。
この4年間で生み出した好循環をさらに発展させ、市民生活の「安心・安全」と横浜経済の持続的な「成長・発展」をより確かなものにしていくことが、市民の皆様から再び、負託をいただいた私の責務であると考えております。
「安心・安全」と「成長・発展」への考え方
安心・安全な暮らしとは、市民一人ひとりが、自分らしく生きるための土台です。それを守ることは、基礎自治体にとって最も重要な責務であります。
また、横浜が誇る「市民力」とは、人と地域のつながりであります。そのつながりは、安心・安全なまちでこそ育まれます。
「安心して暮らせる、安心して子育てできる、安心して歳を重ねられる」。こうしたことは、選ばれる自治体になるために欠かせない要素であり、その実現こそが自治体の価値に直結します。
これまで取り組んできた、子育てにおけるゆとりの創出、市民の足となる地域交通の確保、激甚化・頻発化する大地震や豪雨災害への対策をはじめ、市民の皆様が安心・安全な「人にやさしいまち」を実感できるよう、政策をさらに加速させてまいります。
その上で、横浜をいかに成長・発展の軌道に乗せていくか。
6月の議場挨拶において、「縮小する社会」へのさらなる挑戦を申し述べました。縮小する社会とは、一時的な現象ではなく、構造的・不可逆的な変化です。
そうした時代にあって、都市の競争力を決めるのは、質的な価値の向上であります。すなわち、横浜が成長・発展を遂げていくためには、都市の持続可能性を重視し、都市に暮らす価値を高めることが必要です。
子どもへの投資は、10年後、20年後の活力を生み出します。教育の質の向上を進め、英語・数学・プログラミングをはじめ、創造力や論理的思考を育む教育を展開していきます。
こうした未来世代への投資と並行して、より良い社会の姿を追求する都市モデルの構築は都市の持続可能性を確かなものにします。
その柱の第一が、「循環型都市への移行」です。
横浜は、気候変動対策において国際社会で存在感を示してきました。先日のアフリカ開発会議でお会いした世界各国の方々からも、横浜のリーダーシップへの評価と期待の声をいただきました。
今後、横浜は、脱炭素施策を加速させるとともに、資源を循環させ、市民の行動変容を後押しし、新産業と雇用を生み出すことで、「循環型社会」への転換を実現する都市モデルとして、歩みを進めてまいります。
また、環境と共生し、市民と共につくる「GREEN×EXPO 2027」の開催まで、いよいよ1年半余りとなりました。
EXPOでは、「横浜からの発信」と「EXPOでの体験」を通じて、環境への意識や循環型社会に向けた行動変容、地域社会をより良くしていこうという人のつながり、緑豊かな横浜への愛着など、豊かな暮らしを育むレガシーを、市民の皆様とともにつくってまいります。
第二の柱が、「観光・経済の活性化」であります。
横浜は、世界水準の観光都市となるポテンシャルを秘めています。美しい都市景観、歴史的な街並み、都市に近い豊かな緑、そして、地域・企業の力。こうした資源を生かして進めてきた取組により、観光入込客数と観光消費額は過去最高を記録しました。
今後も海辺空間の磨き上げなど様々な施策を重層的に進め、世界が訪れる観光都市・横浜を実現します。
また、グローバル企業の横浜進出や、半導体など成長分野の研究開発拠点の集積も進んでいます。AI時代を見据えた産業集積や産業創出などの経済政策を展開していきます。
第三の柱が「未来を創るまちづくり」です。
縮小する社会においても、持続的な成長・発展につながるまちづくりに取り組みます。
都心部を一層世界に開かれた拠点にするとともに、郊外部では上瀬谷地区を中心とした新たな成長拠点を形成します。都心と郊外の2つの拠点、「ダブルコア」の相乗効果も通じた成長と発展によって、市民が豊かに暮らし、活力あふれる都市であり続けることを目指します。
「世界を先導する循環型都市への移行」、「横浜の強みを生かした観光・経済活性化」、「新たな未来を創るまちづくり」。これらを「明日をひらく都市プロジェクト」として推進し、横浜の国際都市としての存在感を一層高めていきます。
市役所の「リ・デザイン」に向けた三つの基本姿勢
縮小する社会に立ち向かい、市民生活の安心・安全と都市の成長・発展を実現していくためには、社会の変化に柔軟に対応できる市役所への「リ・デザイン」が不可欠です。
その改革を、次の三つの姿勢でさらに推し進めていきます。
一つ目が「More Flexible」です。
市民ニーズは多様化・複雑化し、自然災害の激甚化・頻発化やデジタル技術の急速な浸透、不確実性の高い社会経済情勢など、外部環境は著しく変化しています。
そうした中、横浜において市民一人ひとりに寄り添ったサービスを提供していくためには、従来の縦割り・前例主義からの脱却を一層進め、柔軟かつ独創的な発想で、市民の声を形にしていく市政でなければなりません。
真の市民目線に立ち、子育て支援や防災・防犯対策などの、あらゆる世代が暮らしやすい環境づくり、市民のためのインフラ投資など、市民に寄り添った政策を進め、市民の皆様が安心・安全を実感できる、「人にやさしいまち」の実現につなげていきます。
また、新たな力として、AIの活用を図ってまいります。AIの可能性を行政職員が正しく方向づけ、膨大な情報を整理・提示して新たな選択肢を導き出したり、課題をデータ化・分析して政策判断の根拠とすることで、スピード感を持って市民生活の質の向上へと結び付けていきます。
しかし、何より重要なのは、市民の皆様のために、行政のあり方や発想そのものをいかに変革するかであります。職員一人ひとりとこうした意識を共有し、より柔軟な発想と手法で市民目線の政策を実行する、しなやかな行政へと転換していきます。
姿勢の二つ目が「More Global」です。
これは、「市民が世界に誇れる都市をつくる」という、市民目線の姿勢であります。
横浜の都市の活力を向上させていくためには、国際都市・横浜の強みを生かした成長・発展の方向性を見定めることが必要です。
これまで国際協力を通じて築き上げてきた海外都市とのネットワーク、環境分野などにおける先進的な取組の世界への発信、グローバル人材を育成する教育の実践、世界水準の観光都市になりうる空間的・景観的な魅力など、横浜は世界の舞台で競いうる水準にあります。
「横浜の国際プレゼンスのさらなる向上に結び付ける」という意識を職員が常に持ち、その上で「世界目線」の政策を実行して都市の競争力を高めていきます。
三つ目が「More Data-Driven」です。
この4年間、行政組織の中に、「従来の“経験や洞察”を大切にしながらも、データを経営資源と捉える」取組を進めてきました。個々の事業の成果や課題を検証し、客観的な振り返りを行いながら、政策の質を高め、そして事業の創造・転換を予算編成に反映していくという、全国でも類を見ない挑戦です。そのために、まずデータを使える環境を整えるとともに、専門部署を設け、人材育成にも取り組んできました。
データによる政策効果の可視化は、財政の透明性と効率性を高め、市民との信頼関係の構築につながります。
今後は、横浜独自のデータ駆動型行政経営へ本格的に移行します。市民の皆様の信頼を得ながら、持続可能な都市経営を実現する基盤をつくり上げていきます。
むすび
最後になりますが、今後4年間、市民の皆様の日々の暮らしに真摯に向き合い、現場の声にしっかりと耳を傾けながら、「市民のために」という原点を見失うことなく行動する。職員とともに、真に信頼される市役所をつくっていきます。
これから新たに策定する中期計画において、2040年頃のビジョンを掲げながら、市民生活の「安心・安全」と持続的な「成長・発展」を実現するための今後4年間に取り組む政策をお示しします。
あわせて、市民の皆様にいち早く成果をお届けするための令和8年度予算編成を進めていきます。
横浜をより柔軟な市民目線の「人にやさしいまち」に、よりグローバルな視点で「世界を魅了するまち」にしていく。
二元代表制のもと、これからも市会の皆様と真摯に議論を重ね、オール横浜で、横浜の未来を創ってまいりたいと存じます。
引き続きの御指導・御協力を衷心よりお願い申し上げまして、私の所信とさせていただきます。ありがとうございました。
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